BMW X4 特別編 [X4 vs Macan 前編 その2] 特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。 今度は後部のハッチを開けてリアラゲージスペースを比較すると、フルサイズの X5 やカイエンよりは小さいとは言え世間の常識からすれば充分に大柄の両車だから、床面積はそれなりの広さを持っている。しかし X4 はクーペだし、マカンにしてもクーペ程ではないにしてもバックゲートのウエストラインから上は大きく寝ていて限りなくクーペに近いから、高さ方向に嵩張る荷物は積むことが出来ない。 ただし当然ながら両車共リアシートのバックレストの前傾が出来るから、いざという時には二人+荷物と割り切れば良い。なお社用族には重要なゴルフバッグ4個搭載については多分問題ないだろうから、親会社の偉いさん (と言っても精々課長級だが) との接待ゴルフに使う事に問題はない。 次にドアを開けてシートを主体としたインテリアの比較を行うが、何しろこの BMW とポルシェの比較では前回の M2 vs ボクスターみたいに、そもそもリアシートが無いボクスターとの比較では問答無用で M2 が優位だったが、今回は同条件での対決が出来る。そのフロントシートだが、X4 は M Sport という事で特にバックレストは両端が大きく盛り上がった所謂スポーツシートが目を引く。まあ SUV にスポーツシートってゆうのも変な気はするが‥‥。これに対するマカンは特にスポーツを謳ってはいなが、ポルシェというブランドこそがスポーツの代名詞だからベースグレードでも BMW の M Sport くらいのシートが付いている。 フロントシートに比べれはリアシートは両車共コンフォートというか座面もバックレストもほぼ平らな形状だが、車自体のサイズは大柄な部類だから両車共リアのスペースは充分で、4名乗車による長距離の移動でも何の問題もない。ということは、中小企業の経営者が接待ゴルフに使うにも適している訳で、税務署にも立派に言い訳が立つというものだ。特に税務調査で車両台帳に ”ポルシェ” なんて文字を見つけて鬼の首を取ったように大喜びした税務署の小役人なんて、現物をみたらば「ありゃっ、これがポルシェ??」となるか、それとも研修でこの程度の知識は教育されているか? シート表皮は X4 ではパールポイント・クロス/レザー・コンビネーションというサイドと座面先端がが人工皮革でセンターがファブリックという M Sport の標準だが、M Sport といえばサイドはアルカンターラかと思ったら、あれはサルーン等の場合らしい。また同じXシリーズでも X5 ともなると M Sport でもシート表皮は本皮になるとか、車両カテゴリーによって相違があるから、一概に M Sport イコール人工皮革のコンビとは言えない事になる。少し前までは BMW のMモデルと言えば特殊な高性能車でマニアの憧れだったが、最近の BMW はなり振り構わずに各種モデルにMモデルや、M のようで M でない M パフォーマンスモデルとか、まあ商魂たくましく頑張ってはいる。 それでは X4 のMモデルはといえば‥‥無いっ!X5 には X5 M が、X6 には X6 M というモデルがあるが X4 以下にはMモデルは存在しなかった。ただし X4 M40i というモデルが有り、これは要するにM パフォーマンスマンスというヤツだ。まあ M モデルとM パフォーマンスマンスの違いというのは確かにあるが、それでも千葉大学と千葉科学大学の差に比べれば無いに等しく、むしろ東京大学と東京工業大学の差くらいだろうか? 次にマカンのシート表皮については、ボクスターと同様にサイドが人工皮革でセンターがアルカンターラというもので、これもポルシェを知っていれば何の違和感も無い筈だ。それではカイエンの場合はどうかというと、これはカレラと同じでサイドの人工皮革は同様だがセンターは本皮というパーシャルレザーシートが標準となっていて、ポルシェのヒエラルキーに対するポリシーは確固としている。 要するに一言で言えばどちらもサイドは人工皮革でセンターは X4 がファブリックでマカンがアルカンターラという事だ。えっ、それなら最初からそのように書いておけば済むものを、って、それじゃあ面白くねぇだろう! シートの調整は X4 ではBMW各車 (中クラス以下) に共通の座面右下にあるスイッチによるフルパワーで、言ってみれば3シリーズと全く同じメモリー付きの操作パネルが付いている。マカンもパワーシートだが、こちらはポジションメモリーが付いていないが、勿論豊富なオプションから何でも有りのシートを選ぶことも出来る。 次にサイドスカットルの上面に付けられた装飾プレートを比べると、X4は M Sport という事でお馴染みの ”M” のロゴが付いているが、マカンの方はエントリーグレードということもありプラスチック丸出しというかメッキ処理をしていないもので、この辺はポルシェ全体でもボトムグレードであることを思い知らせてくれる。 ドアーインナートリムは写真で見ると両車共雰囲気が似ているのはドイツ人の感性で、このクラスのクルマ向けにデザインするとこうなると言うことだろうか。勿論両車共上級カテゴリー、すなわち X5 およびカイエンと比べれば多少質感とか高級感とかは落ちるが、世間一般の標準からすれば充分に高級だ。 今度はアームレスト付近を拡大してみると双方共にステッチが入ったレザー仕上げだが、パワーウィンドウ等のスイッチパネルが X4 は別の樹脂ベースに対してマカンではレザーパッドの中央に配置されている。またマカンはスイッチ自体もクロームのラインが入っているなど一クラス以上高級な雰囲気だが、その理由を考えればスイッチ自体の部品をポルシェとして共有しているために、マカンのスイッチも 911 などと共通化しているからだ。こういう考え方は本来は日本の、特にトヨタが得意だったのだが、今ではポルシェもこういう手法を身に付けている。尤もポルシェにこういう手法を授けたのは経営危機を救うために行ったトヨタの支援の一部だった訳で、流石に優秀な生徒は直ぐに自分のモノにしてしまった。 |
ダッシュボードについても其々のメーカーのセオリーに従っているのは当然で、X4 ではベースとなっている3シリーズを基本としている。しかし3シリーズは最近の手法でディスプレイをダッシュボードの天板より飛び出した高い位置に配置しているが、X4 では全体に少し低い位置に置いている。また、X4 はベースである X3 と全く同じダッシュボードを使用している。その理由を推測するとX3 (F25) は2010年7月にドイツで発売されていてるのに対して、3シリーズ (F30) は2011年10月の発表だから、X3 の方が設計思想が多少古いということだ。まあ開発コード自体が F25 のX3 は F30 の3シリーズサルーンより古くて当たり前では有る。これって丁度センタークラスター付近のレイアウトの過渡期に当たったのだろう。 次にマカンのダッシュボードは基本的にポルシェ各車に共通するデザインだが、何しろスポーツカー専用設計の低いボディーを持つ 911 やボクスターと SUV のマカンでは高さ方向のスペースがまるで違うから雰囲気は違って見えるのは当然だ。 さてその話題のセンタークラスター付近を更に拡大して並べてみると、最新モデル程では無いにせよ X4 のディスプレイはマカンよりも多少高い位置にある。ただし BMW に共通の横長ディスプレイだから、実際の表示面積が少ないためにどうしても画層が小さくなる。対するマカンは最近のポルシェに共通して採用されているシステム化されたディスプレイとその下の操作パネルは、それ以前の市販品をポン付けしたものに比べれば大幅な進化をしていて、これで何とか BMW と比較が出来るレベルになった。 センターコンソールの後端にはどちらも定番のリア用エアアウトレットが仕込まれているが、どちらもフロント重視のドライバーズカーだからリア専用にエアコンを調整するような機能は付いていない‥‥と思ったが、いやまてよ‥‥ 拡大してみると両車共に温度と風量が調整出来るようなスイッチとかダイヤルが付いていた。 頭上にあるオーバーヘッドコンソールについては X4 のシンプルなモノに比べるとマカンは他の高価なポルシェ車と同じような、フロアコンソールのデザインと共通の立派なモノが付いていて、この部分ではマカンの勝ちと言って良いだろう。 ここまでインテリアを比較したところではお互い良い勝負だった。それでは肝心の走りはというと、これについては後編にて。 ⇒後編へ |