| FORD MUSTANG V8 GT COUPE PREMIUM (2015/2) 前編 | |
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今でこそ街中には欧州車が溢れていて、特にマニアではなくもBMWを所有したりするユーザーが多くなり、逆に多くの日本人がアメ車といえばデカイだけの時代遅れでマトモに曲がらないようなクルマ、という認識になってしまったのだが、現実に今のアメ車の実力はどの程度なのだろうか。その疑問への一つの回答として2年ほど前にクライスラー300に試乗したが、まあ昔ほどではないにせよ欧州車は勿論、日本のオヤジ車であるクラウンと比較してもトロいステアリングや強いアンダーステアで曲がらないなど、やっぱりアメ車だわい、という結果だった。 ⇒ Chrysler 300C Luxury 試乗記 (2013/5) しかし300 は実用セダンだから、米国でのユーザー嗜好や道路環境からしたらこうなるのは仕方ない面もあると思い、今回はもっと若者嗜好のクルマということでその昔一世を風靡したフォードマスタングの中から、これぞアメ車ということでV8 GT を選んでみた。ここでちょっとマスタングの歴史 (という程大層なものではないが) をまとめてみる。 1964年に初代モデルが発売されて全米で大ヒットとなったフォード マスタング (写真1) は、当時の日本車の実情からすれば正に夢の様な車で、中小企業の社長さん達に乗る国産高級車であったクラウンやセドリックでさえ 2.0L の時代に、マスタングはベースモデルでも 2.8L であり、上級モデルに至っては V8 4.7L という凄まじさだった。しかもマスタングは米国では若者向きの低価格車というのだから驚いた。そして初代マスタングは翌年にファストバックモデル (写真2) が追加され、これが当時の日本人からすればあまりの格好良さに、思わずため息を付いたモノだった。 この初代ファストバックモデルは多くの映画に登場し、例えば1967年モデルはワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFTに、そして極めつけは1968年のブリットで、スティーブ マックイーンがドライブするファストバックGT と敵の乗るダッジチャージャーとのサンフランシスコの急斜面でのカーテェイスシーンを見たくて、公開直後に渋谷東急文化会館にあったパンティオン (知ってるアナタはジジイです) で満員電車のような混雑の中で立ち見したのを思い出した (写真3) 。 ところで初代マスタングが発売された1964年から6年後にトヨタから発売されたセリカは、日本版スペシャティティーカーとして新たなジャンルを切り開いた車だったが、言ってみれば日本版マスタングだった。そして3年後にはリフトバックが追加されたが、これこそマスタング ファーストバックにソックリ (写真4) で、取り分けリアのデザインは特徴的なテールランプや両端を少し持ち上げたメッキバンパーの形状など、今見るとちょっと気恥ずかしいくらいで、日本も半世紀弱前には中国や韓国の事を言えないようなことをやっていた訳だ。 |
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さてそれでは実際に現在日本で販売されているマスタングはといば、実は丁度新旧交代の時期であり、米国では既に昨年春から FMC された新型が発売されている。そして日本では昨年11月にワングレードで新型が発売されたが、先代も未だ在庫があるようだ。その先代モデルは大きく分けてV8 5.0L の ”V8 GT” とV6 3.7L の ”V6” があり、グレードは何れも "COUPE PREMIUM” のみとなっている。 それで前述の昨年末に発売された新型だが、今のところは "50イヤーズ エディション" という左ハンドル (LDH) 車のワングレードのみとなっている。ハンドル位置については先代も全て LHD だったが、新型は英国圏の輸出も考えて右ハンドル (RHD) にも対応しているといことで、日本向にも春以降には RHD モデルが発売されるだろう。 ということで、新旧のマスタングと共に V8 GT のライバルであるシボレー カマロ SS も加えて先ずはスペックを比較してみる。
ところで、ライバルのカマロ (写真6) については、足回りなどは既にマルチリンク化されているが、エンジンはマスタング V8 以上にアメ車的な 6.2L V8 OHV が載っている。 なお、マッスルカーといえばもうひとつ、ダッジ チャレンジャー (写真7)が思い浮かぶが、調べてみたらば現在日本では販売されていなかった。 |
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イントロが長くなってしまったが、それではマスタング V8 GT COUPE PREMIUM のエクステリアから見てみるが、これらについては既には2月5日からの日記にて取り上げていて、写真は本試乗記よりも大きなサイズを使用しているので、そちらも合わせて参照願いたい。 今回試乗した6代目マスタングは2005年に発売されたが、この時のフォードではリビングレジェンド (生きた伝説) 戦略を実施ていたから、6代目マスタングも初代のイメージを色濃く復活させたものであり、一目見れば当時を知るものからすればこれぞマスタングというエクステリアだ。尤も初代をリアルタイムで知っている団塊 (とポスト団塊) 世代からすれば、当時の日本では本物のマスタングを走っている姿を見ることはまず無く、何かのショーで見るしか無かった。因みに当時のモーターショーは国産車のみだったから、ここでもマスタングの本物にはお目にかかれなかった。
なお以下の写真でボンネットからルーフに継るセンターのストライプはオプションだが、これがまたアメ車っぽさを強調している。また、当時との違いとしてはバンパーが現代のクルマらしく樹脂製となっていることで、その昔はバンパーといえばゴッツいスチール製でクロームメッキが施されていたものだった。 それでも最初の感動 (!) が過ぎて冷静になってエクステリアを眺めると、何となく全幅に対して全高が高いのに気が付く。全幅1,880o に対して全高は1,415o だから縦横比は 1:1.33となり、それでは初代はと思い調べてみたらば全幅1,732o x 全高1,298o ということで、縦横比は1:1.33 でぴったり同じだった。ところで最新モデルの縦横比も知りたいから早速計算してみると、全幅1,920o x 全高1,380o から1:1.39 となり、より広く低くなっているの。これはやはり現代人の目からはこのくらいの数値でないとスポーティーと認めてくれないからなのだろうか。因みにBMW 650i は 1:1.38 でマスタングでは新型 (7代目) とほぼ同等だったところを見れば、やっぱり6代目は背高だった。 |
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しかしフロントスクリーンはより寝ているし、トランクはボンネットよりも高いハイデッキスタイルなど、時代の違いは多少ある。 |
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トランクリッドを開けてみると、ラゲージスペースはアウターサイズの大きさから床面積は結構広いが高さが低い。車両のサイドビューではトランク部分が高くなっている、いわゆるハイデッキに近いのに何故に高さ方向が狭いのかといえば、床面位置が結構高いからだった (写真14)。 V8 GT というグレードはその名のとおりに高性能スポーツグレードだから当然ながら下位グレードとの識別装備があるが、先ずはエアロパーツを探してみるとリアエンドのトランクリッド上に少し大人し目のスポイラーが付いていた (写真15) 。ところが、カタログで調べてみたらば下位モデルの V6 にも付いていた。ということで、他にこれ見よがしのエアロパーツ類も無いが、この手のクルマはオーナーが望むなら好き勝手に後付すれば良い訳で、純正はあくまで最小限ということだろうか。 燈火類についてはヘッドランプは LED 方式で、その内側というかグリル両端の丸型ランプはフォグランプではなく、輸入元ではアクセサリーランプと呼んでいているが、これは恐らく日本の法律では適合出来ないためにフォグランプの機能を殺しているのだろう (写真16)。確か日本ではフォグランプの光軸がヘッドランプより上にあってはいけない、となっていた記憶がある。最近はハーモナイズと言って世界中の自動車関連法規を共通化する傾向にあり、日本の小役人も海外の圧力には勝てずに長年拘っていたタコな法律を改正する傾向があるが、未だこんな状況のものもあるようだ。もしかして、電線一本つなぐと復活とか?? リアのテールランプの形状は縦長のユニットを3つ並べたような独特の3分割デザイン (写真17) だが、勿論これは初代マスタング (写真19) の特徴を復刻したものだ。 次に V6 モデルとの識別といえばフロントフェンダー後方には大きな "5.0" のエンブレム (写真20) があり、またリアーエンドには中央にこれまた初代譲りの丸いエンブレムに "GT" と書かれたものが見える。そしてフロントはといえば、マスタング (野生馬) に由来する馬のエンブレム (写真18) がグリル中央に付いているが、これは V6 とも共通であり決してV8 GTを表すものではない。 以上細かく見れば初代とは違う部分もあるが、このクルマはレプリカというわけではなく、言ってみれば MINI やフィアット 500 (マニアは "チンク"と呼んでる) のように、現代の技術で過去の名車を蘇らせたという部類だから、このエクステリアは十分に納得できるものがある。 |
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さて、今回はイントロが長かったためにインテリアまで到達しないうちにこんな長さになってしまった。そこで、この前編はエクステリアまでとすることにした。 インテリアなど、つづきは中編にて。 |
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