BMW 120i
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注記:この試乗記は2004年10月現在の内容です。現在この車種は新車販売が終了しています。
また、内容は以前公開した旧フォーマットの試乗記を一部改定の上簡易試乗記としたものです。
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今回は話題のBMW製コンパクトの120iに試乗した。
1シリーズはBMWが始めて参入するCセグメントのハッチバックで、エンジン別に120i、118i、116iが日本に投入される予定だが、そのうち118iと116iは来年春より発売で、当初は今回試乗する120iのみが販売される。
デーラーのショールームに飾られた120は、前から見れば誰が見ても最近のBMWその物であるが、7や5シリーズ程はドギツくないので、これならBMWフリークでない一般の人でも、フロントマスクにビビって購入を躊躇することは無いだろう。
BMWのハッチバックと言えば、すでに先代の3シリーズ(E36)でti(コンパクト)があったが、あれはセダンのリアオーバーハングをちょん切ったもので、クーペの親戚と言えないこともなかったが、1シリーズはアウディA3の仲間と言える。いや、A3は3ドアなので(最近5ドアのスポーツバックが発表されたようだが)、5ドアの1シリーズはVWゴルフの仲間か?何れにしても、1シリーズを横や後ろから見た姿は、BMW党には違和感がある。が、決してカッコ悪いと言うことはないので、新規のユーザーなら問題ないかもしれない。
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ダッシュボードのデザインはまさしく最近のBMWであり、7、5それにZ4などの流れで、チョッと荒いボツボツというかザラザラしたような質感の内装は先日試乗したX−3そっくりだ。X-3の場合は500万以上も出してこれはちょっと、と言う感じだったが3百万の中ごろである1シリーズなら、まあ許されるか?
シートは車格の割りに小ぶりだった3シリーズに比べて、明らかに進歩している。特に前後方向の長さが増したため、太もものサポートが良くなったし、左右方向の形状も改良されており、この点では3シリーズより進歩した訳だ。
オーディオや空調で気が付くのは、旧3シリーズ(E36)では左右独立の温度調整が現行(E46)では省かれていたが、この1シリーズで復活した事だ。しかも、表示は青や赤を使って初めてでも判り易い。こういう点では何の表示も無いスイッチが多い5シリーズの”一見さんお断り”的な雰囲気に比べ、遥かに敷居が低い。
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フロントシートを最大に下げた場合
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気になる後席の居住性は、フロントシートを一杯に下げると、流石にレッグルームはミニマムで、ボルボのV50/S40も似たようなものだったから、Cセグメントの限界か?しかし、フロントの住人が170cm代の身長なら、大人が乗って何とか膝がバックレストに当たらない程度のスペースはある。
もしも、お父さんが身長185cm級の大男だったら、後席は小学生(それも低学年)程度が限界だろう。同様に、リアのラッゲージルームも決して広くはない。この点でもCセグメントの5ドアハッチであることを再認識させられる。
いよいよ試乗車に乗り込む。最初にエンジンを掛けようとして気がつくのは、7シリーズのようにスタートはボタンを押すだけという点で、これは5シリーズを超えている。アイドリングは多少の振動があり、全く振動の無い6気筒に慣れていると、チト気になる。かと言って、330iの如何にも高性能エンジンが待機しているようなワクワクする振動では無い。
走り出すと、低速からのトルクも十分で、普通に街中を走るのには全く不満はないし、スロットルを踏めば即座に、しかもスムースにシフトダウンして加速状態になるのも3シリーズと同様だ。1シリーズは6速ATなので、エンジンの特性を引き出すのには最適かもしれないし、実際に乗ってみれば実感できる。
試乗車は当然ながらマッサラの新車で、オドメーターは36kmと表示していたので、流石に限界まで回す訳にはいかず、今回の試乗は上限を4000rpmに自主規制する事とした。それでも、チョッと油断すると回転
計の針は一瞬にして5000rpm程度まで上がってしまう程にレスポンスは良い。と言えば、良いことずくめだが、バルブトロニックの4気筒は良く回るけれども、6気筒のようにワクワクすることは無い。
これは、もう感覚の問題だけど、あのスムースでなんとも気持ちの良いシルキーシックスこそがBMWと思っている人には、物足りないだろう。この点については3シリーズでも4気筒なら同じことだが・・・・。
走行中のエンジン音は結構静かで、3シリーズの4気筒と変わらない印象だ。まあ、基本的に同じエンジンだから当たり前ともいえるが、よりスポーティなハッチバックなので、排気音も多少変えているかと思ったが、この考えは見事に空振りしてしまった。
一番興味あるステアリングの特性は、まず感じるのはよく言えば直進安定性が良いことで、悪く言えばあまりクイックではない。勿論、最近のBMW、特に5シリーズのような慣れないと危険な程にクイックな特性と比べた場合で、3年程前に試乗した318tiなどは、この120と似たような特性だった。年季の入ったBMWフリークならE30(2つ前の3シリーズ)時代の中心付近に多少の不感帯があるような特性と言えば理解できるだろうか。要するに、ある意味オーソドックスとも言える。これはコーナリング特性も同様で、多少アンダー気味で極めて安定しているから、初めてBMWに乗るドライバーでも違和感が無いし、そういう人から見れば、流石はBMWと思うか、いや、何にも判らないか?
原因の一つは、標準装着の55タイヤにあるかもしれない。ショールームに展示してあった車は、17インチの50タイヤを履き、オプションのスポーツサスを装着してあるそうで、こちらに乗れれば印象は変わっただろう。BMWの場合はタイヤサイズによってかなり印象が変わる、というより場合によっては別のクルマと思える程に特性が変わるからだ。
ただし、軽量で短いホイールベースの1シリーズの軽快さは、当然3シリーズを上回る。3シーズの場合でも、軽快さを求めてわざわざ4気筒を買う人もいるから、そういう面では1シリーズを選ぶ理由になるだろう。
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120iに標準の205/55R16(写真はフロント)
試乗車にはこれが付いていた
走りを求めるとチョッと?
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オプションの205/50R17(写真はリア)
ショールームの展示車に付いていた
試乗車がこれなら結果は変わっていただろう |
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標準の55タイヤは多少操舵の楽しみを奪っているが、その代償に乗り心地はかなり良い。マッサラの新車でも、キツイ突き上げも感じないし、それでいてBMWらしくフラットだ。
ブレーキはBMWそのもので、BMWの場合は3〜7シリーズまで、大きさや重量が異なるにも係わらず、どのクラスに乗っても基本的に同じフィーリングだが、この1シリーズも同様だ。ブレーキというクルマの安全性から見て最重要な装置の特性は、車格の違いに係わらず全て同じというポリシーは実に立派で、だからこそ、高級ブランドとして認められているのだろう。
さて、このクルマをどう結論づけるべきか。366.5(消費税別349)万という価格は318tiの341.2万を20万以上も上回り、しかも1シリーズはワンプライス、すなわち値引きなしの定価販売とか。足回りのスペックから言えば3シリーズのシングルジョイントに比べて、5シリーズなみのダブルジョイントだし、高いのも納得いくが、では乗り比べて3シリーズより圧倒的に良いかといえば、はて?ドッチもドッチというところだった。オプションの17インチタイヤとハードサスを入れれば、もっと面白い車になるだろうが、そうすれば価格は更にあがる。現在3シリーズ(E46)、特に4気筒のオーナーは焦ることはない。もしも1シリーズの試乗をしても、帰りに自分の車に乗り換えた時に、ガックリすることはまず無いだろう。318に比べて軽快感やハンドリングが大幅に良い訳ではない。それどころか、人によっては自分の318が、意外と高級車であったことに気づくだろう。
MT(しかも右ハンドル)でも設定してくれれば、また購買層も変わるだろうが、いまのままでは、単なる金持ちのセカンドカーか。それとも、いわゆるパラサイトシングル女性で、年老いた親(そりゃ、娘も40になれば親も年取る)と同居する関係から2ドアのtiは買えず、だからといって、特に好きでもないクルマのために500万超えの金も出したくないし、それでいて「ビーエム乗ってますぅ〜」って言いたいし・・・・の手か?
来春発売の116が、どんなものかで、情勢は大きく変わるのではないか。288.8万なら、VWゴルフやプジョー307あたりからの乗り換え組にも負担は軽いだろうし、どうせ性能なんて二の次のブラント志向ユーザーなら、1.6ℓで十分ではないか。
次期3シリーズが、益々肥大化するらしい今、1シリーズのコンパクトなサイズは魅力が大だし、新設されたプラットフォームや足回りも、この先の展開を大いに期待できる。E30のM3再来と噂されるM2に期待をしよう。
注記:この試乗記は2004年
10月現在の内容です。現在この車種は新車販売が終了しています。
また、内容は以前公開した旧フォーマットの試乗記を一部改定の上再掲載したものです。 |