Mercedes-Benz (W213) E200 特別編 [Merdedes-Benz E200 vs BMW 523i 前編 その2] 特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。 それではエクステリアの比較から始める。 フロントのアイデンティティという意味では両車は今更言うまでもなく強力で、最近ではクルマを運転しないオバちゃんだって見れば直ぐに判るくらいだ。メルセデスのサルーンは本来は細い横桟のグリルとボンネット先端にスリーポインテッドスターのオーナメントというのが定番だったが、現在ではこれはクラシックグリルと言われて、Eクラスの場合日本では販売されていない情況で、その代わりにグリル中央に大きなスリーポインテッドスターを付けた通称クーペグリルに変わっている。これは先代 W212の後期あたりからこうなったようで、因みに欧州のカタログを見ても殆どがクーペグリルという情況で、クラシックグリルも一般に販売はされているようだが、少数派となっているのだろう。 なおドイツでのタクシーとしてEクラスはメジャーなのだが、この場合は流石にクラシックグリルが使われている。なお、クラシックグリルのオーナメントは運転席から確認できて、運転中にはこれをマーカーとして左の路肩に合わせると丁度良い走行ラインとなるなど、古くからのメルセデスオーナーには親しまれていたのだが‥‥。 サイドから比べると何やら新型Eクラスのプロポーションは限りなく5シリーズに近くなった。先代W211 よりも全長で80o (4,850→4,930o) 、ホイールベースでは85o (2,855→2,940o) と拡大された事で5シリーズと全長はほぼ同じになり、ホイールベースでは5シリーズの 2,970o より30o 短いとは言うもののほぼ同一サイズとなり、結果的にサイドプロポーションも限りなく5シリーズに近くなったということだ。しかし考え方によっては極端に短いフロントオーバーハングという "今風" のデザインはEクラスっぽくない、とも言えるが‥‥。 リアについてもW212 の場合、前編で説明したW124で採用された特徴的なテールランプが復活したことで、これは最善か無かのEクラスに回帰することを主張している‥‥ような気がする。何っ「今度のベンツ (Eクラスのこと) って、マークUのテールランプのパクリじゃねぇか。俺のツアラーV(注記参照) とソックリだぞ」って言っている奴がいるって? 5シリーズのリアビューは最近のBMW では定番になったトランクリッドまで伸びたテールランプがそれらしいが、とはいえW124譲りのEクラスほどのアイデンティティは無い。やっぱり新Eクラスのように伝家の宝刀を抜かれると、チョイと弱い。 【注記】 マークU ツアラーVとはX90系 (1992−1996) より設定されたスポーツ系のツアラーの中で、6気筒 2.5L ターボ (1JZ-GTE) を搭載した高性能モデルのことで、当時の自主規制のリミットである280ps エンジンをマークUのボディに積んだ言わば直線番長で、国産車命 (というか、欧州車を知らない) マニアの憧れだったクルマのこと。ハッキリ言って、低収入・低学歴 (無教養) の代名詞的なクルマだった。う〜ん、実に特別編らしい注記だっ! ラゲージスペースはEセグメントともなれば充分に確保されているいるのは当然だが、しかし幅方向となると他社に比べて5シリーズがちょっと狭いのは、ゴルフ特急便として使うには問題があるが、まあ5シリーズを選ぶようなオーナーはトランクルームにゴルフバック4個を詰め込んでの接待ゴルフなんて事とは関係無さそうなイメージだから、これで良いのかもしれない。Eクラスの場合はスペースの後半が幅一杯に使えるので恐らくゴルフバック4個積載はクリアするだろう。 ドアを開けて室内を比較すると同じドイツのプレミアムブランドということもあり、雰囲気は両車ともよく似ている。 このクラスのクルマともなればシート形状および表皮はグレードやらオプションで何種類か用意されているのが当然で、その意味では単純に比較は出来ない。今回のEクラスは発売直後の為に写真のクルマ1台だけの写真しか手持ちが無いために問答無用でこれを使用したが、このクルマは後述するようにレザーパッケージに含まれるプレミアムオーディオがついていたからシートも本皮となっているが、標準ではサイドが人工皮革でセンターがファブリックとなる。 5シリーズの標準装備のシート表皮は、最近の BMW に共通するデザインラインにより変わる方式で、写真のレザーシートはラグジュアリーのもので、BMW ではお馴染のダコタレザーが使用されている。 因みに5シリーズのスタンダードモデルでは写真左下のファブリックシートが標準となっている。最近はファブリックシートが余り好まれないのか、Eクラスと同様にスタンダードグレードでもサイドに人工皮革を使うものが増えている傾向にある。 サイドスカットルを利用してここにパネルを貼るスカッフプレートなどと呼ばれている部分は、高級車の場合にはメーカーのロゴなどが付いている。まあこれは性能には全く関係ないし、ドアを閉めてしまえば全く見えないというシロモノだが、乗り込む時にブランドモノに乗るという幸せ感を味わえるという重要なアイテムだ。そのロゴは写真右下のように、Eクラスは "Mercedes-Benz"、5シリーズは "BMW" だが、Eクラスのプレートは何故かキンキラキンでロゴ自体も妙にプレスで盛り上げていて余りセンスは良くない。 ドアーインナートリムだってEセグメント車ともなればDセグメントとは一線を画して当然だが、E クラスの場合は一見すると結構地味だ。これはウッドトリムが AVANTGARDE Sport の場合は写真左下のブラックアッシュウッド (マット) という黒っぽくて地味い〜なデザインであることも地味過ぎる理由だ。なおベースモデルの AVANTGARDE ではブライトアルミニウムというグレーのボツボツ加工をした幾分明るいパネルになるから多少は明るくなるだろう。なお今現在では最上位モデルである E400 4MATIC EXCLUSIVE ではインテリアトリムはウォールナットブラウンウッドという濃い目だが茶色のトリムが付くし、シートもベージュを選択できる。 対する5シリーズはラグジュアリーでは適度に華やかだしインテリアカラーの選択肢も豊富で、BMW らしいベージュに磨き上げたウッドトリムの組み合わせは実に華やかだ。さらに5シリーズの M Sport となるとアルカンターラを多用して、これはこれで実にいい雰囲気を出しているなど、選択肢の多さでは5シリーズの圧勝となっているが、メルセデスだって本国ではもっと選択肢は多いはずで、日本仕様のバリエーションの少なさは日本のメルセデスオーナーがそういう物を求めていない事が原因かもしれない。 それではBMW オーナーの場合はああいう派手は内装を好むのかといえば、そんなことは無さそうで、それではアイボリーの内装なんて誰が買うのかといえばこれは展示車として輸入したものとか試乗車として数千キロ走ったものをアプルーブドカーとして購入するとかが多いと推定する。実際にこの手の仕様を個人の好みで取り寄せるとオプション代は高いし納期は長いし、オマケに値引きも無いなど、かなり損な買い物となってしまう。ところがアプルーブドカーならオプション代なんて上乗せしていないから実に買い得車となる。 |
写真下を見ると、今まで地味過ぎると思ったEクラスが適度に華やかな雰囲気に見えるのは何故だろうかと考えてみると、今回から採用されたセンタークラスター上部の大型ディスプレイやこれまたフルにカラー液晶パネルを使って全てのメーター類をCGにて表示する12.3インチコクピットディスプレイ (メーターパネル) というハイテクで派手はデバイスが適度な華やかさをもたらしている。成る程、この地味な内装はハイテクディスプレイとコンビで考えられていたのか、と納得する。 対する5シリーズはモデル末期ということでオーソドックスな高級車のセオリーに従っている。E クラスのようなハイテクは気に入らないというユーザーなら、今のうちに5シリーズを買っておくという手はあるだろう。 E クラスのセンタークラスターは前述のように大型ディスプレイに表示が出ると、地味なトリムなどが丁度良く全体にマッチする。対する5シリーズはBMW 各車に共通する定番デザインとなるが、次期モデルでは何処までハイテク化するかは見ものだ。 エアコンおよびオーディオ操作部を拡大してみる。なおEクラスの場合は40万円のセットオプションで本革シート共に超高級オーディオブランド (らしい) である Burmestar サウンドシステムが付いてくる。これについてはは 9月9日の日記 で解説しているので、詳細はそちらを参照願いたい。 Eクラスは AT セレクターをステアリングコラムに付けた事から、コンソール上にはコマンドダイヤルとその両側のスイッチのみとなる。5シリーズはこのところのBMW 各車にほぼ共通のレイアウトで、言いかえれば3シリーズから乗り換えても新鮮みは無い。 と書いては見たが、念の為にメルセデスC クラスを調べてみたらば何の事はないCクラスは一足先にコラムシフトとコンソールには共通のコマンドダイヤルを採用していた。 ⇒Mercedes Benz C180 & C200 試乗記 (2014/9) フロントのセンターコンソールの後端には両車共リアパッセンジャー用のエアアウトレットが仕込まれているが、高級とはいってもオーナーカーだからリア用のエアコンやオーディオ調整パネルなどは付いていない。この手はSクラスや7シリーズに任せることになる。 ということで、両車の内外装を比較してきたが走行系の装備や実際の走りの比較は後編にて。 それにしても今回は前編だけでも結構なボリュウムとなってしまったが、やはりクルマ好きとしてはE クラスに対する思い入れは他社とはマルで違うのを自分自身で再認識しているところだ。 ⇒後編へ |