Mercedes-Benz (W213) E200 特別編 特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。 メルセデスベンツ Eクラスと BMW 5シリーズといえば今ではガチンコライバルだが、その関係は1970年代から始まっていた。とはいえ当時未だEクラスとは呼ばれていなかった時代の W123 は当時のミディアムクラスとしては抜群の評価であり、ハッキリ言ってBMW E28では刃が立たなかった。というわけで取り敢えずは両車の変遷の概要を一覧表で表してみた。 上記の一覧表を踏まえて、それでは歴代モデル毎にもう少し詳細ん比較してみる。 1. W123 vs E28 実はW123 は正確に言えばEクラスではなく、W124 も Eクラスという呼び方が始まったのは後期型からだった。また上の一覧表では5シリーズの E28 以前が空白となっているが、実はここは E12 (写真左下) を入れるべきなのだ。しかしE12 はの発売時期は1972年とW123 よりも4年も早い事から今回の比較には含めていない。 以上の事を踏まえて先ずは W123とE28 を改めて比較してみるとサイズ的には下のようになり、実はE28 はW123よりも明らかに1サイズ下となっているのが判るだろう。E28 は日本の分類では5ナンバーサイズの小型車だっのだ (ただしエンジン排気量で3ナンバーになった場合もある) 。 この当時の国産高級車といえばクラウンであり、W123が発売された当時は5代目 (S80/90/100系) の時代であり、最高級モデルは直列6気筒 2.6L のロイヤルサルーンで極細いピラーは有るものの分類としては4ドアハードトップでありトヨタでは "ピラードハードトップ" と呼んでいた。サイズとしては全長と全高はW123 とほぼ同じだが全幅とホイールベースが約100o 程小さいから、一見すると大きくて立派だがタイヤの4隅を見ると何やら狭くて短くて、要するにボディばかり大きい割には足は狭くてヒョロヒョロだった訳で、しかも剛性の低いボディやフニャフニャのサスにズルズルのダンパーも手伝って実際にW123 と乗り比べたらば余りのショックで当分食事も喉を通らないくらいに落ち込むこと間違い無しだった。 |
2. W124 vs E34 W124 といえばEクラスとしては最も充実していたモデルで、発売当時は納車まで1年以上待つという大人気モデルとなった。サイズは寧ろ小さくなったくらいで、ほぼ同時に発売されたメスセデス初の小型 (Dセグメント) 車である190E に似ていて、一見するとどっちか迷うくらいだった。 サイズを比較すると。 ここで今まで何回か話しに出た W124 の特徴的なテールランプについて触れておく。写真左下を見れば一目瞭然だが、このデザインはその後多くのクルマに採用されて、例えばトヨタ マークUなども同様な形状のものを使用していた時期がある。これをパクリといえば言えるが、クルマの場合は余りにもメジャーな存在になって世界中のカーメーカーが採用するようになると、これはパクリとはいえなくなってしまう。その例としては同じくメルセデスのウィンカー付サイドミラーやBMW のコマンドダイヤル等がある。 先ほどW124 と W201 (190E) はフロントからみるとかなり似ていると書いたが、当時確実な判別方法としては、リアのテールランプを比べるというのが一般的だった。 ところで当時は 190E のことを "小ベンツ" といって馬鹿にする輩が居たが、勿論この連中はEクラスやSクラスのオーナーでは無く、いやメルセデスのオーナーでもなく、その前に輸入車のオーナーでもない。言ってみれば日大を馬鹿にするのは東大出でも早慶出でもなく、実は高卒 (中退) か専門卒 (これって専門学校卒のことらしい) だったりするのと同じ事だ。う〜ん、これは特別編らしい内容だ。 3. W210 vs E39 最善か無かという究極のクルマ作りをポリシーとしていたメルセデスの最高傑作の一つが先代 W124 であったが、モデル中期だった1989年にトヨタが米国で展開を始めた高級車チャンネルであるレクサスブランドの最上級モデル LS が驚くべく高品質と低価格を両立した事実を重く受け止めたようた。このままだとメルセデスの将来は無いということで今までとは全く逆にコストダウンの手法に走ったのが W210 であり大きくカッコ良くはなったが、W124 と比べれば明らかに手抜きが目立つようなクルマだった。 逆に5シリーズはといえば、先代 E34 よりも更に大型化され、大きくなった W210 と比べてもほぼ同等の大きさであり、デザインも一新し内装も高級化が進んで、W210 の安物化も手伝って充分に比較できる迄になっていた。 価格はモデル末期の2001年モデルでは E320 が580万円で、525i が530万円とEクラスの方が ”格上” であり、更に実質価格は値引きに期待できないEクラスに対して 525i は実売価格では500万円を切って400万円代だったから実質100万円の差があった事になる。要するにチャチになったEクラスと比べても未だ5シリーズの方が格下だった訳だ。 4. W211 vs E60 W211 はコストダウンを更に進めたが、当時初めて新型車のインテリアを見た時に、ダッシュボードの樹脂成形の出来が悪く隙間が均等でない事実を目の当たりにして、W124 から2代でここまで劣化してしまった事で多いに嘆いたものだ。「何時かはEクラス」というくらいの憧れのクルマだったEクラスは何処へ言ってしまったのだ。 この W211 の売りは先進のSBC (Sensotronic Brake Control)、すなわちフルエレキのブレーキバイワイヤー方式を採用したのだが、ハーネス (電線) やコネクタ−の品質の悪さから接触不良により ECU (電子制御ユニット) がシステム故障と判断して緊急ブレーキに切り替えるという大変な不具合でリコールを出してしまったのは有名な事実だ。この故障警報というのは凄まじい警報とともにブレーキは極めて踏力が大きく効きは雪道以下となるから、一般のドライバーなら間違いなくパニックになるだろう。 対する5シリースはといえば一足先にFMCされた7シリーズ (E65) 譲りの、先代とは打って変わってアグレッシブなフロントと共に先進の電子制御ステアリングにより、F1 マシン並みのクリックさといわれた操舵性は正しく手首だけでクルマを制御できるくらいだった。そしてサイズも寧ろEクラスを上回るまでになり、車格的には完全にEクラスと同等と言えるまでに進化した。それに加えてEクラスが上記のSBC の不具合で100年かかって築いたメルセデスの絶対的信頼を一瞬で失ってしまったというオウンゴールもあり、遂に販売台数でもEクラスに迫るまでとなっていた。 W211: 全長 4,820 x 全幅 1,820 x 全高 1,430o 、W/B 2,855o 実は天下のメルセデスが衰退した理由の一つにはダイムラーが1998年に米国クライスラーを事実上吸収し、メルセデスカーグループとクライスラーカーグループの2本立てとなったが、その為に本命のメルセデスの開発体制まで足を引っ張ることになり、これが新型車開発の技術レベルの低下をもたらした、ともいわれている。結局クライスラーとの協業はメリットが見い出せずに 2007年で事実上の解消となった。 4. W212 vs F10 W211 のリコールではひどい目にあい、それ以上に吸収合併した米クライスラーには足を引っ張られ、コストダウン路線も失敗に終わったことで、それ以後初の新型となった W212 はコストダウン路線とは決別し本来のメルセデスに少しでも近付こうという意志が感じられる真面目なモデルで、当然ながら市場からは好感を持って受け入れられた。先代での大失態となったSBC からは綺麗サッパリ足を洗い、オーソドッククスなバキュームサーボ方式のブレーキシステムに戻ったのは授業料としては痛すぎた。 対するBMW は E60 が先進性とE クラスの自滅が相まって天下のEクラスと人気を二分するまでになり、新型のF10 も言ってみれば正常進化というところで、サイズ的には寧ろ E クラスよりも僅かに大きく、取り分けホイールベースに関しては約100o も長い設定となった。 W212: 全長 4,890 x 全幅 1,855x 全高 1,455o 、W/B 2,875oF10: 全長 4,915 x 全幅 1,860 x 全高 1,475o 、W/B 2,970o |
ということで前置きとしては長すぎる傾向もあったが、両車の歴史的流れ (という程大層なモノでもないが) が判ってもらえただろうか。そんな知ってる事ばかり並べやがって詰まらねぇ内容だったなぁ、とかほざいてるヤツが居るようだが、こういうのは無視してその2に続く。 ⇒前編 その2へ |