Volvo XC60 試乗記特別編
  [Volvo XC60 vs BMW X3 前編 その1
]

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

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昨年の日本カー・オブ・ザ・イヤー (JCOTY) で第一位に輝いたボルボ XC60 は、どうせ接待漬けにあった似非評論家が忖度して選んだんだろう、と思いながらも念の為に試乗して見たらば、いやこれが中々の出来で、これは強ち現ナマ攻撃の結果でも無さそうだという事で、それならばライバルとして同クラスの定番となってる BMW X3 と比較しようという事に相成った。

実は昨年末に X1 が FMC された時に BMW ジャパンの関係者がライバルはボルボ XC60 と言っていたので、ある程度は想像してはいた。更に ボルボ XC60 は先代モデルも発売直後に試乗している。正直言ってボルボというは決して興味のあるブランドではなかつたが、この SUV に関しては以前からドイツの某有名部品メーカーのエンジニアが、もっとも良いクルマとして名前を挙げていたという事から興味があっての事だった。
  ⇒ Volvo XC60 T6 (旧) 試乗記

ここで両車のエンジンバリエーションを纏めてみると XC60 は4種類のエンジンがあり
@ "T5" 2,0L Turbo 254ps 350N-m
A "T6" 2.0L Turbo + S.C. 320ps 400N-m
B "D4" 2.0L Diesel Turbo 190ps 400N-m。

ともう一つツインエンジンの "T8" があるが、まあこれはチョイと別格として、事実上は3種類となる。しかし今現在では型式認証が取得されているのは@のみで、当然ながら試乗車もこの T5 しか存在しない。

次に X3 の状況はといえば国内発売は昨年10月だが、これも例によって全てのラインナップが同時に発売される事は無く、最初は xDrive 20d からの販売であり試乗車も勿論 20d だった。
  ⇒ BMW X3 xDrive 20d 試乗記

それでは XC60 と同様にガソリンターボはといえば、xDrive 20i となるが、これは下の表でも判るように XC60 T5 と同じ 2.0L ターボとはいえチューニングが低めで、T5 と同等の性能のものは xDrive 28i とでも呼ばれるのだろうが、今の段階では設定が無い。

実は X3 のクーペ版では 2.0L ターボエンジンの性能が T5 と同等な xDrive 28i があるが、これは旧 X3 ベースでありエンジンも一世代古い等、中々上手くはいかないものだ。まあ少し (1〜2年?) 遅れて新型ベースのX4も発売される筈だが、この手の派生モデルは如何しても後回しになる。
  ⇒ BMW X4 xDrive 28i 試乗記

それでは本題に入って、先ずは両車のエクステリア比較から始める。なおグレードは XC60 が上級の T5 Inscription (679万円) 、X3 は xDrive 20d M Sport (710万円) と価格的には一応同一価格帯であり、これがガソリンエンジンの xDrive 20i M Sport ならば 687万円と XC60 とほぼ同価格となる。なお、X3 の場合、同じ M Sport なら 20d と 20i のエクステリアは同一と考えて良いだろう。

フロントは最近のトレンドだろうか両車共逆スラント気味となっている。XC60 は Inscription という決してスポーツグレードとは言えないモデルだが、フロントバンパー左右のエアインレットの形状など中々にアグレッシブなデザインとなっている。対する X3 は M Sport らしく当然ながらスポーティーな顔つきをしている。

リアから見ると同じ分野 (SUV) のクルマらしく基本的には同じようなスタイルだから、クルマに興味が無ければ区別は付かない? いや、もしかしたらマツダ CX-5 だって同じに見えるかもしれない。えっ、 CX-5 はサイズが違うだろう、って? いえいえ、2台を並べない限りは結構判らないモンっスよっ。

フロントビューでは当然ながら両車のアイデンティティであるラジエターグリルの話題になる。ボルボの斜めたすき掛けのラインは 1927年の PV4 に端を発するというから充分に伝統に値するが、何故かこのグリルは 2年後の 1929年迄で、その後は途絶えてしまっている。そしてこれが復活したのは 1966年の 140/160 シリーズからだった。

これに対して BMW のキドニーグリルは 1933年の M303 からだから、な〜んと、ボルボの方が早かったのだ!

リアについては XC60 ではボルボとしてのアイデンティティでもあるルーフに迄延びるリアコンビネーションランプで、これは 1995年の 850 では実施されていたが、それ以前の 700/900 シリーズでは極オーソドックスなものだった。ところで、このルーフまで伸びるテールランプをスプリンターカリブのパクリじゃん、とか言っている国産車オタクがいるが、カリブの場合は2代目から採用されていて、その2代目は 1988年の発売だから、1995年のボルボ 850は‥‥あれっ? それって、カリブの方が遥かに早いじゃねぇか! 本当かあ?

そして X3 はといえば、まあ BMW は元々リアには大きな特徴が無いのが特徴 (?) だから、一目で BMW と判るかといえば‥‥少し小さいがナンバープレートの上にあるプロペラマークを見れば直ぐ判るといえば判る。

 

今度はサイドビューを比べてみると、サイズとしては XC60 が 全長 4,690 x 全高 1,660o 、ホイールベース 2,865o で X3 は 全長 4,720 x 全高 1,675o 、ホイールベースは同じく 2,865o だから殆ど同サイズと言って良さそうだ。またドアの下1/3 位置にあるキャラクターラインは XC60 の方が少し大げさだが概ね同じような傾向があるなど、結構類似点も多い。

その昔、といっても戦後から20年位の間はヘッドライトと言えば灯具とフィラメントが一体となったシールドビーム方式で、言ってみれば規格品を使うのでどれも皆同じ丸くてダサいのが当然だった。それがハロゲンバルブを使うようになってヘッドライトは独自のデザインを採る事が出来るようになった。そして次の段階ではハロゲンからキセノン (HID) が主流になりつつある状況で、今度は LED が一気に増えて行った。この LED は複数の素子を組み合わせる事が出来るので、キセノン時代には不可能だったデザインが可能となった。

そういう背景の元に XC60 のヘッドライトを見ると、何とライトの中心にスモールライトが横切るという以前では考えられないデザインとなっている。そして X1 はといえば BMW の特徴であるリング型のスモールライト (通称イカリング) を使用しているのは当然だが、更に上辺にもライトが仕込まれているなど、LED 時代に対応している。まあこの部分の先進性では XC60 の方が上であろう。

リアゲートを開けてリアラゲージルームを比べると、これまた両車共左右の張り出しも小さく、奥行きも似たようなものであり、これまたほぼ同一条件と見て良いだろう。

次にインテリア比較に進むが、この先はその2に続く。


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