Lexus NX 200t & 300h 特別編
  [Lexus NX vs Toyota Harrier 前編 その1]

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

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パクリが多いと言われているトヨタではあるが、軍用車や作業車がルーツのクロスカントリー4WDとは異なりより乗用車に近いクロスオーバー4WDという分野では、トヨタ ハリアーをルーツと考えても良さそうだ。そのハリアーは米国では高級車チャンネルのレクサスブランドから Lexus RX として販売され、高級SUV のジャンルを確立したことで、今では他の高級車メーカーも当たり前のように参入している。

このハリアーは日本国内でのレクサスチャンネルの新規展開により生産中止との噂もあったが、何と従来車種をそのまま作り続けて、結果的には2013年に生産中止するまで10年間に渡って販売されていた。そして2013年に新たに FMC されたハリアーはもはや Lexus RX とは全く異なるモデルとなっていた。実は現行ハリアーのベースは RAV4 の海外向けロングホイールベース仕様であり、輸出用だろうがロングホイールベースだろうが RAV4 には違いなく、これは RX に比べて明らかに格下というか車両セグメントが一つ下となっていた。

ということから以前は事実上同一車種だった Lexus RX とハリアーを現行モデル同士で比較するという案はボツとなったが、それではハリアーと同クラスのサイズを持つレクサスの車種は無いかといえば、約2年前にブランニューモデルとして発売された Lexus NX がサイズ的にはハリアーに違いことから、今回の比較は Lexus NX vs ハリアーということに相成った。

ということで先ずは両車のスペックを比較してみると、アウターサイズはほぼ等しく、ホイールベースも全く同一となっていた。あれっ? ホイールベースが同一って?? そこで NX のプラットフォームを調べてみたらば ”新MCプラットフォーム" を使用しているということで、それってカローラやRAV4、そしてオーリス、ブレイドなどでも使用していたものだから‥‥RAV4 と同じということはハリアーとも同じ、というよりも現行ハリアーは新MCプラットフォームを使用しているのは公知の事実で、要するに NX はレクサス版のハリアー、というかハリアーの高級仕様ということのようで、それなら今回の比較はレクサスブランドのプレミアムカーとその兄弟 (本当は二卵性双生児くらいだろう) の比較となり、これは実に真っ当な企画だった (と自画自賛してみる) 。

 

という事で上の表から両車のエンジンバリエーションを比較すると、どちらもガソリンとハイブリッドが用意されているが、ハイブリッドでは NX が2.5L + 143ps モーターを組み合わせてシステム出力が197psであるのに対して、ハリアーハイブリッドは同じエンジンにフロント143ps とリアには68ps の電気モーターを組み合わせた4WDで、システムパワーは197ps と全く同一値となっている。なお、NX にも4WDモデルがあるが、ハリアーハイブリッドは2WD (FWD) が存在しない。

あれっ、要するにハイブリッド同士を比べると両車は同じパワートレインを使っているのだった。なお、上の表には無いが NX300h の4WD 仕様はハリアーハイブリッドと全く同じ、すなわちリア用として68ps モーターが追加されているものだった。まあそんな事を言うまでもなく両車のエンジン及び電気モーターの型式は同一だから両車のパワートレインは共有という事になる。ということはシャーシー系と駆動系が共通‥‥はあっ? 要するにハイブリッドモデルに関してはボディこそ違うがクルマとしての中身は事実上同じだった。

次にガソリンエンジンのモデルはといえば、こちらは両車共2気筒 2.0L ではあるが NX 200t の車名からも想像できる通りでターボモデル、いわゆる最新のダウンサイジングエンジンだが、ハリアーは自然吸気で言ってみれば時代遅れだし、このボディを持って 150ps のパワーも心細い。

そして両車の価格差だが、パワートレインを含めて殆ど同じハイブリッド 4WD 同士で比べると NX が概ね 150万円も高い設定となっている。ガソリンの場合はエンジンが違うから価格差は当たり前だが、その差はやはり150万円程である。しかしどう考えてもガソリンモデルの方が差が大きくなりそうだが、そうでもないのは戦略的にダウンサイジングターボに買い得感を持たせたいために少し割安にしているのか、それともレクサスとトヨタの差は150万円と決めての価格設定だろうか。

以上のような背景が判ってきたところで、2車のエクステリアを比較してみる。

フロントデザインは NX の場合、最近のレクサスのトレンドであるスピンドルグリルを使用しているのは当然であり、これで一目見ればこのクルマがレクサスと判る‥‥かといえば、世間での認知度はベンツマークなどに比べれば遥かに低いが、高級幼稚園のブランドママたちなら一目で判るから心配無用で、下手に貧乏人に高級車と知られると妬みから傷をつけられたりするので返って判らないくらいで良いのだ。

対するハリアーのフロントフェイスは例によって無国籍風でどこのクルマか判らないが、それでも貧乏人の間では憧れの SUV だが、ブランドママの間では嘲笑のネタとなるのでご用心を。ただしハリアーだってスペシャルグレードの G's ならばレクサスと見紛うばかりの立派なグリルが付いている。なお NX も F Sport となるとよりアグレッシブなグリルとなる。

正面から見た時のサイズはNX の全幅 1,845 x 全高 1,645o に対してハリアーで全幅は10o 狭いだけで、全高に至っては45o も高いから、遠くから見た時の迫力だってハリアーは NX に負けていない。この一般庶民から見ればビッグサイズの SUV の迫力は相当なものらしく、狭い道で相手が譲ってくれるので大きさの割には結構走り易いし優越感も味わえる。

それでついつい狭い道を走りたくなるが、そうしたら対向車のワゴンRがビビったように道を譲ってくれるのが判る。何とまあ良い気分なんだと感慨に浸っていたらば向こうからバカでかいカエルのような顔をした SUV が大迫力で迫ってきた。やっ、やっ、ヤベエ。今度はこちらがビビりながら道を譲る羽目になってしまった。それでスレ違いざまに運転席のドライバーの顔を見たらば、やっ、やっ、クルマ以上にヤバイその筋の風体で、こんなクルマに傷をつけたら後ほどこわ〜いお兄さんが家庭訪問にやってきそうだ。クワバラクワバラ。

因みにそのドライバーって、どこかの組長かと思ったら、実は何処かの外科クリニックの院長だったりして‥‥。まあ刃物を振りかざして相手の体を切った貼った、という点でも似たようなものだが。それにヤク (薬) だって使うし!

サイドビューを比べてみると NX のウエストラインから上が低いのが判る。これにより NX の方がスポーティーに見える訳で、その違いはルーフの低さであり、結果として NX の方が全高が45o も低いという結果になっている。

う〜む。敵はスポーティー路線で来たか。

リアビューは特に大きな違いはないし NX とて一目でレクサスと判るアイデンティティを持っているわけでも無い。それでも全高が45o 低いことにより NX は SUV としては全体に低めのプロポーションが感じられる。

ライト類は NX では3眼LEDヘッドランプと同じくLED のフォグランプ & コーナリングランプ (ただし F Sportを除く) で、ハリアーはロービームが LED ヘッドランプとなっている。まあ見た目の斬新さでは NX に軍配が挙がるが、これも 150万円差のウチだ。

リアは其々のエンブレムがあるのは当然だが、NX ではクロームメッキが燦然と輝く変形にデザインされたマフラーカッターが目に付く。

次にインテリアに進むが、この先はその2に続く。


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