TOYOTA Camry
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今年度上半期の米国乗用車販売台数で堂々の1位となったトヨタカムリだが、まあ今までに何度もトップに輝いているから驚く事ではないのだが、兎に角日本車として、いや世界の乗用車の中でも最も注目に値するクルマである事は間違いない。何たって、あの米国で No1 なのだから。そのカムリのFMC が最近実施され、日本向けは米国より一足先に7月初旬に販売が開始された。ということで、先ずは日記にてその内容を写真にて紹介した。
⇒ 7月27日からの日記

しかし、クルマというのは走って何ぼだから、兎に角運転して見たいと始らない。とうことで今回も急遽トヨタのクルマテーマランドである MEGAWAB で試走してみた。まあどの程度のモノかの判断はつくだろう。

試乗車は中間グレードのGで価格は本体 349.9 万円にオプションの純正ナビ ( 33.5万円) が付いていたから 383.4万円也と決して安いクルマでは無い。G はエントリーグレードのXに対して主にアルミホイールとパワーシートなどが追加されて価格は20万円高い。しかし今時シッカリと鉄っちんホイールのグレードも用意しているのは、この手のユーザーには「アルミホイールって何のために必要なんだ。そんなモノに余計な金は払えねぇぞ!」というタイプのユーザーが居るのだろう。"何のため” って、そりゃばね下部品であるホイールに軽量なアルミを使う事でサスペンションの動きを向上させて、結果的に乗り心地の向上や軽快なハンドリングを実現する為ですよ‥‥って言うのは建前で、本当はカッコが良いからだ。ハッキリ言って幾らアルミが軽いと言っても強度を確保するために分厚くするから決して軽くは無いのだった。あっ、勿論本物のレーシング用のように高価な鍛造アルミによって強度を上げたものならば確かに軽くなるが‥‥。

ドライバーズシートに座ってベルトを締めて、さてシートポジション調整はと思いながらも無意識に右手でシートベース右端を触るとスイッチらしきものがある、これを適当に動かすとパワーシートの調整スイッチだった。今回の試乗車のグレードはGということで、シートは電動式となっている (実は運転席のみで助手席は手動) 。電源スイッチはダッシュボード右端の押しボタンで、電源ONと共に正面の自光式メーター類に火が灯る。パーキングブレーキは電動式でコンソール上の AT セレクター手前にあるオーソドックスなモノだが、これは手動でリリースしなくてもDレンジで発進すれば自動的に解除されるタイプだ。

出発の合図を受けて静かにアクセルを踏み、直線路に入るとハイブリッドらしい滑らかさを感じるが、おっといけない、ここは直線が短いからモタモタしていると次のカーブ迄に制限速度の 40km/h すら到達できない場合もある、と慌てて 2/3 程スロットルを踏むとクルマは如何にも電気モーターという感じの強力なトルクでグイーンと加速し、その途中でいつの間にかビーンというお世辞にも良い音とは言えないがエンジンも頑張っているのが判る。結局想定よりも強力な加速であっと言う間に 40km/h を飛び越えてしまった程だ。カムリのシステム出力は 205ps というから車両重量 1,540kg に対してパワーウェイトレシオを算出すれば 7.5kg/ps となり、成程これは結構良い数値だし、実用車としては充分な加速も当然だった。

という事で ”走る" は思いの外良い結果だったが、さて "曲がる" はどうだろうか。先ず走り出した直後の加速中でも操舵力はトヨタらしく軽いが、意外にも結構シッカリしているのが感じられる。カムリと聞いただけで米国向けだからフラフラのヨレヨレを想像したが、今の時代はそれでは許されないのだろう。直線後は直角に左に曲がるが、この時はクルマの大きさを感じでしまいとても速度を上げられない。ただしここは路面が石畳で、この時サスペンションは良く振動を吸収しているが、決して柔らか過ぎる事も無い。

そしてこのコースのハイライトであるスラロームだが、これは何と想像とは大違いで僅かなアンダーステアで安定した挙動により、通過速度も思いの外上げる事ができる。これは柄の大きい FWD としては充分に評価できる特性だし、このコースで乗ったクルマの中 (どれもロクなクルマでは無いが) ではトップクラスと言える。今回の新型はプラットフォームを一新したというが、確かのその御利益は充分に感じられる。

最後にブレーキは軽くて喰い付くような効きで、一昔前のBMW みたいだが、これはこれで慣れれば使い易いものだ。

新型カムリは大いに進化していた。こうなるとクラウンの存在が危ういが、そこは高級感で差を付けているからクラウンユーザーがカムリに乗り換える事は無いだろうが、危ういのはマーク X だ。次期マーク X は FWD 化されるようだが、ということはこのカムリベースの多少スポーティー仕立てのモノになるのだろうか。

注記:この試乗記は2017年8月現在の内容です。