Toyota C-HR S-T (2017/9) 後編 |
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C-HR についてはメガウェブでのチョイ乗りとはいえ、ガソリン 1.2L ターボとハイブリッドの双方に試乗しているから今回は C-HR としては3回目であり、シートポジションを合わせてスタートボタンを押してエンジンを始動して、セレクターをDに入れていざ発進!というところまでは変わらない。駐車場から出て公道に入って、先ずはアクセルペダルを 1/2 程度踏み込んでみるとやはりトルク不足を感じるが、そのまま 50q/h程度まで加速してみる。ここは片側1車線で旧国道とはいえ 50q/h は合法だから、そのまま巡航する。メガウェブでは制限は 40q/h でしかも事実上それ以上は出せないようなコースになっているから、40q/h でさえ一瞬で、その意味ではもう 50q/h 巡航でさえ初体験という事になる。 この時に感じたのは 40q/h 以下の低速域に比べるとトルク感は多少改善される事で、これって要するに低回転域のトルクとレスポンスが悪いという事だ。排気圧でタービンを回して圧縮機を作動させて過給圧を発生させるターボチャージャーはその分の遅れという致命的な弱点があり、以前は特に低回転域で顕著だったのだが最近の技術の進歩で低回転側からも驚くようなトルクとレスポンスを発生するモノが増えてきた。その面では C-HR のターボ、というかトヨタのターボはハッキリ言ってイマイチだ。ただしスペックでは1,500rpm から最大トルクに達する事になっているのだが、どうもそうでも無いような気もする。 そんな事言ったって、C-HR は1.2L という小排気量だから多少は大目にみてやれよ、なんていう意見もあるかもしれないが、例えばフォード フィエスタなんて 1.0L ターボでも低速から信じられないくらいのトルク感とハイレスポンスで、それに比べればトヨタの1.2L ターボは明らかに差が付く。フィエスタは欧州 (ドイツ) フォードだから欧州車という事になるが、いわゆるベンツ・ビーエムのようなプレミアムブランドではない大衆ブランドであり、それでもこれだけの性能を持っている訳で、トヨタに限らず日本車はこの技術に遅れてしまったのは間違いない。 それに加えてどうもトランスミッションにも問題がありそうだ。C-HR は日本車らしく CVT だがフィエスタは 6速DCT で、これまた日欧の大きな違いであり、最近は欧州車に追いつきつつあった国産車だが、この面では完全に後塵を拝してしまった。 |
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とまあ、能書きはこのくらいにして、今度は信号待ちからの発進でフルスロットルを踏んでみる。この場合発進して少しでも回転が上がってしまえばターボの低レスポンス域を脱するからその加速は実用車としてはそんなに悪くは無い、というかメガウェブでの超低速試乗で感じた程には非力ではなかったが、それでもやはりボディの雰囲気に比べればこの動力性能は期待外れとなる。因みにC-HR S-T は車両重量が 1,470 kgもあって、これを駆動するエンジンの最高出力は 116ps だから P/W レシオは 12.7kg/ps となり、まあそんなものかもしれない。因みにマツダ CX-3 20S の車両重量は 1,240kg と圧倒的に軽いが、C-HR は 1.2L ターボでは全て 4WD であり、それを考慮すると CX-3 も 4WD モデルで比べるべきだが、実はそれでも1,300kg だから170kg も軽い事になる。 実はこの 8NR-FTS 1.2L ターボエンジンはオーリスの 2015年のマイナーチェンジで搭載されたのが最初で、言ってみれば燃費最重視の実用ターボだが、車両重量が1,300kg のオーリス用エンジンを使い回ししたところに無理があるような気がする。 | |
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次に旋回性能はどうだろうか? メガウェブでは世間一般の40q/h 程度で通過できるコーナーは無いから、これは今回初体験となる。地方道で途中に何ヵ所かのコーナーがあるコースを走り、最初のコーナーでは多少慎重に進入して見ると、想像していたよりはアンダースエアも少なく結構素直に旋回していく。そこで今度は少し速度を上げてみると、これもチョッと強引気味になったが、まあ何とか合格範囲だろう。試乗車は最近の 4WD らしく走行状況によってトルク配分が変わるから、コーナーリング速度を上げればそれに適した配分に変わる訳で、昔のように 4WD = アンダーステア(むしろドアンダー!)という事は無い。 メガウェブではコースの途中にスラロームがあり、これは逆に一般道では経験出来ない程に急な操作を体験できるが、そういえば同じく C-HR のガソリン車では適度なアンダーステアで思ったよりはマトモだった事を思い出したから、"トヨタ" と "SUV " という二つの如何考えてもハンドリングカーとは無縁な記号の割にはマシだということだ。 今回の試乗車のグレードは安い方のSだから装着されているタイヤは 215/60R17 という大人しいものだったが、これが上位のGとなると 225/50R18 という扁平で見た目のスポーティーなモノになる。しかし SUV という性格からすればむしろSの17インチタイヤの方が似合っているようにも感じる。 |
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ところで C-HR のガソリンとハイブリッドの販売比率は如何かと思いディーラーで聞いてみたらば、6割以上がハイブリッドだそうで、やっぱり日本の "普通のユーザー" はハイブリッドがお好きのようだ。 さて CH-R のライバルはといえば、販売台数からすればホンダ ヴェゼルという手もあるが、ここはやはり CX-3 を取り上げたい。てか (というかの若者的表現) 、今回急遽 CH-R のガソリンターボに試乗したのは CX-3 との比較の為だったくらいだから、比較相手は CX-3 で決まりだ。 ここから先は例によってオマケだから、言いたい放題が気き入らない人達は、読まないことをお勧めいたします。特別編「Toyota CH-R S-T vs Mazda CX-3 20」に進む |