NISSAN X-trail 20X 前編
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ニッサンの小型SUVであるX-trailは、2000年に初代(T30)が発売され、2代目(T31)は2007年、そして今回の3代目(T32)というように7年サイクルでのモデルチェンジを順調に実施してきた。X-trailにはご存知のように欧州向けのキャッシュカイという兄弟車があり、日本でもデュアリスという名称で2007年から販売された。しかし、当初は英国工場で製造したものを輸入する形での販売だったために、納期の不安定さや、ハッキリ言って日本人の厳しい要求に答えるには品質に問題があったことから、後に国内で製造されるようになった。

ここで3代に渡るスペックを比較してみると、例によってモデルチェンジの度に大型化されて、冒頭で小型SUVと表現したが、今回の新型は全幅1,820oもあることから、一般的なマンションの立体駐車場には入らないサイズであることから、これは少なくとも中型SUVと表現すべきサイズになってしまった。

新型X-trailのバリエーションは現時点では2.0L 自然吸気ガソリンエンジンのみで、近い将来はハイブリッド車なども追加されるようだが、先代に設定されていたディーゼルについては、この新型でも設定されるかどうかは判らない。

ところが、最近発表された欧州向けの新型Qashqai(Dualis)、要するにこのX-tarilの兄弟車には最新のダウンサイジングエンジン、すなわち1.2Lおよび1.6Lの何れもターボエンジンが搭載されるようで、欧州のトレンドから外れている日本向には取り敢えず旧世代の自然吸気2.0Lを積んでおいて、その後には日本人が大好きなハイブリッドを設定する。そして、欧州向けには欧州のトレンドであるダウンサイジングエンジンと、更には1.5&1.6L のターボディーゼルも用意しているというから、上手い具合に販売地域毎に仕様を変えていることになる。

日本国内における今までのX-trailとDualisの住み分けはといえば、X-trailはリアラッゲージスペースを樹脂製として防水効果を持たせ、スキンダイビングに代表される行動的な若者向けのレジャーカーという位置付けで、スタイルも丸みを持ったDualisに対してX-trailは四角にボディーでヘビーデューティーなイメージとしていた。しかし、今回の新型はハッキリ言ってQashqaiとのスタイル上の差別化は殆ど無いことから、恐らく日本でデュアリスが発売されることは無いのではないか。要するにX-trailとDualisを統合した、ということだろう。

X-trailのバリエーションはベースグレードが20S(4WDのみ、226万円)で、これは4WDのみということで、どちらかと言えば市町村役場等の業務用とを想定しているのかもしれない。そして、オーバードライバー向けは20X(2WD:225万円〜、4WD:245万円〜)で、これには5人乗り(2列シート)と7人乗り(3列シート)、エマージェンシーブレーキ装着車などのバリエーションがあり、更にラインオプションのナビなどを装着すると、上級モデルの車両価格は軽く300万円を超えてしまう。今回の試乗車は20X ”エマージェンシーブレーキ パッケージ” 7人乗りにナビもライン装備という、正に300万円超えのモデルだった。

幅方向に関しては先代よりも30o広い1,820oとなり遂に1,800oの大台を超えたしまったが、長さ方向に対しては全長は5o大きくなっただけだ。しかし、ホイールベースは73oも延長されているから、見かけ上はリアオーバーハングが短くなったように見える。

サイドからの比較で一番目に付くのは先代がウエストラインが低くて、グラスエリアが広かったことで、このために新型はよりヘビーデューティーというか、SUVらしく見える。

ヘッドランプは全グレードでハロゲンランプが標準で、20XにはオプションでLEDヘッドランプが装着できる。テールランプは特に表記はないが今時のクルマだからLEDだろう。


試乗車は7人乗りのために、折りたたみ式のサードシートが付いていた。勿論サードシートをセットするとラゲージスペースは軽自動車並になってしまうが、畳めば結構広いスペースがある。


リアゲート下端のスイッチを押してみたらばゲードは電動で閉まったことで、電動式であることに気が付いた。それでは開ける時はどうするかといえば、キーにリアゲートの開閉ボタンが付いているのでリモコン操作が出来る。そして、この機構は20Xに標準装備されている。

インテリアはウエストラインから下がブラックに対して上部、すなわちピラーとルーフがアイボリーとなっていて、これが黒一色の内装に較べて室内に明るさをもたらしている。この配色は上級モデルのみかと思ったらば、廉価グレードの20Sも同じのようだ。

試乗車は3列シート(7人乗り)仕様だったが、サードシートは2+2スポーツカーの後席と良い勝負で、子供がやっとというスペースしかない。それでも2列目シートを一杯に前に出せば、う〜ん、やっぱり狭いし2列目の足元もギリギリになっしまう。3列目へのアクセスは2列目シートのバックレスト上部にあるレバー(写真左下の↓)を引いて前に倒し、その隙間から乗り込むのだが、これがまた狭くてもの凄く乘り辛い。7人乗りは車両重量が70kgも重く価格は13万円高いから、余程の必要性がないなら選択の余地はないのだが、オーナー心理としてはイザという時にあれば便利だし‥‥なんて考えるのもよく判る。それに子供が小さい時は実家の両親も乗せて子供2人と合計6人でチョイと近所のファミレスまで、何ていう場合には重宝だし、家族4人の長距離旅行では子供2人がそれぞれ一列ずつを専有することで、喧嘩もなく結構大人しくしていたりする。コンナ話をすると、う〜ん、そう言えばそんな事もあったなぁ〜、何て思い出に浸っている読者の姿が目に浮かぶ。

試乗車のシート表皮は人工皮革とクロスのコンビで防水処理が施してある。もしかしてベースグレードの場合はサイドもクロスかと思ったら、実はこの表皮は全グレードで標準装備となっているのだった。なお、シート調整は全て手動で、パワーシートのオプション設定はないようだ。

ドアのインナートリムは、シートと同様に人工皮革を使用してステッチも入っているアームレストなど、それなりに高級感を持たせる努力はしている。

なお、リアドア(写真下)の開閉用ノブの位置はサードシートからの使用を考慮している‥‥とは言い難いから、3列目の住人は誰かに開けてもらわないと、クルマから降りられないことになる。まあ、小さな子供用と思えば返って自分で出られないほうが親としては安心ではある。


インパネはセンターの最上部にエアアウトレットがあり、最近流行りの上部にディスプレイを配置して運転中の視線移動を最小限にするという方式ではないのが残念だ。とはいえ全体の雰囲気が欧州調なのは、欧州向けであるQashiqaiと全く共通となっているからで、この点でも欧米主向けの流用ということになる。まあ、グローバル・スタンダードなクルマと思えば腹も立たないが。


センタークラスに目を移すと、オーディオ&ナビは全グレードでオプションとなり、ナビにはラインオプションとディーラーオプションがある。写真はメーカーオプションで NissanConnectナビゲーションシステムという多機能タイプであり、価格は31.8万円也とそれなりに高価格だから、ディーラーオプションで十分と考えるユーザーも多いだろう。エアコンは廉価版の20Sがマニュアルで、20Xには写真のフルオートエアコンが標準装着される。

それでインテリアの仕上げ具合はというと、エアアウトレットの縁取りの半つや消しクロームやカーボン風のインテリアトリム、そして指で押すと凹む弾性樹脂を使用したダッシュパネルなど、クラスの割には結構金が掛かっている。

今度のX-trailは、先代とは打って変わって事実上欧米向けのQashqaiの国内向け転用であり、大きさを考えてもこのクラスのオーナーが多いファミリーマンションの駐車場に入らないサイズなど、日本の実情は無視して設計されたようで、まあニッサンはルノー系列の国際的企業と思えば、日本国内専用車を別仕立てで用意する余裕も方針も無いのだろう。

それでも走りが欧州車並なら、巷に欧州車が溢れている昨今の日本の現状を考えれば、ユーザーに受け入れられる要素は十分あるが、さて、結果は走ってみたのお楽しみ。

ということで、続きは後編にて。

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