TOYOTA Corolla Fielder 1.8 S (後期)
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カローラフィールダーについては現行モデルの前期型が発売された直後に 1.5 と 1.8 に試乗したが、1.8L の動力性能は予想外に良かった。
  ⇒ Corolla Fielder 18S 簡易試乗記 (2012/12)

しかしそれは6年程前の時点であり、今では他車も随分と良くなっているから、今現在では大した事は無いんじゃないか? とも思ったので、 MEGAWAVE で現行 1.8S にチョイ乗りしてみた。試乗車はカローラフィールダー 1.8S 222.1万円で、実はカローラシリーズは2度目の MC を昨年10月に実施している。これについては 2月28日からの日記でHYBRID G "WxB" 2WD というスペシャルグレードではあるが、最新モデルの内外装を写真で紹介している。

先ずは運転席に座ってみると、最近は珍しくなった5ナンバーサイズの全幅だから室内の幅も決して広くは無いが決して狭いとは感じない。シートはまあ決して良くは無いが悪くも無く、オーナーとなってこのシートに毎日座ったとしても大きな不満は出ないだろう (満足感も無いだろうが)。エンジンのスタートはダッシュボード右端の丸いボタンで、これは最近の標準的なものだ。ここで正面のメーターに明かりが灯り、要するにメーターは自光式ということだが、10年前に国産の自光式と言えば妙にギラギラしたド田舎のモーテルみたいなセンスだったが、最近の製品では極自然でしかもコントラストが高く視認性が高いなどメリットは十分ある。そう言えば前期型のメーターではデザインはほぼ同じだがメーター部分は自光式では無かった。なおフィールダーの場合 1.5L モデルのメーターは自光式では無いが、以前のカローラのような安モノ丸出しでは無くメーター配置自体は同じ3眼式となっている。ただしセダンのアクシオでは下位モデルは回転計が省略されているが、安モノ丸出しという訳でもない。

コンソール上の AT セレクターはジグザグゲート式でパターンは奥からP→R→N→DでDから右でマニュアルモードといういわゆるティプトロタイプとなっていて、これは初期型から変っていない。出発の合図と共に発進して直ぐに直線路に入ったところでハーフスロットルで加速を始めたが、いや待てよ、この狭いコースではクルマよっては直線の最後でも制限速度の 40q/h に何とか到達する程度で、巡航状態を試せない事もあるのを思い出し直ぐにフルスロットル踏んでみる。すると結構な加速感と共にあっという間に 40q/h に達して、以前乗った 1.8L の記憶に間違いは無い事が判かる。

大きくUターンして再び直線を加速するとその先が赤信号となるので停止し、青に変わって再び加速するが、何れも同じように十分な加速で、体感上は 8.2kg/ps というパワーウェイトレシオ以上の加速感に感じる。ところで 8.2kg/ps というのは他車ではどのくらいかと言えば、BMW118i (11.0s/ps) どころか 120i (8.0s/ps) に近い事になるが、体感上は 120i 以上にも感じる。

直線が終了してスラロームを通過し、やがて道幅が狭くコーナーの多い部分に入って行くが、途中の狭いコーナーの頂点辺りで直線が見えてきたのでアクセルを踏んだが反応が無く、ここでついつい踏みこんでしまったら少し遅れてシフトダウン、というか CVT のギアが低くなったようで行き成り回転数が上がると共に加速を始めた。おっと危ねえ、とアクセルを放したがこれまた反応は遅く、同時にステアリングを修正するとクルマは危な気無くコーナーを脱出した事で、皮肉にもこのクルマの旋回特性の優秀さが証明できた。CVT の場合はシフトダウンといってもプーリーの径が駆動側が小さく、出力側が大きくなる事でその効果を得る訳だが、そのためには出力側のベルトがプーリー上をせり上がる必要があり、しかし回転数自体が低いからこのせり上がりに時間がかかるという致命的な構造上の問題があり、このコーナーでは速度的に最も不利な条件となってしまったようだ。まあ現実の公道上ではこの条件の道は少ないからそれ程気にはならないが、狭い山道等では同じ条件に遭遇するかもしれない。

以上動力性能について述べたが、パワーは街乗りなら十分以上だが条件によっては CVT の欠点が出てしまう難点はあるとは言うモノの、価格を考慮すれば十分な性能で、初期型試乗時の記憶は間違っていなかった。

次にステアリング特性は如何かと言えば、操舵力がもの凄く軽いのはカローラらしいが、レスポンスは意外と良い。ただしこの極端な軽さからチョッと力を入れると切り過ぎてしまいこれがよりクイックに感じるという面もある。

次にハンドリングを試すためにこのコースではお馴染みのスラロームを通過してみると、ステアリング操作に対するクルマの追従性は充分に良くて、こんな FWD の実用車ベースとしはアンダーステアも少なく、このスラロームで良い評価となった新型カムリと良い勝負で、更にカムリよりも車両重量が軽い事から軽快性では勝っているから、カローラと言う名前から想像する特性とは随分と異なる。

これだけ旋回性が良いと乗り心地が気になるが、確かに硬いしコース内にある波状路では振動もあるが、それでも意外とマイルドなのは 175/65R15 というショボいタイヤが功を奏しているかもしれない。因みにホイールはスチールで樹脂フルキャップが標準となり、トップ写真を参照すれば判るように試乗車も同様だった。

試乗車のブレーキは鉄っちんホイールだから見えないが、仕様をみればリアはドラムブレーキである事が判る。まあ精々 120q/h 程度の国内の道路の走行では別にドラムでも問題は無いし試乗車のブレーキも良く効いた。実はドラムの欠点はホイールが水没したときの回復の悪さで、これをウォーターフェードと呼んでいるが、ドラムブレーキは内部に水が入ると抜けるのに時間がかかる事と、内部にライニングの摩耗分が溜まっていて、これが水と混じってヘドロのようになってマルでグリスのような働きをするから、ブレーキを必至で踏んでもツーっと滑って行く事になる。

今回の試乗車、カローラフィールダー 1.8S の価格は 222.1万円で、これにアルミホイールとナビくらいは付けたとしても概ね 240万円であり、それでも動力性能的には BWM118i (317万円より) よりも 120i (439万円より) に近いから、その差は200万円にもなる。勿論低価格の代償としてはイマイチな CVT やショボい内装など所詮はベースがカローラであり、同じCセグメント車としては世界的にも売り上げ上位の代表的大衆車であるカローラシリーズと、ボトムラインとはいえプレミアムブランドの代表である BWM 1シリーズを同列で比較するのは間違っているのは当然だが、見方を変えればステーションワゴンとしての使い勝手では圧倒的にフィールダーであり、小型で実用性を重視すればこんな便利な乗り物は無く、200万円も余計に払って 1シリーズを買うなんて馬ッ鹿じゃねぇ‥‥な−んてナショナリズム丸出しの発言をしてみる。

注記:この試乗記は2018年1月現在の内容です。