センタークラスター上部の右端にあるスタートボタンを押すと、ダッシュボート天板中央にあるディスプレイに火が灯る
が、エンジンは始動しないので無音の状態だ。ただし、バッテリーの充電容量が充分でなかったりした場合は
当然ながらエンジンが始動し、アイドリングしながら充電する。
ATセレクターはプリウスやSAIと共通の電子スイッチのタイプ(トヨタではエレクトロシフトマチックと呼ぶ)で、プリウスαの場合はスタートボタンの下に配置されている。このレバーを右下に動かして手を放すと、レバー自体は
ホームポジションに戻る。パーキングブレーキは相変わらず足踏み式のプッシュ/プッシュタイプで、まあ今更何も言わないが・・・・。
パーキングブレーキをリリースして、ブレーキペダルを放すと無音で極自然にクリープ的な動作で僅かに前進するので、アクセルペダルをユックリと踏むとなめらかに前進するのは同じ動力系を持つプリウスと全く
同様だ。公道に出て少し多めにアクセルを踏むと、充分な加速力で簡単に流れに乗れるものプリウスと同じなのだが、発売当初に試乗したプリウスに比べると気のせいか加速はより強力に感じる。その後暫くは流れに乗って走ってみたが、動力性能は充分だったし、加速したい場面でも反応が遅くてイライラしたり、場合によってはヒヤッとしたりすることも無かった。
プリウスαはセンターメーターを採用しているから、ステアリングホイール
の中を覗いてもメーター類は存在しない。このセンターメーターは慣れていないと実に使い辛くて、試乗中も速度計が何処にあるのかとついつい探してしまう。それでも良く見ればセンターディスプレイの右端に速度表示があるから、少しは見易さを考慮しているのだろう。そして、セレクターのポジションなどもセンターメーターに表示されるのだが、字が小さいこととドライバーからの位置が遠いことから、非常に読み取り辛い。特に年配のドライバーは殆ど認識できないのではないか。言ってみれば最近流行のスマートフォンのようで、若者に焦点を合わせたのではないか、なんて僻んでしまう。
今までは走行モードをデフォルトのNORMALで走っていたのだが、今度はPWRに切り替えてみる。PWRモードに切り替えた瞬間からアクセルレスポンスが格段に良くなり、トルクもたっぷりという状況を体感できて、これはもう誰がやっても明らかに違いが判るだろう。
PWRモードの強烈なトルク感はハイブリッド車や電気自動車などの電気モーターを装備するクルマに独特のもので、これはガソリンエンジンとは全くフィーリングが異なる。このPWRによるフル加速も何となくプリウスより強力に感じる。そこで両車の違いを調べてみるとオリジナルプリウスのファイナルギア比は3.260であるのに対して、プリウスαは3.703と16%もローギアードに設定しているから、トルクもその分だけ多く感じるのだろう。まあ、その分はエンジン回転数が上がったり伸びが無くなるのだが、CVTだから
体感上は良く判らない。ただし、高回転ぎみの走行は燃費では不利となり、その証拠にオリジナルプリウスよりも燃費データーも劣っている。
次に結果は良くないのは判ってはいるが、何よりもエコカーらしいということもありECOモードを試してみる。切り替えた瞬間から、明らかにアクセルレスポンスは悪くなり、巡航状態から加速しようとしても殆どトクルは伝わらず、極めて緩慢に
速度が上がっていく。
聞くところによると、一般のユーザーがECOモードを使用すると、どうしてもアクセルを深く踏んでしまうことで返って燃費が悪化する事態になる、とか。結局ECOモードは単なるポーズ、とともにJC08モード計測専用モードというところのようだ。
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