Audi A6 2.8 FSI quattro (2011/10) 前編


メルセデス Eクラス、BMW 5シリーズと並んで、Eセグメントサルーンの御三家であるアウディ A6がフルモデルチェンジ(FMC)された。 先代(C6系)が発売されたのは2005年だから6年ぶりとなる。 まずは新旧のA6について代表諸元を表にまとめてみる。
 
    Audi ② Audi ③ Audi Audi
      A6 2.8 FSI quattro
(新C7)
A6 3.0 TFSI quattro
(新C7)
A6 2.8 FSI quattro
(旧C6)
A6 3.0 TFSI quattro
(旧C6)
 

車両型式

  ABA-4GCHVS ABA-4GCHWS ABA-4FCCEA ABA-4FCAJA

寸法重量乗車定員

全長(m)

4.930 4.925

全幅(m)

1,875 1.855

全高(m)

1,465 1.440

ホイールベース(m)

2.910 2.845

駆動方式

4WD
 

最小回転半径(m)

  5.7

車両重量(kg)

  1,790 1,850 1,800 1,850

乗車定員(

  5

エンジン・トランスミッション

エンジン型式

  CHV CGW CCE CAJ

エンジン種類

  V6 DOHC V6 DOHC S.C. V6 DOHC V6 DOHC S.C.

総排気量(cm3)

2,772 2,994 2,772 2,994
 

最高出力(ps/rpm)

204/6,500 300/6,500 220/6,800 290/6,800

最大トルク(kg・m/rpm)

28.6/5,000 44.9/4,500 28.6/5,000 42.8/4,850

トランスミッション

7AT 6AT
 

燃料消費率(km/L)
(10・15/JC08モード走行)

11.0 10.5 9.7 9.4
 

パワーウェイトレシオ(kg/ps)

8.7 6.2 8.2 6.4

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

5リンク 4リンク

トラペゾイダル ダブルウィシュボーン

タイヤ寸法

  245/45R18 255/40R19 245/40R18
 

ブレーキ

前/後 Vディスク/ディスク Vディスク/Vディスク

価格

車両価格

610.0万円 835.0万円 655.0万円 792.0万円

備考

    Sライン:707万円 Sライン:844万円

新型(C7系)のアウターサイズは全長4,915×全幅1,874×全高1,455mmであり、これは先代と比べて全長が-12mm、全幅が+19mmと僅かに短く、幅は広くなっている。ホイールベースは先代の2,843mmに対して2,912mmと69mmも長くなったから、前後オーバーハングはより短くなったことになる。

ラインナップは2.8L自然吸気の2.8FSI(610万円)と3.0Lスーパーチャージャーの3.0TFSI(835万円)の2種類で、これは基本的に先代(C6)の末期モデルと同様となっている。そして今回試乗したのはベースモデルの2.8FSIだが、タイヤが標準の245/45R18に対して、オプションの 255/35R20というトンでもないヤツが付いていた。

今やアウディのアイデンティティであるフロントのシングルフレームグリルと6ライトのサイドウィンドはキープコンセプトだから、如何にもアウディ A6という感じがする が、言い換えれば新型らしさはイマイチとなる。実際にこれを見た瞬間に「おっ、A6の新型だ」と判る人って、どのくらいいるのだろうか?
フロントとサイドがキープコンセプトであるのに対して、リアは大分異なっている。新型のトランク後端は強いプレスラインで鋭角に絞っているし、テールランプのデザインも全く異なっている。
 


写真1
先代C6から最近のアウディの特徴であるシングルフレームグリルとなった。
 

 


写真2
先代C6。リアに関しては、これがアウディだという大きな特徴はない。

 


写真3
新型C7はキープコンセプトで、アウディの門外漢には何処が変わったのか、と思わせるに充分だ。
 

 


写真4
新型のリアは先代とは大分異なるデザインで、これは見れば直ぐに区別がつく。
 

 

新A6のヘッドライトはオプションでLED式が用意されている。実はこれ、オプションとはいえ日本に輸入される車の多くに装着されているそうで、オプション価格は確か35万円と聞いた記憶があるので、結局その分だけ高くなるのは、ユーザーによっては敬遠の理由にならないだろうか?とは言え、523iと 同価格でレザーシートも付いているという買い得感が第一理由でA6を選ぶというユーザーも少ないだろうから、問題無いのかもしれない。なお、リアのテールランプは標準でLED化されている が、これは最近の新型車だから当たり前だが・・・。
 


写真5
オプションのLEDヘッドライト。
 

 


写真6
テールライトは当然LED化されている。
 

 


写真7
トランクルームは奥行きが広いが幅はむしろ狭い。
 
 

 


写真8
リアのエンブレム。左に”A6”、右に”2.8”とその下は”quatrro”。
 

 

室内を見た第一印象は、いかにも高品質という感じで、昔からアウディはライバルに比べて質が高いといわれていたのだが、先代のC6では残念ながら以前ほどのアドバンテージがなくなってしまった。 それが今回の新型(C7)では見事に高品質のアウディとして復活したのは希望が持てる。写真の2.8FSIは、上級グレードの3.0TFSIのインテリア と一見しただけでは差が判らない程度に共通している(写真9)。 そのなかでは数少ない相違点としては2.8FSIのシート表皮がセンターのみ本皮(写真10)で、サイドは人口皮革を採用しているのに対して、3.0TFSIではオールレザーシート(写真11)となることだが、その違いは両車を直接見比べないと判らない程度だ。
 

写真 9
見るからに高品質な室内。写真の2.8FSIと上級の3.0TFSIの差は殆ど無い。


写真10
2.8FSIに標準のシート表皮は中央がレザーでサイドが合成皮革。
 

 


写真11
3.0TFSIに標準(2.8にはオプション)の本皮シート。

 

一目で高品質が伝わってくるインパネは、イマイチだった先代に比べて大いに進歩した。 また、先代がドライバー側とセンタークラスターを一体にして、助手席側と区切ってコクピット感覚を演出していたのに対して、新型は全幅一杯に広げたことから、広々感を演出している (写真12)。 なお、ダッシュボード中央上部のディスプレイは、使用時にポップアップする。

センタークラスターには横長のパネルがあり、下段がエアコンで上段はオーディオとなっている(写真13)。 最近の欧州車は以前のようにDIN規格サイズのオーディーオというのは無くなって、独自の寸法となっている。更に、オーディオのコントロールはセンターコンソールのATコントローラ手前にあるダイヤルとスイッチ(ローターリースイッチ)により行うから(写真14)、センタークラスタのオーディオ部分はCDのスロットとエジェクトボタンしかなく、実は下側(センタークラスタ中段)に並んだスイッチはアイドリングストップや横滑り防止のマニュアルオフ用だった。
 

写真12
先代とはデザインが変わったインパネ


使用時はディスプレイをポップアップ。


写真13
センタークラスターの上段はオーディオ、下段はエアコンの操作パネルで、その中間は車両制御スイッチ。オーディオのコントロールはMMIを使うために、CDのスロットくらいしかない。
 

 


写真14
オーディオやナビのコントロールはのMMI(マルチメディアインターフェイス)のローターリースイッチで行う。要するにアウディ版のiDriveというところか。
 

 

今度は室内を見回してみると、もう何度も述べてきたように、とに角高級感があるし、それもこれ見よがしではなく実にセンスが良い。特にドアインナーパネルのドアノブ付近の艶消しクロームとウッドトリム(標準はウォルナット)の対比など、実に良い雰囲気を出している(写真15)。

リアのエアコンアウトレットはフロントセンターコンソールの後端にあり、その下にはリア用のエアコンスイッチ類があるが、このスイッチは3.0TFSIに標準だが2.8FSIではオプションとなっている(写真18)。
 


写真15
半つや消しクロームのドアノブやウッドトリムのラインも高級感がある。写真のウッドはウォールナットで2.8、3.0共に標準となっている。
 

 

写真16
ダイヤル式のライトスイッチはドイツ車で御馴染みのもので、BMWもポルシェもこのタイプを使っている。
 

 


写真17
ドアインナートリムの質感も実に高いし、勿論出来も良い。

 

写真18
フロントコンソールの後端にはリアのエアコンアウトレットがある。
なお、写真のオーディオコントローラーは2.8FSIではオプションとなる。

内外装については、Eセグメントとしては文句なしだったNewA6だが、さて肝心の走りのほうは?

それについては、後編にて。  

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