`

Suzuki Swift Sport (2018/1) 前編 その1

  

初代スイフト (写真2) が発売されたのは 2000年初頭で、軽自動車である Kei (写真1) のサイドパネルやドアを流用してワゴンR プラスのプラットフォームを使用したクロスオーバー SUV 的な小型車だった。そして 2003年の MC のタイミングで発売されたのが "スポーツ″ で、これは3ドア車をベースとしてエアロパーツやレカロシート、そしてサスペンションやエンジンにも手を入れた本格的なスポーツモデルだった (写真3) 。当時スイフトはイグニスという名称で海外販売されていて、ジュニアWRC にも参戦して好結果を出していたから、日本でもこの JWRC ラリー車風に仕上げて街乗りに使用している例もあって、言ってみればラリー風ランエボのジュニア版というところだ。なお、この初代スイフトスポーツは 2005年に販売を終了しているから、実際の生産台数は少ない希少車という事になる。

2代目スイフトは初代から4年目の 2004年11月に発売され、先代からは大幅な性能向上が実施された。エクステリアも先代が Kei をベースとした安っぽさ全開から大幅に改善され、既に現行スイフトと共通のイメージとなっていた。そしてスポーツについては約1年後の 2005年9月 に発売された (写真4) 。この2代目は日本では標準的な5ドアとなり、エンジンはジュニア WRC モデルと同様の 1.6L 128ps となった。


写真1
初代スイフトがサイドパネルを流用した軽自動車の Kei 。


写真2
初代スイフト (HT51S 2000-2006)


写真3
初代スイフトスポーツは3ドアだった (HT81S 2003-2005)


写真4
2代目スイフトスポーツ (ZC31S 2005-2010)

この2代目 スイフトスポーツ (スイスポ) はその後毎年改良され 2010年まで販売されていて、その後に3代目と交代した。その3代目の標準モデルが発売されたのは 2010年8月でスイスポは更に翌年2011年11月に発売された。3代目は2代目を基本としてキープコンセプトで各部を地道に改良したものでエンジンは型式は同一ながら 128 → 136ps へとパワーアップされマニュアルミッションは5速 → 6速と高性能化されたが、AT については 4速AT から CVT へと寧ろ退化してしまった。なおこの3代目からはスイフトとは別の車種としてスイフトスポーツという単独車種となった。と言う事は、2代目まではスイフトの中のバリエーションの一つにスポーツがあったという扱いになっていた。

そして今回の新型 (4代目) スイスポは歴代同様にベースモデルの発売 (2017年1月) よりも 8カ月遅れて昨年9月に発売された。従来モデルとの最大の相違点はエンジンが 1.6L 自然吸気 (NA) から 1.4L ターボとなった事で、これにより最高出力は 136 → 140ps と大した差は無いが最大トルクは 160 → 230N-m へと劇的にアップしている。また AT 車は CVT からトルコン式 6AT へと変更になったのもスポーツモデルとしては嬉しい改良だ。

なお初代から現行までのスイフトスポーツの基本諸元を下表に纏めたので参考にされたい。

それでは本題に入ると今回の試乗車はスイフト スポーツ  MT (全方位モニター用カメラパッケージ、セーフティパッケージ装着車) で価格は 192.2万円となる。なおこのモデルについては何時ものように既に日記で内外装写真を掲載している。
⇒ Suzuki Swift Sport (2018年1月9日からの日記)

そこでこの試乗記前編では見方を変えて、新旧 (ZC33S と ZC32S) のスイフトスポーツ比較を行う事にする。

最初は斜め前方から比較すると、新型のグリルは上部が前方に突き出している所謂逆スラントノーズとなっているのが大きな特徴だ (写真5) 。斜め後方では多少に違いはあるがフロント程明らかな相違点は見当たらない (写真6) 。


写真5
新型は上部が前方に突き出しているスラントノーズとなっている。


写真6
リアはフロント程の大きな違いは見当たらない。

ラジエターグリルはアッパーグリルとアンダーグリルの中間のフレームをブラックアウトしてシングルフレーム風にしてあるという点では同様だが、グリルの形状が逆台形から6角形となった (写真7) 。前述のようにこのグリルは逆スラントしているから、それに加えての6角形が大きな特徴だが、何となく他社のクルマにも似ている雰囲気もあり、これがスズキのアイデンティティとはとても言えそうには無い (写真7) 。なおサイズとしては全幅が 1,695o から 1,735o へと 40o 拡大され3ナンバーとなったが、全高は 1,510o から 1,500o へと逆に低くなっているから、"広く低く" で多少はプロポーションが良くなってはいる。

サイドビュー (写真8) はフロントグリルが見えない事もあって両車はかなり似ていて、唯一標準ホイールのデザインが大きく違う以外は区別を付け難い。だだしリアドアのノブを見ると、新型はCピラー手前に付けてしかもブラックアウトしているから、リアのドアノブが無いように見えるのはアルファロメオでお馴染みだが、基本的なプロポーションが5ドア丸出しのスイフトの場合2ドアと見紛う事は無い。なおサイドの寸法は全長は全く同じだが新型はホイールベースが 20o 長くなっている。

リアは一見すると大きな違いは無いようにも見えるが、良く見ればリアゲートの下端の位置が新型は大幅に下方向に長くなっていて開口部が広がり実用性は大いに増した (写真9) 。


写真7
グリルはどちらもブラックアウトされたシングルフレーム風だが、形状は逆台形から6角形となった。

写真8
全長は両車とも 3,890o と全く同じだがホイールベースは新型の方が 20o 長い 2,450o となった。

その他の新型の特徴はリアのドアノブがサイドウィンドウ後方に隠されたり、派手なイタリアン風ホイールなど、何やらアルファロメオを意識しているかのようにも見える。



写真9
新型のリアゲートは下方向に長くなり実用性が増した。リアコンビネーションランプも大型化されてより被視認性が増している。

この続きはその2にて‥‥。

⇒その2へ