デミオのエンジンはいづれも4気筒DOHCで13Cが91ps/6000prm、12.6kgm/3500rpmを、SPORTは113ps/6000prm、14.3kgm/3000rpmを発生する。
最初にSPORTに乗り込み、前述した柔らかいシートに座り、セレクターをDに入れる。SPORTのミッションはCVTで、7速マニュアルモードも備える。SPORTなんていう車名にしては、1.5ℓで113psというのは寂しいが、それでも車両重量が1000kgしかないから、低速から結構キビキビと走る。マツダとしては初のCVTも特に違和感はない。ただし、あくまでBセグメントのコンパクトカーとしてはという注釈つきだが・・・・。
1.5ℓのSPORTの後に13Cに乗ると、正直言って遅い。しかし、これこそ実用コンパクトカーと思えば、特に悲惨でもないし、ライバルでもあるマーチの1.2ℓに比べれば、いくぶんトルク感に勝るような気がするが、まあ、大きな差は感じない。
SPORTはCVTにマニュアルモードを装備しているが、ステアリングのスポーク上のスイッチは裏側から手前に引いて”UP”、正面から押して”DOWN”となり、これは左右とも同じ。この手のスイッチは右手がUP、左手がDOWNというパターンが増えており、出来ればこれに統一してもらいたいものだ。今回はマニュアルモードを本気で試す時間はなかったが、本当に走りを楽しみたいのならば、折角設定されている5MTを選ぶのが正解だろう。
13Cのミッションはオーソドックスなトルコン式の4ATで、特に良さもないが不満もない。経済的なコンパクトカーとしては、これでも十分か。13Cには5MTも設定されているが、回転計も付いていないベースグレードでのMTというのは、何やら業務用的な色合いが濃い。
デミオのステアリングはマーチのように軽すぎることもないが重くもない。
少し前のFF車に独特の強いセンタリングも感じられないし、ステアリングホイール外周を5cmも動かせば、ちゃあんとクルマは反応するから、これまた世間
の常識では実用コンパクトしては十分に合格範囲だ。それでも、SPORTのほうが多少キビキビしているし、なにより安定性で勝る。SPORTでブラインドコーナーを、世の中の常識では多少
速めで回ってみれば、綺麗に弱アンダーでクリアしてくれる。これなら、MTを選ぶことで偶のドライブでのワインティング路での憂さ晴らし
をしたい、お父さんにも十分に勧められる。
乗り心地は13Cのほうが柔らかく、SPORTは多少硬めの設定ではあるが、決して硬すぎることはない。スイフトスポーツのようにガチガチで路面の凸凹を常に拾うのに比べては、デミオはSPORTという名ではあっても、目的が全く違うクルマだ。13Cとマーチ1.2ℓを比べれば、どちらもBセグコンパクトしては良い出来で、最新のデミオに対して設計時点で数年は古いマーチの基本設計の正しさも立派なものだ。マーチも国産車としては欧州でソコソコ売れている車種だから、やはり手抜きはしていないし、デミオの場合は国産車というよりも、日本製の欧州車といいたくなる。
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