TOYOTA SIENTA Hybrid 後編 ※検索エンジン経由でノーフレームの場合はここをクリックしてください。 |
|
![]() |
|
ここでシエンタのパワートレインを調べてみれば、エンジンはアクアと同一でモーターも型式は少し違うがスペックでは同一となってる。このようにほぼ同じパワートレインを使用しているが車両重量はアクアの1,050kgに対してシエンタは1,380kg とその差は何と330kg もある。システム出力は両車共100ps だからシエンタとアクアのパワーウェイト (P/W) レシオはそれぞれ13.8 と10.5 kg/ps と大いなる差だが、実感としてはシエンタはそれ程には遅くないという感じだが勿論差はある。因みに前編で危険な程に遅いとボロクソ評価の旧パッソ1.0L のP/W レシオはシエンタハイブリッドよりも多少マシな 13.2kg/ps だった。これを考えてみれば、最大パワーというのは高回転時の話であり、市街地速度ではモーターの強力なトルクに左右されることになり、そういえば両車のモーターはシエンタの2LM とアクアの 1LMという型式の違いもあり、これからも想像できるように極低回転域でのトルク特性が異なることで、シエンタの低速側でのトルク感の向上させている‥‥というのはあくまでも想像だが。 それではヴォクシーと較べてどうかといえば、あちらは車両重量が1,610kg と更に230kgも重いが、それを補うだけの強力なエンジンとモーター、すなわちエンジンはシエンタの1.5L 74ps に対して 1.8L 98ps でモーターも61psに対して82psという具合で、まあ伊達に80万円も高い訳でも無いし、用途としては盆暮れには家族を乗せて実家まで長時間のドライブも行う事が想定できるヴォクシーと、近所の街乗り主体で偶に両親が来た時に親子3代が乗って近所の回転寿司に行くためのシエンタの違いだ。 ![]() 数年前までのトヨタの低価格車は他社に比べて安定性の面で多いに問題のある車が結構あって、例えばウィシュや前期型のアクアなどは恐ろしくて速度は 50km/h 程度が限界という酷いモノだった。 しかし、アクアでは後期型からは見違えるように安定した走りになるなど、トヨタもごく最近では大いにマトモになってきたが、さて今回のシエンタはと言えば昨年のFMC だから可成り設計の新しいクルマであり、その面では期待は持てる。 ということで先ずはステアリングについては中心付近は勿論適度な不感帯はあるし決してクイックではないが、ステアリング系の剛性不足で思ったラインが取れない、なんてことは無い。このコースではお馴染のスラロームでもまあアンダーステアは大きいがそれでも恐怖で速度を落としてしまうことも無く、言ってみれば改良された後期型のアクアと似たような特性であるが、低めとは言えミニバンカテゴリーのシエンタだからコーナーリング性能ではアクアの方が勝っているようにも感じるが、あくまで感じる程度で明らかな差が無いのは立派だ‥‥という程でも無いが。ところで、ステアリングに関しては一つ補足する事があって、実はスラロームや急なカーブでステアリングを切る時に何故か予想よりも大きく回転させる必要があると感じた。これって、もしかして最近のクルマとしてはステアリングギア比がローギアードになっているのだろうか。 ブレーキについては試乗車も展示車も全てスチールホイールだったためにブレーキユニットは覗くことができなかった。オッサン、もといジイさんとしてホイールを覗きながらロウアングルで写真を撮るのが楽しみなのに‥‥。これって駅の階段で JK のミニスカを何気なく覗く楽しみを期待してたらば、ある日突然 JK 制服のボトムがロングパンツになってしまったような心境だ。 まあ、そうは言っても見えないものは仕方が無く、これはスペックから想像するしか無い訳で、諸元表ではシエンタの場合はベーシックなモデルだけに派手は花柄では無く質素な白の木綿のぱ‥‥んっ、違った、フロントがベンチレーテッドディスクでリアはソリッドディスク、要するに4輪ディスクブレーキのようだ。あれっ、アクアって確かリアはドラムだったような、と思って念のために調べてみたらばやっぱりスパッツ、もとい、ドラムだった。 余計なことを言っていたら肝心なブレーキのフィーリングを書くことを忘れていた。シエンタのブレーキシステムは言わずと知れたトヨタのハイブリッド用電子ブレーキ、要するにブレーキバイワイヤー方式であり、最近は実に自然なフィーリングだから多くのユーザーが自分でペダルを踏んだ力でブレーキのホイールシリンダーを動かしている積もりだろうが、実はペダルとブレーキユニットは機械的には全く繋がっていないのだった。そして電子的に作動させるということはショボいブレーキでも結構フィーリングを良くする、なんていうことも可能だろう。 ![]() ![]() ある程度は想像していたが、結局シエンタ ハイブリッドはトヨタ的な可もなく不可もないクルマだった。そして今のトヨタ車は以前のようなどうしようもなく走りが悪いということは無く、かといって運転が楽しくなるという訳も無く、言ってみれば家族の誰が運転しても無難なクルマということだ。今回の試乗車はハイブリッド G だから、その価格は233万円と決して安くは無い。しかしシエンタのベースモデルならガソリン 1.5L の X Vパッケージで 169万円と大分買いやすくはなる。とはいえフォルクスワーゲンの up! ならば 154.8万円からあり、上級の high up! でも189万円だから、オプションを付けてもシエンタハイブリッドより安いという事になり、そうかぁ、クルマ好きならシエンタなんかには目もくれずに up! に走るということも有りかもしれない。ただし3世代は乗れないしミッションはセミオートだし、販売網も脆弱だからメンテだってトヨタのようにはいかないだろうが、そういうデメリットを考えてもクルマ好きなら充分に納得できるだけの良さが up! にはある。 と、一応このサイトらしくドイツ車を礼賛したところで今回はお終い。 注記:この試乗記は2016年10月現在の内容です。
|