AUDI A1 1.4TFSI Sport Package (2011/2)
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世の中には大きいほど高級という考えがあり、クルマの場合も一般的に高級車ほど図体は大きい。代表的な高級車といえばメルセデスSクラスが思い浮かぶが、確かにSクラスはデカイ。そんな中で、Bセグメントといえばコンパクトカーが思い浮かぶし、国産ならヴィッツやマーチに相当するから、これは小さいし価格も安いし、安いなりに内装などはチャチだ。そのために、小さいクルマが欲しいと思っても、ヴィッツやマーチの内装を見ると、とてもこんなのに乗る気はしない、というユーザーだっているだろう。そういう意味ではサイズとしてはBセグメントだが、内外装の質感やデザインなど、並みのBセグメントとは全く違うほどに金を掛けたのがアルファロメオ ミトであり、このクルマは日本でのアルファの売り上げとしては結構な数が売れているようで、確かに街でも偶に見かける機会がある。
そんな現状に、ドイツプレミアムブランドの御三家の一つであるアウディから、Bセグメントの2ドアクーペであるA1が発売された。従来はアウディのボトムエンドといえばCセグメントのA3だったし、メルセデスやBMWにもBセグメント車は存在しない。そういう意味では話題性は抜群であり、これはもう急遽試乗する必要があるということで、アウディに対してはイマイチ苦手な
B_Otaku
だが、今回は少し頑張ってみた。
A1のバリエーションは基本的には1.4TFSIのワングレード(289万円)で、これに各種のオプションを組み合わせる。ベースはあくまでもベースで、ポルシェと同様にオプションなし(289万円)というクルマは実際には殆ど存在しないようだ。
大物のオプションはパッケージとなっており、代表的なものは
スポーツパッケージ 15万円 (スポーツシート、スポーツサスペンション、16インチホイールなど)
コンペティションパッケージ 29万円 (専用エアロパーツ、専用サスペンション、17インチホイールなど)
レザーパッケージ 28万円 (本革ミラノレザーシート&インテリア、フロントシートヒーター)
バイキセノンパッケージ 15万円 (スポーツパッケージ装着車は12万円)
A1のイメージカラーであるミラノレッド(パールエフェクト 3万円)にシルバーのルーフアーチ(コントラストルーフ 6万円)を選定すると9万円のアップとなる(写真2)。また、スポーツパッケージの内装はファブリックで、レザーシートが欲しい場合は15万円に加えて
更にレザーパッケージの28万円が必要となる。
A1は基本的にベースグレードに対して好みのオプションを選択する受注生産が原則となるそうだが、即納品を好む日本人の性格から、果たして上手くいくものだろうか、という疑問がある。一千万円超えが当たり前のポルシェでさえ、原則どおりの注文生産だけではお客が納得しない
(待てない)ために、販売台数の半数はディーラーが見込み発注したものを在庫車として売っているくらいだから。
もっともポルシェの場合は、決算前の仮計算でどうも儲かりすぎてしまったようだ、と慌てて金の使い道を考えて、そうだこの際ポルシェでも買うか!という乗りでの購入もあるから、在庫車は必須だったりするが。
エクステリアをみると、アルファ ミトの場合も同様だったが、A1もBセグメントの悲しさで、どうしてもダルマのようにモコっとして見えるから、これがカッコ良いと思えるかどうかは個人の好みの問題となる。なお、今回紹介する写真は全てがスポーツパッケージ装着モデルとなっている。
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写真1
一番のライバルはアルファロメオ ミトだろう。
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写真2
写真はオプションのコントラストルーフ(6万円)で、ルーフアーチがシルバーに塗り分けられている。
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写真3
フロントはシングルフレームグリルとフォーシルバーリングで誰が見てもアウディと判る。
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写真4
太い2本のメッキを施した排気管(ポリッシュテールパイプ)はスポーツパッケージのみ。 |
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写真
5
アルファ ミトも同様だが、Bセグメントの悲しさで、どうしてもコロっとしてずんぐりむっくりに見えるのが辛い。
これを可愛いとみるか、カッコ悪いと感じるかで評価が異なる。
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ミトが誰がみてもアルファロメオの顔をしているのに対して、A1もシングルフレームグリルとフォーシルバーリングという誰がみてもアウディの顔をしている。
そして、ヘッドライトにオプションのバイキセノンパッケージ(12万円)を装着していた試乗車には、これも最近のアウディの顔でもあるウィングタイプLEDポジションライト
が装備されている(写真6)。
リアに目を向けると、ブレーキランプとテールランプはLEDを採用している(写真7)。
A1のラッゲージルームはBセグメントハッチバックということを考えれば特に狭いともいえない。それよりも関心したのは、テールゲートを開けた状態ではテールランプ
が見えなくなり危険になることを考慮して、ゲートオープン時用のテールランプが装着されている事だ(写真9)。このような本当に必要な安全装備に対してコストを掛けるのは、伊達にプレミアムハッチといわれている訳ではないようだ。
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写真6
バイキセノンヘッドライトとウィングタイプLEDポジションライトはオプション(12万円)。
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写真7
リアのブレーキランプとテールランプはLEDを採用している。 |
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写真8
個人的には写真のホワイトの方が好みだった。
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写真9
ラッゲージルームは、まあBセグメントなり。テールゲートを開けても専用のテールランプで後続車に存在を知られるのには関心する。
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A1のシートは標準グレードとスポーツパッケージ装着車では形状も表皮も異なる。それで、基本となる標準グレードのシートを紹介したかったが、何処にいっても展示車も試乗車も全てスポーツパッケージ付きで、標準シートの写真撮影が出来なかった。従って、以下の写真は全てスポーツパッケージということになる。そのスポーツパッケージも標準シートは極一部分に合成皮革らしき素材を使ったファブリックとなり、写真11で判るように一般的な欧州調の平織りクロスを使用している。スポーツパッケージにさらにレザーパッケージを装着すると、形状は同じスポーツシートで表皮はフルレザーとなる(写真12)。
なお、レザーパッケージではシート表皮のみならず、内装の一部もレザーが使用される(写真16)ので高級感が勝ることから、真のプレミアムコンパクトを追求するならば、レザーパッケージは是非装着したい。
ところで、A1のシートは表皮に関わり無く全て手動調整で、パワーシートは設定されていないようだ。
なお、後席はハッキリ言って狭い。身長175cmクラスだと膝はフロントシートのバックレストに当るし、頭上空間も殆ど無い。
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写真
10
リアシートへのアクセスはそれ程悪くは無いが、リアへ座ってみると身長
175cmクラスでは膝も頭上もギリギリとなる。 |
写真11
スポーツパッケージ車に標準装備のファブリックシート。
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写真12
スポーツパッケージ車にさらにオプションのレザーパッケージを装備した時のレザーシート。
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写真13
オプションのレザーシートを選んでも調整は手動式のみで電動式の設定は無い。 |
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写真14
2ドアだから、当然ながらパワーウィンドウスイッチは2つ。その前方にはサイドミラーの調整スイッチがある。 |
写真15
ドアインナートリムは標準の場合樹脂成形でイマイチ高級感に欠ける。ただし、Bセグハッチとしては抜群の高級感ではある。
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写真16
オプションのレザーパッケージを選ぶと、ドアのインナートリムもステッチの入ったレザーのアームレストなど、高級感が増す。
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運転席に座ってドアを閉めると、ドアの閉まる音も、目に入る内装も、全てがBセグメント車としては圧倒的な高級感に包まれていることを感じる。まあ、Bセグメントといえば、ヴィッツやマーチ
と比べるわけだから、次元が違って当然ではあるが、この雰囲気を小さなサイズのハッチバックで堪能できることに価値を見出せるオーナーならば、A1は間違いなく買いだ。他にA1に匹敵するBセグハッチといえばアルファロメオ ミトくらいだろう。ミトの場合は典型的なイタリアンだから、要するに質実剛健のドイツ車的高級感か、多少ぶっ飛んだラテン的な高級感か、あとはオーナーの趣味の問題となる。勿論、こんな小さな車に300万円も出すのはマッピラ御免とばかりに、130万円の国産コンパクトを選ぶのもオーナー次第ではあるし、他人がとやかく言うことではない。
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写真17
アウディブランドと考えるとイマイチのインテリアだが、Bセグメントとしては圧倒的な高級感を持っている。 |
写真18
オーディオとエアコンのコントロールパネルはコンパクトにまとまっているが、それがチョイと安っぽかったりする。
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写真19
写真を拡大するとダッシュボードのシボの質感が判る。
判断は御自分で。
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さて、室内も見回したところで、これからエンジンを始動して走り出すことにするが、この先は後編にて。
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