7年前に乗った初期型の先代(E120)カローラーフィールダーは乗り込むときに触れただけで左右へ30度以上もグルグル(いやグニャグニャか)と回るステアリングホイールに驚き、実際に走って見ると少しくらい回しても全く反応はしないから、とに角危なくて乗っていられない代物で、もう唖然としたものだ。ところが、同じ先代でも後期型の今回のクルマはマルで別物だった。勿論同じCセグメントの良く出来た欧州車、例えばVWゴルフと比べれば勝負にはならないが、それでもFF臭さも少なく結構素直だし、中心付近の不感帯もそれ程大きくないから、世間一般のまあまあのクルマ程度には改良されていた。
では、コーナリングはといえば、これが意外と速めのペースで旋回できたりする。勿論、前回のフィールダーのイメージが頭の中で湧き出てくるから、それに比べる事で実際以上に良く感じてしまうということもあるだろうが、この程度の安定性があれば速めの流れでも十分に付いて行ける。
そうなると、もう少し試したくなってくるのは人情で、今回はある程度の日数を乗っていることから同じ道を何回も走る場面もあったから、同じコーナーを徐々に通過速度を上げていったり、走り方を変えてみたりした。結論から言えば、実用車としては十分なコーナーリング性能を持っているし、FF乗りのマニアみたいにコーナーまでブレーキを残してフロントに荷重を掛けるような乗り方にも十分に対応できる。そして特徴的なのは、そんなマニアックな運転をしないでも素直にアクセルを極僅かふんで、ほとんど惰性で回ってみると、意外にもスーッと素直に曲がれてしまった。勿論その時の速度は大したことはないが、それでも一般的な流れよりははるかに速く回れたりする。このようにドライバーのテクニックを問わないのは世界の大衆車だけのことはある。
次に乗り心地はといえば、これも普通に走っている分には結構良い。ただし、現代の標準からすればタイヤはハイトが高く(ホイール径が小さく)て幅も狭いから乗り心地にとっては有利な条件である点も考慮が必要だ。ボディの剛性感という意味では欧州の有名ブランドのようなガッチガチ感はなく、むしろ緩い感じが伝わってくるが、この雰囲気で更に高級感を増すとクラウンに行き着くというくらいに、ある共通したものを感じたりする。今でもトヨタのクルマはちゃあんと、カローラ→プレミオ→マークX→クラウンというヒエラルキーが残っているようで、乗り味や内装に共通点があるにも関らず、上位車種に行くに従って、高級感が出てくるのは間違いない。
この良好な乗り心地も、ある一定以上の段差や舗装の継ぎ目などを通過すると、今までの良好な乗り味から一転して不快な振動に変わる。まあ、そんな状況は滅多にはないから問題ではないが、通常の乗り心地が良好なのでよけいに目立ってしまう。
カローラは動力性能のみならず、操舵性や乗り心地でも絶対的な基準で見ればまあまあで、価格を考えれば「立派」ということろか。それにしても初期モデルとは余りにも違う乗り味だから、中古車を買う場合は十分に注意が必要だろう。
成る程、街中の走行では特に文句も無く、誰でも使える実用車であることを確認したが、次回は高速道路での走行について紹介してみる予定だ。
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