レクサス開店と同時に用意されたのはGSとSCの2車種。価格も一番安いGS350でさえ520万円で、このラインナップでは幾らなんでも商売がやり辛いだろう。そこで、GSから1ヶ月遅れで待望の ISが発売された。ISはV6 2.5ℓのIS250と3.5ℓのIS350がある。今回もその両方を比較試乗しGSと同様に、まずは速報版として発表することにした。
前回試乗したGS350がオプションてんこ盛りだったのに比べて、ISの試乗車は2台とも標準ファブリックシートのIS250(390万円)とIS350(480万円)だった。ISには他にタイヤと足回りを走りに振った”バージョンS”が15万円高(IS250:405万円/IS350:495万円)、レザーシートと本木目パネル等を装着した豪華仕様の”バージョンL”が45万円高(435/525万円)となる。なお、AWD(4WD)はIS250のベースグレードとバージョンLのみが設定されており、それぞれ2WDに対して35万円高となる。
IS250とIS350の外観上の差はリアのエンブレムくらいで、タイヤ・ホイールでさえ同一品を使う。強いて識別したければ、フロントホイールから除くブレーキキャリパーが異なる点だが、これについては後ほど述べる。
ISがアルテッツァのフルモデルチェンジ版ということは、今や周知の事実だが、GSがアリストの正常進化版とすると、こちらは旧アルテッツァに比べて、明らかに大きく、クラスが少し上がった感じだ。正面から見た感じは、何やらマークXを絞ったような、それでいてHマークを付ければホンダ車に、マツダのマークを付ければマツダ車に、それどころかHマークを傾ければお隣の国の新型車といっても通りそうな、何とも国籍不明、典型的アジアンカーと言ったところだ。これでは、このクラスで、この手のアグレッシブなスタイルの本家本元の3シリーズは当然として、発表から数年を経て、しかも最近何かと落ち目のメルセデスと言えども流石は腐っても鯛で、ISと比べればCクラスが如何に格調高いかが良く判り、外観からはISの勝ち目は皆無だ。これらライバルと同じベース価格4百万代で勝負するには、幾らISが一クラス上のエンジンを備えているとしても、あまりにもお粗末だ。
運転席に座ると、先日のGSがトヨタにしては安っぽいと感じたが、そのGSより下位のISは更にシンプル(要するにチャチ)だし、バージョンL以外のパネルは、まるで携帯電話のような質感のシルバー塗装が施されたプラスチック丸出しだ。GSのセンターコンソールはATセレクターの隣に小物入れの蓋が有るほど幅が広く、そのデザインの基本は、そのまんまクラウンだったから、好みの問題は別とすれば、其れなりのトヨタ的豪華さはあったが、ISにはそれが無い。最もBMWだって旧モデルは5シリーズ(E39)の豪華さと広さに比べて、3シリーズ(E46)は質素で狭かったから、レクサスも意識していたであろう事は十分に考えれる。ところが、BMW3シリーズは最近のフルチェンジ(E90)で5シリーズ顔負けの上級志向になってしまった。この辺は追うものの辛さか。
GSのシートは欧州のライバルに比べて、見掛けはとも角、座り心地は感心しなかったが、それより下位のISがGSより良い訳がないだろうと思って乗ったら、やはり想像通りに良くなかった。試乗車はどちらもファブリックシートだったが、サイドが目の粗い平織りなのは良しとして、表面の光った、しかも滑りやすく趣味の良くない座面の生地が、更に座り心地を台無しにしている。現物は見ていないが、バージョンSの座面の生地は、もう少しマシなようだ。勿論、ケチったウレタンは密度も低そうで、ただ平らなだけで、とても長時間のドライブをする気にはなれない。
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