B_Otaku のクルマ日記

放射能関連データ (http://atmc.jpへリンク)



2013年11月9〜15日

2013/11/15(Fri)
自動ブレーキ車事故

既にネットでも報道されているように、マツダのディーラーでの自動ブレーキ体験試乗で、その自動ブレーキが動作せずにフェンスに突っ込み、ドライバーと営業マンが重軽傷を負ったという事故が発生した。

車両はCX-5らしく、報道内容から障害物を模したウレタンの障壁の6.5m先にあるフェンスに衝突したという。原因については調査中ということだが、元来自動ブレーキなんていうものは常に動作するものではなく、事故を完全に防ぐものでもない。走行中にうっかり全車に突っ込みそうになったような時に補助的に作動するもので、それでも多くの状況で役に立つではあろう。

さて、その事故の状況だが、報道されている内容から事故時の様子をイメージしたイラストを創ってみた。

  

上図を元に先ずはフェンスまでの6.5mに問題はないのかを検証してみる。

一番重要なのは進入速度なのだが、これは今捜査中だろうから推定するしか無いが、このシステムは30q/h以上では動作しないということなので、取り敢えず侵入速度V1=30q/h=8.3m/secとして、ここでブレーキをかけた時にフェンスの手前で止まれるのか、という検証をしてみる。

もう一つの仮定はフルブレーキ時の減速度 b だが、普通のドライバーが目一杯踏んだとしてb=6.0m/s2くらいは発生できるとすると、停止距離 S は

  S1 = V12 / 2b=8.32 / (2 x 6.0) = 5.7m

次に衝突してからドライバーが慌ててブレーキを踏むまでの時間を0.2秒と仮定すると、その間の空走距離 S2 は

  S1 = 8.3 x 0.2 = 1.7m

すなわち、衝突後にフルブレーキを踏んだとして、停止までの距離 S は

  S = 5.7 + 1.7 = 7.4m

となり、あれっ? 6.5m先のフェンスでは衝突するじゃん!

それでは、衝突時の速度 V2 はというと、停止まで更にS2 = 7.4−6.5 = 0.9m必要な速度だから

  V2 = √(S2x2 x b) = √(0.9x2 x 6.0) = 3.3m/s = 11.9 km/h

ということで、この計算では11.9q/hでフェンスに激突したことになる。

まあ、以上はあくまでも仮定の上での計算事だから単なる参考にしかならないが、それでも30q/hで突入して、何らかの理由でシステムの動作条件を満たさなければ、フェンスまで6.5mではまず衝突する訳で、これは場所のセッティングが悪いということになる。

因みにボルボが数年前に同じような体験を主力ディーラーで実施していたが、その時の様子が下の写真だ。

  

写真を見れば、フェンスまでの距離は6.5mどころか、確実に10m以上はあるし、模擬障害物も下にヒンジが付いていて、衝突すると簡単に倒れるようになっている。更には前方の視界も十分で、デッカいウレタンの塊なんていう先の見えないモノを使うようなアホなことはやっていない。

そして最後に一番言い難い事を言えば、ボルボとマツダの最大の違いはユーザーの階層だということだ。ここで、いつもならばこの件で毒舌を吐くところだが、今回は前半でマジな検証をしてしまったために、頭の中のモードが変わってしまって、上手い言葉が出てこないので、これにて失礼する!




2013/11/14(Thu)
Nissan Qashqai (2014)

前回のX-トレイルと兄弟関係のキャッシュカイ(日本名デュアリス)も新型が発表された。

 

大きく変わったX-トレイルと比べて、こちらは基本的にはキープコンセプトのエクステリア。ただし、ウエストラインはリアドアの後端から大きくキックアップしている。

前回も記したが、欧州ではX-トレイルよりもキャッシュカイの方が圧倒的に売れている。

 

インパネはX-トレイルの写真を間違って貼ってしまったかと思うほどに同じ、というよりも共通のようだ。

デュアリスはX-トレイルよりも落ち着いた雰囲気で中高年向きという趣があったが、今回はX-トレイルもデュアリスに近いスタイルになってしまったから、さて、どういう住み分けをするのだろうか。

なお、オリジナル記事の参照を希望する場合は下記にて。

   http://www.netcarshow.com/nissan/2014-qashqai/




2013/11/13(Wed)
ラジエターグリル<5>

ドイツ、イギリスの次として、今回はイタリア車を取り上げてみる。

フィアット

イタリア最大のカーメーカーといえばフィアットであり、操業開始は1899年というから世界的に見てもカーメーカーとしての歴史は長く、また現在のフィアットグループは航空機、農業用トラクタ、そして新聞社も傘下に収めているイタリアでも有数の大企業となっている。そして、最近はクライスラーにも資本参加をしていて、日本でもクライスラー ブランドのランチャ(これもフィアット傘下)が販売されているなど、その影響が感じられる。

 

このように長い歴史を持つフィアットではあるが、ドイツ車のようなグリルにアイデンティティは無いようで、その時の状況で色々な形状のグリルを付けているのは日本車と同様だ。まあ、大衆車主体のフィアットだからアイデンティティは必要ないとも言える訳で、これはトヨタが無個性なのと共通している。

しかし、フィアットも1970年代前半は経営危機に陥り、全く新型車が出せない状況もあったが、1980年代初頭のパンダの成功によって危機を乗り越えて、今では前述のようにクライスラーへの資本参加や、イタリアの中小メーカー、すなわちアルファロメオ、フェラーリ、マセラティ、ランチアなど軒並みフィアットの傘下となっている。

 

 

アルファロメオ

アルファロメオは戦前からの高級スポーツカーメーカーであり、今で言うとフェラーリのような存在だった。フェラーリといえば創始者のエンツォ フェラーリは戦前にはフェラーリのレーシングドライバーだったくらいで、それに比べると現在のアルファロメオは随分と庶民的になってしまった。

 

アルファロメオのラジエターグリルといえば盾の形を思い浮かべるが、それは1930年代の後半からのようで、名車8Cは未だ盾形のグリルではなかった。その後は現在に至るまでこのグリルを承継していて、イタリア車のグリルでは最もアイデンティティが確立しているもので、しかも車名もジュリエッタなどは1950年代と同じ、というか復活させたのだが、このブランド価値は大したもので、その過去の栄光を上手く使っている。

 

 

フェラーリ

イタリアといえばスポーツカー、スポーツカーといえばフェラーリというくらいに、高級&高性能スポーツの代名詞がフェラーリであり、ポルシェなら頑張れば普通のサラリーマンでも買えるが、フェラーリはチョイと無理、という位置にある。

アルファロメオのところで触れたように、フェラーリは戦後になってからの企業であり、伝統という面では大したことはないのだが、一貫したF1での活躍がフェラーリを神話的な魅力のクルマにしている。

 

そのフェラーリのラジエターグリルはといえば、一言でどれと言えないのは車高の低いスポーツカーに共通の現実で、ポルシェなども独特のグリルというものは無いのと同じだ。ただし、この20年ほどはある程度共通したグリル、というかバンパー内のエアインテイクを持つようになって、その中央には跳ね馬のマークがついている。このマークこそがフェラーリのアイデンティティという訳だ。

そういえばポルシェのクレストマークにも中央に馬が付いているが、スポーツカーは現代の馬という訳で、それならミニバンはといえば、これは馬車だろうか。

 

つづく




2013/11/11(Mon)
Nissan X-Trail (2014)

国内では12月頃にFMCされると言われているニッサン X-トレイルだが、実は欧州ではフランクフルトショーで発表され、既にオフィシャルフォットも公開されている。ご存知のようにX-トレイルとデュアリス(欧州名はキャッシュカイ)は主要なコンポーネントやプラットフォームを共有するボディ違いの兄弟で、その販売割合はX-トレイル:デュアリスが日本では概ね7:3で、欧州では逆に3:7となっていた記憶がある。

 

従来のモデル(写真右の赤いクルマ)では四角四面のエクステリアだったX-トレイルだが、新型は丸みを帯びて、何やら兄弟分のデュアリスに似ているようにも感じるのは、欧州でのシェアを伸ばそうという目論見でもあるのだろうか。

 

そしてインテリアも、現行車の面影はない位にデザインが変わっている。

 

国内向けは恐らくもうすぐ開催される東京モーターショーで発表されるだろう。

なお、オリジナル記事の参照を希望する場合は下記にて。

   http://www.netcarshow.com/nissan/2014-x-trail/




2013/11/10(Sun)
ラジエターグリル<4>

ジャガー

アストンマーチンは超高級クラスであり顧客は貴族を含む上流層であるが、もう少し一般的な英国の高級車メーカーとして思い浮かぶのはジャガーの存在だ。ジャガーの創始者であるウイリアム ライオンズは、自動車メーカーの見習い工から身を起こし、最後には貴族にまで成り上がったことで、車自体も言ってみれば庶民から見た貴族的な趣味となっている。

 

戦前の名作SS 100のスタイルを見ると、何やら前回のアストンマーチン ラゴンダ V12に似ているが、これが当時のイギリスのトレンドだったのだろうか。なお、ジャガーという車名になったのは戦後からで、戦前はSSカーズという名称だったが、SSというのはナチスの親衛隊を連想するということからジャガーカーズに社名変更したものだ。

ジャガーサルーンとしての成功作はマーク2であり、このラジエターグリルのスタイルがその後も近代化されながら引き継がれている。ところで、マーク2って車名は? そうです、トヨタの一斉を風靡したサルーンであるマーク2という名称は、何を隠そうジャガーをパクったわけで、国内向け以外ではマーク2の名称を使っていないのは、こんな事情があるからだ。

そのジャガーにはロールスロイスの”フライング・レディ”に対して、(動物の)ジャガーのオーナメントが付いているが、これって対歩行者の安全対策からみれば保安基準をどうクリアしているのだろうか?と思えるようなスタイルをしている。

 

そして近代のジャガーサルーンで忘れてはならないのが60年代後半に発売されたXJであり、その後6も大いに成功して定番高級車の仲間入りとなって現在まで続いているが、XJらしかったのは写真右下の先代モデルまでで、最新のXJは大分イメージが変わっている。

 

ジャガーは戦前からのスポーツカーメーカー(SS時代から)としての伝統もあり、戦後はDタイプというレーシングスポーツが活躍したが、何と言ってもスポーツカーとしての成功はEタイプだろう。長いボンネットを持つ、如何にもスポーツカーらしいEタイプは、高性能スポーツとしては比較的安めの価格設定もあり大いに売れて、高級スポーツの代名詞的にもなり、そのスタイルは日本のトヨタ2000GTやフェアレディZにも大いなる影響を与えていた。

そのEタイプのラジエターグリルはといえば、特に特徴的なモチーフを持っているわけではない。一般にスポーツカーの場合は、ラジエターグリルのアイデンティティというのは表現しずらいようだが、アストンマーチンのようにシッカリと特徴的なグリルを持つ高性能スポーツもあるので、一概には言えない。

 

ジャガーの経営権は戦後何度か売り渡されて1989年にはフォード傘下となったが、その後のフォードの経営不振により、結局現在はインドのタタ モータース傘下となっている。タタ モータースって? そうです。例の超低価格車”ナノ”で話題のインドの民族資本メーカーが現在のジャガーの経営権を握っているのだった。更に、同じく英国の高級オフロードメーカーのランドローバーもタタの傘下となっている。かつては大英帝国の植民地だあったインドの企業が、今では英国の名門企業だったジャガーやランドローバーのオーナーなのだから、時代は変わったものだ。

その他の英国車

戦後の日本車は欧州車のノックダウンから始まったメーカーも多く、ニッサンはオースチン、いすゞがヒルマンというように何れも英国車だった。その英国の現在の量産車メーカーはといえば、はて? かつては繁栄を誇った英国の自動車産業は既に殆ど消滅状態で、今では逆にトヨタ、ニッサン、ホンダなどを生産しているという、何とも落ちぶれてしまったものだ。

次回はラテン系を取り上げてみる。




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