BMW X4 xDrive 28i (2016/10) 前編 その2

  

またまたイントロが長くなってしまったが、今回のクルマも例によって10月13日からの日記でより大きな写真をアップしてあるので、あわせてそちらも参照願いたい。

今回の試乗車は X4 xDrive 28i M Sport で価格は 744万円と、これも決して安くは無い。試乗車を見た第一印象はやはり結構デカいのと、スタイルは前述のように3シリーズ GT の背を高くゴッツくしたような雰囲気で、BMW 車であることは一目瞭然だが一体車種は何なんだ? と思うのが普通で、これを見た瞬間に X4と判るのはオーナーくらいだろうか。それでも試乗車のボディーカラーが黒だったことで多少は見た目が小さかったが、全幅 1,880o というサイズは5シリーズサルーンの1,860o よりも広く、これは3シリーズの派生車と考えればデカ過ぎるわけで、勿論マンションの立体駐車場には問答無用で入らないサイズだ。なお X3 のサイズもほぼ同等だから、要するに SUV というのはデカイものなのだ。


写真11
X4 のベースは X3 の後期モデルであり、フロントフェイスはソックリだ。


写真12
リアは流石に X3 とは異なるデザインだが近似性は大いにある。

フロントフェイスは前述のように X4 発売時点で同時にフェイスリフトされた X3 と全く同じとなっていて、これは最近の BMW の定番となったフロントヘッドライトがキドニー・グリルまで伸びているもの (写真13) で、最近発表された新型5シリーズも同様なフロントフェイスとなった。リアビューは最近の BMW では定番の "L" 型のリアコンビネーションランプなどで、フロント程ではないがやはり BMW のアイデンティティが主張されているが、 X3 と比べてリアコンビネーションランプの形状が違っている (写真14) 。

次にサイドビューを見ると高いウエストラインの SUV に低いクーペルーフを載せているのが何となくアンバランスだが、これが X4 の持ち味と言われればそれまでだ。ウエストラインより下は X3 と共通とまでは行かないと日記で書いたが、今回よくよく比べてみるとドアのプレスラインなども殆どが同じのようだ (写真15) 。


写真13
X3 後期型と共通のフロントデザイン。


写真14
リアはフロント程には X3 との共通点は少ないが基本デザインは同じだ。

写真15
サイドビューは高いウエストラインの SUV に低いクーペルーフを乗せているのが何となくアンバランスだが、それが X4 の持ち味か。
ウエストラインより下は、よくよく比べてみるとドアのプレスラインなども殆ど X3 と同じのようだ。

ライト類はフロントにアダプティブ・ヘッドライト (バリアブル・ライト・コントロール機能付)、リアは ハイマウント・ブレーキ・ライトとダイナミック・ブレーキ・ライト (緊急時のブレーキ操作では1秒間に複数回点滅し、後続車のドライバーの視認性を高め、警告を促す)が標準装着されている (写真16) 。

リアハッチを開けて出現したラゲージスペースは、床面については X3 と共通と言っても良いくらいに似ているが、高さ方向は当然ながら異なり、特にルーフの高さが低い事による実質のラゲージスペースの容積はセダンと同等くらいだ、というのは最初から想定通りでこれまた X4 の持ち味と言う事で、大体においてこの点に文句を言うユーザーは間違っても X4を買うことはないだろう (写真17) 。

ここでリアゲードを開けた状態でサイドから眺めてみると、一般的なテールゲートとは全く形状が違うことから、開いている姿も独特の物がある (写真17) 。なお X4も他のXシリーズ同様にグレード名を表すエンブレムの類はリアには存在せず、ボディサイドのフロントドア前部に付いている。またこのクルマは M Sport のためにフェンダー後方に小さな "M" のロゴマークも付いている (写真18) 。

写真16
フロントにアダプティブ・ヘッドライト、リアはダイナミック・ブレーキ・ライトが標準装備されている。


写真17
X4 はラゲージスペースの床は X3 と共通と思えるが、高さは当然低い。


写真18
リアゲートを開けるとゲートの独特の形状が判る。


写真19
Xシリーズに共通したフロントドアに付くエンブレム。なお試乗車はM Sport のために "M" のエンブレムも付いている。

ドアを開けて見えるインテリアは標準的な BMW そのもので、SUV の為にサルーンに比べて着座位置は高いが、これはXシリーズならどれも同様だ。なお今回の車両は M SPORT の為にシートのサイドが高いサポート重視のシートが付いているが、そのサポートは同じ M SPORT でも X5 よりスポーティー、すなわちタイトになっているように感じる。ところでこれを X3 と比べてみるとウエストラインから上のグラスエリアは当然ながら高さが高いが、何とシートや内装の基本は共通のようだ (写真20-1~2) 。

シート表皮は M SPORT によくあるサイドが人工皮革でセンターがファブリックというもので、同じ M SPORT の SUV でも X5では本皮が標準となるという違いがあるのは、 X5 の場合は M SPORT といってもスポーティーテイストの高級 (豪華) 車という位置付けのなのだろう (写真21) 。電動シートの調整は多くのBMW車に共通のものが使われていて、シートメモリースイッチも一体化されているタイプだ (写真22) 。

ドアのインナートリムも肘の当たる部分のパッドにはシート座面と同じ M SPORT 用のファブリックを使用している (写真23-1) など X5 と比べてもそれ程には劣らない。ところで X3 と比べるとどうかといえば、写真23-2 のように何と全く同じだった。勿論グレードやイヤーモデルの違いからパッドの表皮やインテリアトリムの材質は違うものの、基本となる形状や樹脂部分は共通化されいるようで、2011年から販売している既に開発費を回収済みという感のある内装を X4 にも流用しているから、こりゃ結構美味い商売をしているんじゃあないか。

写真20-1
ドアを開けて見えるインテリアはSUV の為にサルーンに比べて着座位置は高いが、標準的な BMW そのものだ。
試乗車はM SPORT の為にシートのサイドが高いサポート重視のシートが付いている

写真20-2
ルーフの高さと形状以外のインテリアとしてはX3 と X4 は共通している。


写真21
シート表皮は M SPORT によくあるサイドが人工皮革でセンターがファブリックのタイプが標準となっている。


写真22
電動シートの調整はシートメモリースイッチも3シリーズサルーンなどと同じ一体化されているタイプだ。

写真23-1
BMW らしく高級感もあり、 X5と比べてもそれ程劣らないが、やはり差は感じる。

写真23-2
2011から販売されている F25 X3 前期型をみると、何と X4 と同じだった。


写真24
肘の当たる部分のパッドにはシート座面と同じ M SPORT 用のファブリックを使用している。


写真25
ドアノブ隣にあるロックスイッチは X3 前期型とは異なっている。

ダッシュボードについては何処かで見覚えがあると思ったら、やっぱりベースとなる X3 と共通だった (写真26) 。そりゃあまあ、インテリアの部品としては最も大きいダッシュボードは金型のイニシャルコストも膨大だから、マイナー車種である X4 の為に新たな型を起こすのは無理というものだ。

センタークラスターも当然ながら X3 と同一であり、その X3 は既にモデル末期だから配置やデザインが最新で無いのは当然だ。まあ5シリーズとて来年発売のニューモデル (10月16日の日記参照) でやっと最新のディスプレイ配置になったくらいだからこれは仕方の無いことだ。なおそのセンタークラスターに付いている操作ユニットはオーディオについては F25 X3 前期型と同じだがエアコンの操作パネルが違っている。ただし後期型では X4 と同じものが付いているようだから、要するに X3 の MC を機にユニットが変更されたのだろう。

ここまで共通化されていれば当然ながらコンソールも X3 と同じで、下の写真だけ見たらば X3 との区別が全くつかない。ただし写真の前期型 X3 では最近のBMWではお馴染の AT セレクター右にある走行モード切り替えスイッチ等が無く、またコマンドダイヤルの径が小さく上面がタッチパネルにはなっていなかった (写真28) 。結局 X3 も MC 時に最近のスタイルに変更となり、これは X4 と共通になっている。そしてダッシュボード右端のライトスイッチ回りも勿論同じ (写真31) 。ということはオーバーヘッドコンソール (写真30) も、センターコンソール後端のリア用エアアウトレット (写真29) も X3 そのままだ。

写真26-1
ダッシュボードのデザインは最新のトレンドとはチョイと違うのは設計時点の古い X3 ベースのためだ。

 


写真26-2
実は X4 のダッシュボードは X3 と同じだった。


写真27-2
X3 前期型のエアコンパネルはMC後の後期型とは形状が異なっている。

写真27-1
X3後期型と共通のセンタークラスターは、エアコンパネルが X3 前期型とは違うがオーディオは共通だった。

 


写真28
一見すると X4 と X3 のコンソールは同じだが、写真の X3 は前期型の為に走行モード切り替えがなく、コマンドダイヤルの径も小さい。


写真29
センターコンソール後端のリア用エアアウトレットも X3 そのままだ。


写真30
オーバーヘッドコンソールだって当然ながら X3 と共通だ。


写真31
ダッシュボード右端のライトスイッチ回りは X3 と共通なのは当然として、この部分は多くのBMW車で共通化されている。

そしていつものように走行編については後編に続く。

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