BMW G20 320i (2019/3) 後編 その1


  

今回の試乗車は320i M Sport (583万円)でシートは標準のアルカンターラ/フェイクレザーのコンビだが、先に見た展示車のレザーシート装着車とは一見してその違いが‥‥いや判らない。シートに座ってシートベルトを締めて、さてスタートスイッチを押すためにセンタークラスター右端を探すが‥‥無いっ! 実は今回からセンターコンソール上の AT セレクター隣りにお引っ越しをしていた (写真22) 。

AT セレクターは BMW では馴染みの電子式だが、従来のレバーのノブにポジションが表示される方式では無くベースプレートに表示される。まあだからどうって事も無いが。このセレクターをDに入れてブレーキぺダルを踏みながらパーキングブレーキを解除するが、そのペダルが今回からは遂にショボいウレタンパッドから別れを告げている (写真24) ので、踏み心地が改善された‥‥訳も無く、それよりも見た目の M Sport らしさが増した‥‥と言いたいが運転中にペダルは視界には入らないらないから判らない。まあそれでも乗り降りの時に安っぽいペダルパッドが視界に入る事は無くなって、目出度し目出度し。


写真21
各機器類の機能は変わらないが、形状や配置が多少変更されている。


写真22
スタートスイッチは今回からセンターコンソール上の AT セレクター隣りに移動されていた。

写真23
AT セレクターは BMW では馴染みの電子式だが、ポジション表示がレバーのノブにでは無くベースプレートにとなった。

 


写真24
ペダルはショボいウレタンパッドから別れを告げてアルミスポーツペダルとなった。

パーキングブレーキは F30 のような骨董的なレバーによるメカ式から電動式という世間並みのものになった (写真25) 。操作スイッチはコンソール上の AT セレクター手前というオーソドックスな位置で、これを押し続ける事でパーキングブレーキが解除される。この手の電動式パーキングではこのクルマのようにスイッチを押し続けないと解除されないものと、レクサスのようにDドライブでアクセルを踏むと自動的に解除する方法があるが、ハッキリ言ってレクサス方式は危険であり、よくこれが許可になったものだ。

えっ、大丈夫だって? 何々、レクサスのパーキングブレーキ自動解除にはスピリッチュアルセンサーが付いていて、ドライバーに邪悪な魂を感じなければ暴走する事は無く、真面目に暮らしてきた一般人が心配する事は無い、って? そうかぁ、と言う事は辞め検の悪徳弁護士だと‥‥○○となる訳だ。

話を戻すと、実は BMW もパーキングブレーキスイッチの隣りにある "AUTO H" というスイッチを押せばそのものずばりのオートホールドで、アクセルオンと共にリリースされるのだが、まあこれに頼るのは個人的には薦めない。

エンジンが始動するとメータークラスターに画像が浮かんできて、極最近の BMW に共通したCGによるメーター類が表示される (写真26) 。まあこれについては賛否両論はあるだろうが、時代の流れは確実のこのような IT 化に向かう事を止める事は出来ない。

写真25
パーキングブレーキは骨董的なレバーによるメカ式から電動式という世間並みのものになった。

G20では "AUTO H" というスイッチを押せばオートホールドとなる。

 

写真26
G20のメーターは最近流行りのフル液晶ディスプレイ化された。写真は ECO PRO モード時の表示。

ここでやっと走り出すところまで行ったので、ブレーキペダルから足を放してユックリとアクセルペダルを踏み込むと、予想通りに4気筒とは思えないスムースさで走り出す。駐車場の端で公道上のクルマの流れが切れるのを待ち、いよいよ発進する。最初に軽くアクセルを吹かして加速すると、この時のトルク感は充分だから、街乗り速度では何の問題もない。今回の試乗車は 320i だが、歴代の 320i は本来ボトムグレードより少し上で、実用上は充分な動力性能なのだが、時期によっては 318i に相当するベースグレードを320i と称した事もあるから、320i=パワー不足との認識を持たれてしまったが、E46 時代の 320i では6気筒 2.2L で正にシルキーシックスらしさ満点の加速を体感出来るグレードだった事もあった。

デフォルトのノーマル (COMFORT) モードでも実用上は充分なレスポンスを得られていたが、やはりここはスポーツモードを試して初めて本来の性能を評価出来る。そこでモード切り替えはと言うと、F30 に比べてデザインこそ違ってはいるが、場所は AT セレクターの右隣りで配置も奥に SPORT 、手前が ECO PRO と同じだが、今回はその中間に COMFORT 専用のボタンが追加された (写真27) 。

そこで SPORT を押すとそれまでのメーターの色が変化してモードが変わった事を知らせる (写真28) 。勿論右側の回転計中央付近に SPORT の表示は出るが、小さくて読み辛い。しかし従来のメカ式メーターでは表示はこれのみだったのだから、その面ではフル液晶パネルのメーターも良い事はある。

さて SPORT モードとなった 320i は明らかに低域からのレスポンスが向上していて、さりとてオーバーレスポンスという訳でもないので、何時もこのモードに入れっぱなしでも良いくらいだ。折角の SPORT モードだから次の信号待ちからのスタートでフルスロットルを踏んでみる。するとスタート直後はそれなりの加速感があるが、最大トルクの発生回転数を過ぎる 4,000rpm 辺りからは明らかに勢いが無くなるのを感じ、レッドゾーンの 6,000rpm に近付く頃には回転計の針の上昇もちょいとカッタルい状態になる。

ところで回転数をチェックしていて何か変だと感じたが、さてその原因は‥‥何と、回転計の目盛が普通とは逆で、高回転側に向かって左回りだっのだ!考えてみれば左回りのメーターって今まで世の中にあったのだろうか? まあこのメーターデザインを見れば、速度計と左右対称にした為に回転計が逆回りとなった訳だが‥‥。

写真27
モード切り替えスイッチはデザインが変更され、COMFORT 専用のスイッチが追加された。

 


写真28
SPORT を押すとそれまでのメーターの色が変化してモードが変わった事を知らせる。

この先はその2へ続く。

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