Tesla Model S (2016/7) 前編 その1

  

最近世間で話題になっているのがテスラ (Tesla) という電気自動車 (EV) だが、EV 自体は日本の三菱や日産が既に販売しているから、テスラが世界初という訳ではない。それなのに何故テスラがそれ程注目されるのだかは疑問だが、テスラが自動車の世界を変えると騒いでいるのはどちらかと言えば政治や経済の評論家先生様であり、言ってみれば自動車に関する知識や業界の実情を知らない訳で、だから結構頓珍漢な事も言っている。

さてそのテスラ社についてはいつの間にかメジャーメーカーの扱いすら受けているうようだが、一体いつ頃出来たのだろうか。自動車の生産というのはそう簡単に出来るものではなく、いくらエンジンを必要としない EV とはいえ果たして新参メーカーに自動車の量産が出来るのだろうか? という疑問もあり先ずはテスラ社の歴史について調べてみた。なおこの内容については6月16日の日記で記述した内容と重複するが、ここは重要なところなので再度掲載する。

テスラという名前は交流電流、ラジオ、蛍光灯などで有名な発明家のニコラ テスラにちなんだもので、電子技術の世界ではエジソン以上の発明家でもあり、そのエジソンとは相当仲が悪かったようだ。テスラモータースの本拠地は米国シリコンバレーであり、バッテリー式電気自動車と関連製品を開発、製造、販売することを目的としている。

全く新たに電気自動車のための会社を設立するという計画には驚くばかりだが2004年、すなわち今から12年前に1回目の投資ラウンドにより 750万ドルを調達した。この活動を主導したのは PayPal の共同設立者である南アフリカ生まれのイーロン マスクだった。PayPal というは日本ではあまり知られていないが、電子メールを使ってクレジットカードでの送金を行うシステムで、例えば購入先の店舗と直接カード決済をしないで、PayPal が間に入ることでユーザーは安心してカードが使えるという便利な方法で、B_Otaku も海外よりの購入で大手ではない業者との取引で何回か使用したことがあるが、PayPal なら直接相手の業者に当方のクレジット情報が伝わらない点で非常に安心できる。

このような1回目の投資の結果、イーロン マスクは会長に就任して2005年には2回目の投資ラウンド主導して 1,300万ドルを調達し、2006年の3回目では 4,000万ドルを調達した。この時の出資者はグーグルの共同経営者や元 eBay 社長、ハイアットの相続人など著名な企業家達だった。翌 2007年の4回目では 4,500万ドルを追加し、民間金融で1億500万ドル以上の総投資をもたらした。更には2008年の第5回投資ラウンドでは 4,000万ドルを追加した。

このように投資金額を増やしていったテスラだが、実際のクルマの生産としては最初に販売された車両はリアドライブのスポーツカー仕様電気自動車の “テスラ ロードスター“ (写真1) だった。実はこのクルマの車体はロータース製をベースとしているもので2008年より販売が開始され、性能は0−100km/h が 4秒未満で、最高速度は200km/h という。価格は 9万8千ドルと高価だが、2008年5月時点で 600台以上が予約された。また日本向けには 2010年に12台が出荷され、価格は1,810万円だった。

それにしても自動車産業というリスクが大きくて膨大な資本を必要とする業界に、計画段階で投資家を募って徐々に資金を調達していくという方法で、今現在は徐々に規模を拡大しているようで、この辺は流石にアメリカン ドリームの国であり、日本でこのような事はまず無理だろう。

ロードスターはあくまで少量生産のスポーツカーであり、カーメーカとして本格的に参入するためにはより一般的なセダンタイプの発売が必要となるが、これが2008年に2010年発売とアナウンスされ、今現在ではテスラの主力モデルとなっていて、今回の試乗車でもある ”テスラ モデルS” である。ただし、モデルS は一千万円級の高級サルーンであり、販売台数は見込めないためにテスラとしては次期モデルとして、先ずは SUV のモデルXを既に米国では販売開始しているし、更にテスラ社が本格的に量産メーカーとして飛躍すべく、より一般的な市場に向けたモデル 3 の予約も開始しているが、このモデルのデリバリーは 2018年からとなる。このモデル3が大いなる話題となって、世界の自動車市場をテスラ車が席巻するなんて言っている評論家もいるけれど、さ〜てどうでしょうねぇ?


写真1
最初に販売されたリアドライブのロータスベースのスポーツカー仕様 “テスラ ロードスター“。


写真2
米国では既に発売開始となっている SUV タイプのモデルX。


写真3
2018年よりデリバリー開始予定で現在は予約中のモデル3。サイズはDセグメント相当で価格も400万円とモデルSよりも現実的だ。


写真4
現在販売中のモデルSは最近マイナーチェンジにより初期型 (左) から後期型 (右) へとフェイスリフトされた。

話を今回の主役であるモデルSに戻すと、このモデルは最近マイナーチェンジが行われフロントフェイスが一新されたりと、要するに後期型となった。勿論内容的にも大幅に改良されているであろう事は容易に想像できる。世間での噂というか前期型オーナーのレビューなどを見ると、内装の出来は良くないとの事だが、今回の後期型は結論から言えば充分に満足できる内装となっていた。具体的にはエクステリアではフロントのバンパーにあるボトムグリルの変更というMC の定番が実施されたが、これが従来のような大きなグリル (に見えるデザイン) ではなくグリルレスと言っても良いくらいになった。考えてみればラジエターが無いのだかグリルだって不要なのだが‥‥。ただし、折角フロントに何も無いのだからポルシェ 911みたいにフロントを思い切って低くすれば良いのだろうが、MC では基本的なボディの骨格を変更するのは無理なので何やら中途半端な感も拭えない。

そして現在のラインナップは下から
 60D (800.0万円) 、70D (774.5万円)、90D (937.0万円) 、P90D (1,180.0万円) で下の一覧表にはベースグレードの 60D とトップモデルの P90D を比較してある。

おっとイケねぇ。肝心なことを良い忘れていた。テスラ モデルSの価格はエコカー減税、CEV補助金等を考慮した価格であり、下の表の i3 とリーフは車両本体価格で実際には補助金やら減税が別途に行われるから横並びの比較は出来ない点注意が必要だ。

そして上の表には既に国内で発売されている EV2車種、BMW i3 と日産 リーフを比較のために並べてみたが、i3 は ”3" という名称から3シリーズと同じDセグメントを想像するが、ホイールベース (W/B) が 2,575o と1シリーズの 2,690o よりも 100o 以上も短く、サイズからすれば何とBセグメントに相当するというコンパクトなクルマだ。対するリーフは、 i3 より大きくW/B 2,700o とBMW 1シリーズと殆ど同一サイズだからCセグメントとなり、それでも堂々のFセグメントであるテスラ モデルSとは比較するのが間違いという感じだ。

なお、 i3 とリーフは当サイトで試乗記を発表済なので、詳細は下記を参照願いたい。
 ⇒ BMW i3 試乗記
 ⇒ NISSAN LEAF 簡易試乗記


写真5
BMW i3 。サイズは1シリーズよりも小さくBMW最小だ。


写真6
日産リーフはBMW 1シリーズに近い寸法のCセグメントサイズで、i3 より大きい。

今回、これを書くにあたって国内で販売されている EV を調べてみたが、 PHV (プラグインハイブリッド車) は結構あるが、純粋な EV となると上記2車のみだった。まあPHV の場合は電池がカラになってもエンジンで走行できるが EV となるとそうもいかず、充電のためのインフラ整備も必要など、簡単に発売する訳にもいかないのがネックだ。

と書いたところで、あれっ? 何か忘れてやしませんか? そうだっ! 三菱のアイミーブがあった。このクルマこそ国産の量産 EV 第一号だった。しかし運悪くアイミーブ発売の少し後に日産リーフが発売され、片や軽自動車に対してリーフはCセグメントの立派な普通車でありパワーも大きいし、オマケに価格も安かった、というオマケ付きで、勿論アイミーブだって急遽値下げはしたが、まあ終わったなぁ、とう感じだった。なお、アイミーブも試乗記発表済なので、これまた詳細は以下にて。
 ⇒ 三菱 i-MiEV 簡易試乗記

ところで、日本に於けるテスラの販売方法はカタログは一切なく全てウェブサイトを通じで、各自の望む仕様にカスタマイズして予約し、この時に別途予約金を振り込むことで予約が完了する。ディーラー網は現在 (2016年7月) は全て直営で、東京 南青山と大阪 心斎橋の2箇所で、ここへ行けば展示車と試乗車が用意されている。

イントロも終わったところでいよいよ本題に入るが、この先は ”前編その2” に続く。

⇒前編その2へ