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Toyota Crown 2.5 Hybrid RS 試乗記 特別編 走り出す為に先ずはイグニッションスイッチを押してエンジンを始動する‥‥と書きたい処だが、今回の比較でクラウンはハイブリッドの為に厳密に言えばパワースイッチをオンすると言うべきだ。そして他の2車はガソリンエンジンではあるが、最近のクルマには当然のアイドリングストップ機能を備えていて、しかも始動直後のデフォルト状態ではキャンセルとならない為に、そのままでは原則としてエンジンは止まっている事になる。あっ、勿論コールドスタートではエンジンが適温になっていないから恐らくアイドリングストップは作動しないとは思うが。そのスイッチはクラウンではステアリングの右側、他の2車では左側 (センタークラスター右側)に配置されている。 パーキングブレーキは何れも電動式で、その場所はクラウンと5シリーズがコンソール上の AT セレクター手前に、そしてEクラスはダッシュボード右下面に配置されたスイッチを使用する。ここで判り辛いのは、コンソール上では引いてオンであり、ダッシュボードでは押してオンになる事で、これは前車がレバー式後者が足踏み式をダッシュボードのレバーを引いてオフする事に起因しているが、判り辛い事には否定できない。
次に AT セレクターをDレンジに入れるが、その方式は3車で全く異なり、クラウンはコンソール上の直線式のメカニカル方式で、E クラスはステアリングコラムから生えたレバー方式、そして5シリーズはコンソールだが電子式のレバーを使用する。まあ進化の度合いではクラウンが一番遅れている、何て言ってはいけませんぞ! オーソドックスでコンベンショナルな技術を継承しているのは流石に保守本流のクラウンらしい、と言うべきだ。おまえ、トヨタから金もらってるんか? と言われそうだがそんな事がある訳も無い。(くれればもらうけど)
今回の試乗比較の車種は へえーっ、クラウン 2.0L って530i 相当なんだぁ!? と言う事になるが、本当かよ?というのが本音だ。しかしクラウン 2.0 ターボに試乗していないのは知らない方が幸せという事と、実際にこれを試乗車としているディーラーが殆ど無い事が原因だが、今迄の経験からすればあまり期待は出来ない。因みに同エンジンを搭載した車種の試乗記としては と言う事で、それでもクラウンだけがハイブリッドというのも多少引っ掛かる点もあるだろうが、まあトヨタはハイブリッドに関しては最も進んでいる、すなわち強みだから許してもらおう。
前置きが長くなってしまったが、それでは早速3車の走りを比較して見る。先ずはクラウンの発進時だが、僅かにアクセルを開くとクルマは音も無く前進するのは流石にクラウンと言いたいが、ハイブリッドだから当たり前だ。そのままユックリと移動するといつの間にかエンジンも掛っているようで、その繋がりも極自然だ。公道に出てからハーフスロットルで加速してみると、ハイブリッド独特のトルク感は確かに感じるが穏やかだ。50q/h 以下で流れに乗って走っていると電気モーターのアシストも適度で、これぞクラウンという気楽な走りが出来る。 次に E200 だが、僅かなクリープと共に軽くアクセルを踏むとゆっくりと前進し、狭い裏道をゆっくりと移動するような極低速でも実にスムースに希望する速度を維持できる。表の道路に出てハーフスロットルくらいで加速すると、スペックから想像する以上のトルクで加速し、その時のエンジンのスムースさはこれが本当に4気筒なのかと疑いたくなる程に滑らかだ。う〜ん、お見事!パチパチパチ。 E200 のスムースなエンジンには驚いたが、スムースな事では定評のある BMW の 523i はハーフスロットル位で加速すると、これまたその滑らかな加速に驚く。と言う事で3車共に実用速度では充分にスムースであり、クラウンは当然ながらハイブリッドだから発進時に最大トルクを発生するモータ―の300N-m の恩恵を受けているから静かでスムースでトクルも充分だが、他の2車も電気モーターなどが無くても結構クラウンのハイブリッドに対抗しているのは立派なモノだ。 ただし、そのスムースな523i であるが、以前の自然吸気 (NA) 6気筒 2.5L の極めて素直なレスポンスや加速感に比べると、やっぱり何かが違うような気がするが、まあ4気筒でそのフィーリングを結構再現したのは大したものだ。そしてE200 だが、以前はスムースさと言う面では BMW に一歩を譲っていたメルセデスのエンジンだが、最近は全く遜色無いところまで進化しているのも、これまたご立派! ここで3車のメーターを比較してみる。3車共文字等の表示はカラー液晶表示となっているが、メーター本体についてはクラウンはメカ式、他の2車はこの部分も液晶だが、Eクラスは全面が1枚の液晶パネルで金物は一切無いのに比べて、5シリーズはメーター外周のリングはハードウェア、すなわち実際にリングが存在している。何やら話が判り難いが、今や昔ながらの自光式メーター何ていうのは見られなくなった。なお、クラウンは一見すると一番遅れているようにも見えるが、実は世界に先駆けて全面液晶パネルを採用したのはクラインの初代ハイブリッドだったが、時期が早過ぎたのかその後は止めてしまった。まあ当時のCG技術ではリアリティの無い画像になってしまうのは仕方ない事だったのだろう。 Eクラスの全面液晶パネルの場合は、メーターの配置もサイズも自由だから、モードによってメーター径が変わったりもするなどメリットは大きいし、数を作れば価格もメカ式よりも安くなりそうだから、将来はこれが当たり前になるだろう。 ところでカラー液晶パネルというと、また韓国の安モノに独占されるのか? 何て心配になるだろうが、クルマの部品と言うのは冬の氷点下から夏の 40℃以上までの厳しい温度条件と常に掛る振動などで、家庭用のテレビのようには行かない。従ってこの自動車用カラー液晶パネルは今のところ日本の専門メーカーが独占している状態だ。
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