Lexus NX 200t & 300h 特別編 [Lexus NX vs Toyota Harrier 前編 その2] 特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。 |
次にインテリアの比較を行うが、インリアというのは同じクルマでもグレードにより結構差を付けている事が多く、比較の際には極力同一クラスのグレードになるようには心がけているが、何しろ写真撮影に際して希望のグレードがある保証も無く、結局少し変則的な比較となってしまうことが多々ある。それで今回の場合はといえば NX は原則として比較表と同じベースグレードを使う事にする。ところがハリアーはといえばガソリン 4WD でグレードは PREMIUM ”Style MAUVE" とかいう 343万円也のモデルとなってしまった。比較表に掲げたベースグレードは 288万円だからそれよりも50万円以上も高いということになるが、それでも NX との価格差は100万円程あるから、それだけの差があっても内装の豪華さはハリアーが優っている‥‥という状況もまた面白いかと納得してもらうことにする。 それで早速ドアを開けて見えるインテリアを比べると、内装材の差などはあるにしても両車の雰囲気は似ているのは、同じメーカーどころか同じプラットフォームだったりするから当然だが、それでも100万円の差はどこかを見るにはもう少し拡大して細かく比較する必要がある。 ![]() ではその拡大比較の最初はシート調整用のスイッチ付近と、高級車には何故か必ずと言っていいほどに付いているスカッフプレートとかいう部分だが、シート調整はどちらも電動式でその調整スイッチも形状はかなり似ている。というか事実上同じモノに対して NX ではシンボルマークを白で印刷しているだけの違いだった。更にはこの2車のシートのベース部分も全くの共通に見える。またスカッフプレートの質感も似たようなもので、違いといえば表示さているロゴが高級車の証でありセレブの子弟が通うブランド幼稚園でも輸入車と同等に扱われて園内の敷地まで乗り入れが許される "LEXUS" と、かたや "HARRIER" という大衆ブランドであるトヨタの、大衆用中型 SUV のロゴという違いだから、これに150万円の価値を見いだせるオーナーは幸せだ。 ![]() シート表皮については NX はベースグレードらしく欧州調のファブリックだが、材質もステッチも結構質感が良いのは LEXUS ならではであり、これなら BMW (の安物) 辺りと比べても決して惨めにはならない。対するハリアーはかなりの上級グレーのために、本皮シートが付いていた。その本皮がまたトヨタではお馴染の如何にも硬くてゴワゴワしていて、ちょっと古くなるとひび割れしそうなモノで、個人的にはこんな本皮を使うくらいならば質の良いファブリックの方が余程洒落ていると思うのだが、"本皮" の文字に "高級" を感じるユーザーにはこれが必要なのだろう。まあ回転寿司で通ぶってヒラメのエンガワ (実は得体の知れない深海魚の巨大な背びれからとったモノ) を注文するようなものだが‥‥。 なおハリアーなどのカタログには本皮の部分に注記があって、一部には合成皮革を使用している旨が記されているのも定番だが、さて右下のシートはどこまでが本皮なのだろうか? そしてLEXUS はといえば金さえ出せば国産車の本革シートとしては例外的に質感の高いセミアニリンシートも選べるし、スタンダードの本皮でも決して悪くはないが、双方とも薄くなめした柔らかい質感の皮だから、BMW のダコタレザーみたいな分厚くてシボのハッキリした本皮が好きなユーザーはチョイと馴染めないかもしれない。 ![]() ドアーのインナートリムについてはこれまたグレードにより異なる部分だが、写真の NX はプレミアムブランドとしてはマアマアで、欧州製ライバルに比べると何となくイマイチ感もある。対するハリアーは写真のクルマが上級グレードということもあるが、如何にもレザーっぽパッドの表皮とゴッツいステッチ、そしてピッカピカのブラックパネルが眩しいパワーウィンドウスイッチなど、成金的高級感で満ち溢れている。このレザーの質感ならば年に一度くらいしか使わない応接間のソファーとそっくりだから知人を乗せても大いなる自慢ができるだろう。 ![]() 次にダッシュボードを比較する。 |
![]() プラットフォームがほぼ共通の2車であるが、流石にダッシュボードのデザインは全く異なり、いや寧ろ必死で違いを出そうとしているかにも見受けられる。特にセンタークラスターについては NX が最近のトレンドであるダッシュボード天板よりも飛び出したディスプレイを使用して走行中の視線移動を最小限に抑えているのは、米国でのライバルであるBMW などと同様の方法である。 対するハリアーは国内専用車であり、NX 程には徹底した欧州調にすることもないからクラウンなどと同じように、デカ目のディスプレイを上部とはいえダッシュボード内に収める程度としている。なお、ディスプレイのサイズは NX ではBMW 程でもないが横長の傾向であり、ハリアーは従来の縦横比がそれ程でもない、アナログテレビのような比率だ。まあ横長ディスプレイというのは画面を2分割したりして使うものでパソコン世代では何の違和感もないが、IT から取り残された世代では使いこなせないから、トヨタブランドで横長なんか採用したらばクレームの嵐となってしまう。 パソコンなんて言うものは最近のティーンエイジャーだったら多くが当たり前に使いこなせるが、特に40代以降では職場環境により全く使ったことが無い、というケースも結構ある。えっ、職場環境って? といえば、要するにホワイトカラーであり、大企業であれば10年ほど前から当然のように業務の殆ど全てが IT 化されていたから、パソコンを使えないというのは死活問題だった。 ということは、○X△はレクサスを買わないということか? ![]() さてそのセンタークラスターに配置されているパネル類はといえば、先ずはエアコンについては両車とも全く違う質感を採用しているが、これはもう好みの問題だろう。 ![]() そしてオーディオについては NX ではレクサスらしく、というよりも欧州プレミアムブランドなどと同様に細かい作業はコンソール上のコマンド入力デバイスとディスプレイを使用するが、常に使うであろうボリュームや選曲スイッチなどを並んでいるタイプだ。対するハリアーはディスプレイの左右にオーディオ関連スイッチを並べているという日本的なものだ。 ところでハリアーのディスプレイの下端には ”JBL” のロゴが誇らしげに付いているから、このクルマにはプレミアムオーディオが付いていたようだ。写真の NX には付いていなかったが、レクサスの場合にも当然ながらプレミアムオーディオはオプション設定があり、ハリアーの JBL に対してレクサスではマークレビンソンが用意されている。その昔、セルシオにマークレビンソンのオーディオが設定された時にはアッと驚いたが、実は日本の大手オーディオメーカーが OEM として納入ているもので、確かにカーオーディオとしては高級品なのだろうが、本物のマークレビンソンとは比べるまでもないモノで、この辺のブランド戦略は北米において短期間でブランド品としても名声を確保したレクサスの戦略の上手さを感じる。 ![]() ここまでの比較ではハリアーも結構頑張っていて、少なくとも100万円以上の差は見いだせない、といったらば高級品の価値を理解できない田舎者、との烙印を押されるとイケないので此処は一つ判ったような顔をしておこう。 というわけで、何時ものようにこれ以降はインテリアでは残る走行に関する部分と、肝心の実際の走りについて比べることにするが、この続きは後編にて。 ⇒後編へ |