Tesla Model S (2016/7) 前編 その2 |
|
|
|
それでは本題に入るが、例によって6月16日からの日記でより大きな写真をアップしてあるので、あわせてそちらも参照願いたい。 なお今回の写真のクルマのグレードはトップモデルの P90D (1,180.0万円) で、白いボディーが展示車で黒が試乗車であり、内装は両車で多少異なっている。現状ではテスラ S は受注生産であり、インターネットでの注文時に細かい仕様を決定するような方法となっている。最初に展示車を見た時の第一印象はデカい! しかしそのデカさにより結構迫力があるしスタイルも写真より良く見えると日記には書いたが、今回試乗のために用意されたクルマを初めて屋外で見た時は展示車とはマルで違う印象で、意外にコンパクトという感じだった。この原因は展示車がやっと1台置ける程度の狭いスペースに押し込めてあった事と、ボディーカラーが膨張色の白であることなどが重なった為だろう。 そして路上で見たモデル90 はセダンとしては中々スポーティーだが、そのスタイルはどこかで見たような見ないような、何かに似てるような似てないような、という感じだから、これが街を走っていても何だか判らないだろう。それでも雰囲気はアメ車というよりは高級欧州車という感じだ。 |
|
|
|
|
|
フロントフードを開けると、そこには小さいながらもトランクスペースがあるが、そのサイズは丁度ポルシェ 911 と良い勝負となっている。その後方のスペースにはフロント用のモーターや駆動用電気機器類が入っているという。フロントのラッゲージスペースはポルシェ 911 並だったが、リアゲードを開けると驚くほど広いスペースが現れる。取り分け奥行きの長さは圧倒的で、これに勝るサルーンを見たことが無いくらいに広い。 ヘッドライトに LED タイプを使用しているのは走行以外の電気を極力節約する必要がある EV では当たり前だが、どうもこの MC で初めて LED 化されたらしい。 |
|
|
|
|
|
|
|
EV で一番の興味は充電についてだろう 。そこで テスラの充電方法について今回のモデルSを例に説明してみる。まず充電用のコネクターは車両左側のリアコンビネーションランプの一番前方にあるリフレクター (写真15-@) を押すとここが蓋になっていて、開けると内部にある充電用コネクターが出てくる (写真15-A) 。 充電設備はテスラ専用以外にも国産車やBMW車などで共通の方式にアダプターを装着することでテスラにも使用することが出来る (写真16) 。これにより最近かなり整備されつつある街中の充電設備が使えるから実用性は大いに増すが、経費だけを考えれば自宅に充電設備を備えるのが得だという。しかしマンションでは無理だし戸建てと言っても 200V電源を引いて、しかも充電だけで 35A も食うというからギリギリの容量だと夏季にはエアコンが使えないという笑え無い状況になる。まあ急速充電のように1時間以内とかなら良いとしても、家庭用では一晩以上かかる訳で、そう簡単ではない。 なお急速充電ではフル充電は出来ないから、カタログにある航続距離を信じると痛い目にある 。まあ、その前に走行条件でも違うし、特に冬場は暖房を使ったら大幅に航続距離が短くなってしまった、なんていう話もある。内燃機関ならば効率が悪い分余った熱をラジエターで排出しているくらいだから、暖房なんてその余りで何とでもなるが、効率の良い EV は発熱も少ないからこれを暖房には使えないというジレンマもある。 |
|
|
|
|
|
ドア開けて室内を見るために先ずはドアノブを引こうとすると、何とボディと平な位置 (写真17@) で手が入らないが、インテリジェントキーを所有してメッキ部分にタッチするとこれがニューっと出てきてノブになるので、これに手を入れて引くとドアを開けることが出来た。まあこの辺は並のクルマとは全く違うんだぞ、という主張を感じるところだ。 |
|
|
|
室内を見ると、加速性能がNISSAN GT-R 並ということもあり、フロントにはスポーツカー並の形状のバケットシートが付いている。シート表皮は当然レザーで写真とは別の試乗車では黒のナッパレザーで、この質感や座り心地はBMW 7シリーズなどと比べても決して劣らない。正直に言えば、自動車製造経験の無いテスラだからもっとショウも無いシートかと思ったが、いやいやこれは中々のものですぞ。それにしても日本車のシートがマトモになるまで何十年もかかったのに、流石は椅子の文化圏だけの事はある。なおシートポジション調整はオーソドックスな電動タイプとなっていて、その操作スイッチは座面右端 (右側シートの場合) のシートベースに付いてていて、これは多くのクルマで標準的なものだ。 ドアのインナートリムはチョッと凝ったデザインだが、基本的には世間の常識からそれ程離れていない。写真のクルマはかなりの上級仕様のためにレザーにステッチの入ったパッドなど、高級サルーンらしさは充分にある。そしてドアノブ付近の金属パーツもつや消しクロームを使用するなど、これまた充分に高級な質感を持っているから、一千万円級のクルマとしてはマアマアだろう。 |
|
写真18 |
|
|
|
|
|
ダッシュボードは一見普通のクルマに見えるが良く見るとセンタークラスタにはエアコンやオーディオのユニットは無く、その代わりに縦長の17インチタッチディスプレイがドカッと居座っている。実はモデルSは全ての操作をこのディスプレイを使って行うために、他車のようなスイッチやら LED 表示などを持ったパネル類が存在しない訳だ。例えばサンルーフの開閉を選択するとルーフの絵が出てきて、これを指で開く方向にスライドさせると実際にサンルーフがスーッと開くという具合だ。 従ってダッシュボード上にあるスイッチはハザードランプとグローブボックスのオープン用の2つだけとなる (写真23) 。まあ言ってみれば iPad の親玉みたいなヤツで操作すると思えば良く、この部分は流石に最新鋭の EV だけあるが、IT 機器が全く不得手なジジババはこのクルマを運転することが出来無さそうだ。 そしてセンターコンソール上には ATセレクターもコマンドダイヤル類も何も無く、後方のアームレストにカップホルダーがある程度だ。そのセンターコンソールの後端は世間の常識通りにリアパッセンジャー用のエアコンアウトレットが付いている。 |
|
写真22
|
|
写真23
|
|
|
|
そしていつものように走行編については後編に続く。 |