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それでは両車の走りを比較するために、先ずは車内に乗り込んでドライバーズシートに座る。その昔 (と言っても30年位前) のクロスカントリータイプの4WD 車はベースが梯子フレームのトラックで、しかも走破性確保のために車高を上げていたから一般に運転席にはよじ登るという感覚で、そのためにボディサイドにはステップが付いていた。しかし最近のSUV の床面はそれ程には高く無く、乗用車感覚で乗り込む事が可能であり、事実今回の２車もステップ等のお世話にならずとも地面から直接床面に足を入れて乗り込む事が可能だ。

シートは今回の２車が AMG (なんちゃっての傾向はあるが) と M Sport だから何れも左右のサボートを重視したいわゆるスポーツシートでホールドも良い。まあ、一千万円以上も出して出来の悪いシートが付いていたら誰も買わないだろうが、そのシートに座ってさてとエンジンの始動はといえば勿論両車共押しボタンスイッチであり、その場所はステアリングに対して右 (GLE) 、左 (X5) の違いはあれど、インテリジェントキーを所持していればボタンを押すだけで簡単に始動する。あっ、勿論このときにはシートベルトを締めてブレーキペダルを踏む事が必要だが。

そして次の儀式はといえば AT セレクターをＤレンジに入れる訳だが、そのセレクターはそれぞれ E クラスと５シリーズと同じ、すなわち GLE はステアリングコラム上で X5 はコンソール上であり、今時のクルマらしく電子式となっている (写真下) 。尤も GLE のようなコラムシフトでメカ式では半世紀前へのタイプスリップ状態になってしまうが‥‥。

そしてパーキングブレーキの解除はどちらも電気式スイッチを使用するが、その場所はGLE はダッシュボード右下端で X5 はコンソール上と対照的だし、その操作もGLE は引いてリリース、X5 は押してリリースとマルで逆になっているから頭が混乱しそうだが、コンソール上では以前のレバーの代わりと思ってレバーを引いてセットだからスイッチも引いてセット、ダッシュボード上の場合は以前なら足踏みペダルでセット、ダッシュボード下端のレバーを引くとリリースされたから、それと同じでスイッチを引いてリリースと覚えれば良い。とは言ってみたが、足踏式でリリースレバーがある (あった) のはメルセデス等の欧州車と国産ではクラウン等の極一部だったが、このクラスのクルマのオーナーならば国産車ではクラウンクラスに乗っていただろうから理解は早いとは思うが、昔はやっとファミリアを買って云々‥‥なんていう、まあこの、成金オーナーの場合は‥‥解っかんねぇだろうなぁ。

スタート時の挙動はどちらもトルコン方式の AT だから極々スムースでブレーキを離した時のクリープも極僅かだ。そして公道に出てアクセルを半分ほど踏み込めば520N-m (GLE43) とか630N-m (X5 50i) とかいう強大な最大トルクを発揮する両車のトクル感は絶大だ。それでも敢えて比較すれば数字的に20％程勝る X5 の方がトルク感は多いように想像するが、この程度のスロットル開度では殆ど違いは感じられない。特に GLE の場合は９速という多段ミッションによる小まめなシフトにより常に適度な回転数を維持できる強みもある。

そこで今度はフルスロットルとは言わないまでも 2/3 程度踏み込んでみる。流石にこうなるとエンジンパワーの差はハッキリ解る程度で、そりゃあまぁ、V6 3.0L の GLE とV8 4.4L の X5 50i 、しかもどちらもターボでは違いがあって当然だ。そうだった、GLE と X5 はハイパフォーマンスの千五百万円超えである63S とM では、どちらもV8ターボエンジン搭載でパワー、トルク共に似たような性能なのだが、その下位モデルである 43 と 50i の比較では元々動力性能に差がついていたのだった。ということはどちらもほぼ同じ約 1,150万円ではあるが、エンジンのスペックから言えば X5 の方が買い得というか割安だったのだ。

ここでエンジンの外観を比べてみると、当然ながら V6 3.0L の GLE 43 に比べて V8 4.4L の X5 50i の方がエンジンルーム一杯に詰まっている感がある。しかし注目すべきはエンジンの搭載位置であり、X5 では巨大な V8 エンジンですら可能な限り後方に搭載して、少しでも前後重量バランスを改善するという設計を行っているのが解る。ただし、写真の撮影時の環境の違いから全く同一条件では無いが、それ程結果に影響は無いだろう。尤もそんなことはメルセデスオーナー、取り分け1千万円超のようなクルマのオーナーならば全く気にしないだろうが、これが輸入車とは言え国産車と変わらないような価格帯のクルマを何やら写真で比較したりすると、早速オーナーからクレームのメールが来たりする。だっからー、安物を扱いたく無いんだよう、と特別編らしい悪態を付いてみる。

もしかして、おぬし、この写真は GLE と X5 の比較ではなく、安物輸入車オーナーを貶すのが目的だったのかぁ、って、いや、めっ、滅相も御座いませぬ。

と、特別編らしい悪態をついたところで、この続きはその２にて。

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