Mazda CX-5 XD (2018/2) 後編 その1


  

最近の SUV らしくクルマに乗り込む為にステップに足を掛けてよじ登ったりする事は無く、乗用車感覚でドライバーズシートに座れる。まあその前にステップなんてぇモノが付いて無いが‥‥。さてシートに座ってみると何となく座面が小さ目な気がする。CX-5 はCセグメントだから決して室内も広く無いし、シートだって少し小さ目でも別におかしくは無いが、BMW X1 のシートはもう少し幅があったような記憶があるが確信は無い。それでシート自体はというと表皮はファブリックだから滑りに難いし、シート形状やクッションの硬さ等も適度で特に不満は無い。実はマツダのシートはその昔国産車 (特にトヨタ車) が田舎の安キャバレー (表現が古〜い!) っぽい、とてもクルマのシートとは思えないようなものが当たり前だった頃から、欧州車っぽいシート表皮&形状だったくらいだ 。

エンジンの始動はセンタークラスター右の押しボタンを使用するという、場所も方法も最近の主流だから迷う事は無い (写真21) 。AT セレクターはコンソール上のオーソドックスな位置にあるが、初代のジグザグゲートから直線式でレバーの根元にはブーツが掛った最近のトレンドに改められている (写真22) が、パターン自体は前からP→R→N→D、Dから右でマニュアルモードと変わらない 。

エンジンがアイドリング状態となって、さてディーゼルエンジンの振動はと言えば特に気にしない限りは全く問題ない。勿論神経を集中すればガソリンエンジンには無い細かい振動はあるとはいえ、これは現行のディーゼルとしては極普通だ。そして音も殆ど聴こえないが、実はアイドリングのままドアを開けたらディーゼル独特のメカ音がそれなりに聴こえたから、早朝の静かな住宅街ではアイドリングも早々にしたくなるだろう。

パーキングブレーキは新型の場合、コンソールの AT セレクター手前に電気式のパーキングブレーキと一目で判るスイッチがあるから、これを押せば解除される (写真23) 。ペダル類の配置は最近のマツダが提唱している踏み間違いの起こり難い配置で、アクセルペダルを極力右に寄せている (写真24) 。そのアクセルを少し踏んでユックリと前進して公道の前で停車し、クルマの切れ目で本線に入ってから加速すると、そこはディーゼルらしく低回転域から充分なトルクが感じられる。一端 40q/h 位まで加速して次の信号で全車に追付く。そこから流れに乗って走ってみと充分なトルクで巡航するし、トランスミッションもトルコン式の AT だから CVT よりもメリハリがあるのは評価できる。ただしこれらは飽くまでも大人しい運転のドライバーを想定した場合だ。

流れに乗っている国道から逸れて狭い裏道に入ると、当然速度は遅いのでこの程度の領域ではトルク不足は感じないし、交通状況により速度が落ち過ぎてから再加速の為にアクセルを2/3 程踏んだ時のシフトダウンとその後の加速もまあ問題は無い。ただし「おっ、これは凄い」というようなレスポンスでは無いが、まあそれは 300万円のこのクルマに求めるのが間違いであり、こういう要求をするドライバーには BMW X1 xDrive 25i (627万円) クラスを買ってもらおう。

写真21
エンジンのスタートスイッチは多少場所が違うが何れもセンタークラスター右端にある。


写真22
初代はジグザグゲート、新型は根元にブーツの掛った直線タイプ、パーキングブレーキも電子式とレバー式と時代の
違いが感じられる。


写真23
新型のパーキングブレーキスイッチはオーソドックスな形状で直ぐにそれと判る。


写真24
ペダル配置はアクセルペダルが右に寄っていて、マツダの提唱する踏み間違いし難い配置となっている。

今度は県道に出て少し速いペースで走り始めたので、ここでスポーツモードを試す事にする。CX-5 のモード切り替えスイッチはコンソール上の AT セレクター右隣りに‥‥あれっ? 無い! 何と走行モードが切り替えられるのはガソリン車のみで、今回試乗しているディーゼル車には無いのだった。その理由は‥‥ハテ? ディーゼルにモード切り替えは無意味なのか? とも思ったが、例えば BMW車にはディーゼルだってシッカリと走行モードに切り替えはあるし、これをスポーツに切り替えるとディーゼルでも結構スポーティーなレスポンスとなるのだが。

まあ無いモノは仕方が無いので、このままで信号待ちからフルスロットルを踏んでみる。すると回転計の指針は一気に駆け上る事は全く無くて、寧ろ少し弛んだ感じで上昇して行く。特に最大トルク発生点の 2,000rpm 以降はかなり間怠っこしくて、回転がユックリとしかも苦しそうに上がって行くのが感じ取れる。

ここで新旧のメータークラスターを比べてみると、どちらも基本的な配置は同じだがメーター自体は中央の速度計と左の回転計がそれぞれ、あれっ、同じだ。それでも良く見れば初代では速度計の下の部分に小さなディスプレイが組み込まれていたが、新型ではそれが無くなっている。ではそれは何処に行ったかと言えば、右の液晶パネルの表示部が大型化されて、こちらに統合されたようだ。それ以上に同じなのが各メーターのフードで、ついでにメータークラスターの樹脂製枠も流用と思える。

写真25
メータークラスター自体は初代からの流用のようだが、速度計内のディスプレイと右側の液晶メーターが異なっている。

この先はその2へ続く。

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