Mercedes-AMG GLE 43 特別編
  [Merdedes-AMG GLE 43 vs BMW X5 xDrive 50i 前編 その1]

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

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世の中、多くの分野で２大ライバルが争っているという情況は昔からあって、誰でも知っている例ではもう半世紀も前になるが、野球選手では王 vs 長島とか球団では巨人 vs 阪神、相撲界では栃錦 vs 若乃花 (栃若) など‥‥えっ、そんなの全然しらない、って？ 確かにこれを聞いて懐かしむのは団塊世代か精々その後数年くらいのポスト段階世代と言われる年代だった。それなら浅田真央か安藤美姫か、っていうのも古いって？ いやそれでも栃若よりは新しいでしょう。

それではこのサイトの主題である輸入車ではといえば、これはもうメルセスベンツ vs BMWという通称ベンツ・ビーエムの戦いとなる訳で、その中でも最も中心となるＣクラス vs ３シリーズ、そしてＥクラス vs ５シリーズについては既に以下の試乗記で取り上げている。
　⇒ Mercedes-AMG GLE 43 試乗記
　⇒ BMW X5 xDrive50i 試乗記

確かに輸入車の主力はミドルクラスセダンであり、上記の２つのセグメントが最もメジャ―なのは言うまでもないが、最近は SUV といわれる本物のオフロードカー程にはヘビーデューティーではないが、適度に車高は高く多少の悪路でも走破出来る多目的車の人気が上昇している。そこで今回は表題のとおりにそれぞれＥクラスと５シリーズのSUV 版である GLE クラスと X5 についての比較を行うが、その前にこのライバル２社のそれより小さいカテゴリーでの SUV の実態をまとめてみた。今回主役の２車はＥセグメントだがその下のＤセグメントではＣクラスベースの GLC と３シリーズベースの X3、そのまた下のＣセグメントではＡクラスベースの GLA と１シリーズベースの X1 という具合で、メルセデスでは GL とその後にクラス名つけるが、BMW では X のあとにシリーズ名を付けるというどちらも解りやすい体系になっている。

先ずはＤセグメントの GLC と X3 だが、アウターサイズはほぼ同じでベースグレードのエンジンも４気筒 2.0Ｌ ターボであり価格も600万円前後からと、もうコレはガッチリ四つに組んだ戦いになっている。現行 GLC (X253) は2015年6月の発表という新しい車で GLC としては初代に当たるが、先代モデルはメスセデスの最新の体系とは違い GLK クラスと呼ばれていた。この GLK クラスは2008年に発売された X204 で、これを事実上初代 GLC と考えれば、その始まりは2008年ということになる。それでは X3 はといえば初代は2004年発売の E83 であり、現行モデルは 2011年発売の２代目 (F25) であり、これは GLC よりも４年程ほど早い事になり、言い換えればこのクラスではメルセデスは後発と言える。

エンジンバリエーションは GLC では他に 350e という 2.0L ＋モーター (340N-m) を組み合わせたプラグインハイブリッドモデルもある。なお GLC には 3.0L ターボ AMG-GLC 43 (367ps) というモデルもあり、価格は何と 350e と全く同じ863万円であり、先進性か性能かという選択になる。対する X3 のエンジンバリエーションはさらに豊富で 20i 以外にもディーゼルの 20d 、同じ2.0L でもハイチューンの 28i 、3.0L ターボ (306ps) の35i というラインナップだ。

次にＣセグメントの GLA とX1 を比較すると、こちらもアウターサイズはほぼ同じでしかもベースモデルは GLA が4気筒 1.6L ターボだが、X1 は３気筒 1.5L ターボという小排気量ぶりで、しかも両モデル共に本来プレミアムブランドではご法度だった FWD 方式という点では何やら将来を暗示しているようなクルマ達だ。

GLA は2013年に発表され、販売は2014年から開始されたという可成りの新参者だ。対する X1 は初代 (E84) が2009年に発表され、現行モデルは2015年に発売された F48 というように、やはりメルセデスよりも４年程先行していた。スタイルは X1 では兄貴分の X5、X3 と共通のワゴンボディの背を高くしたような SUV としては標準的なモノだが、GLA の場合はサイドウィンドウが前後ドアのみで、その後のリアクォーターウィンドウが無い、すなわちＤピラーが無いハッチバックスタイルとなっている点が大いに異なる。これは GLE や GLC のようにそれぞれ X3 や X5 と近似性のあるボディでは無く、この辺がこのクルマを選ぶ時の最大のポイントとなる。

なおエンジンバリエーションとしては GLA では他に 2.0L ターボの 250 が、X1 には同じく 2.0L ターボの 2.0 と2.5 がラインナップされている。そして価格はどちらもベースモデルならば300万円代であり、チョイとした国産ミドルクラスのミニバンでも300万円を軽く超える今日このごろ、これらは中々の買い得車であり、とりわけ X1 はワゴンボディだから実用性でも充分だ。

なお X1 (F48) については下記の試乗記があるので詳細はこちらを参照願いたい。
　⇒ BMW X1 xDrive20i 試乗記

ところで上記試乗記は何故に買い得価格の 18i ではなく100万円近くも高価格な 20i なのかと言えば、発売当初は 18i の販売開始が遅れていたことと、その後も上手く試乗車が見つからなかったことが原因だった。

以上ベンツ・ビーエムの Ｄ , Ｃセグメント SUV について簡単にまとめてみたが、そろそろ本題のＥセグメント SUV に話を移そう。先ずは今回の主役で実際に試乗比較を行う GLE 43 とX5 xDrive 50i 、そして其々の上級高性能モデルである GLE 63S と X5 M の諸元を一覧表にまとめてた。とはいえぶっちゃけこの項目は既に両車の試乗記や日記などで使用したものを、今回の比較に合わせて順番を変えたものだから、今更詳細説明の必要もないだろう。ただし今回の試乗比較の２台では価格的にはほぼ等しいがエンジンの性能からすると X5 の方が少し上回っていて、これについては後編で詳しく述べることにする。

ここで GLE と X5 のエンジンバリエーションについても触れておく。先ず GLE に関しては上表の Mercedes-AMG ブランドの２車種以外では、V6 3.0L ターボディーゼルの 350d がベースモデルとして存在する。価格的には 43S よりも300万円も安い設定になっている。

対する X5 は流石に高級 SUV の老舗 (と言うには歴史は浅いが) だけあって 直6 3.0L の 35i、直6 3.0L ターボディーゼルの 35d、そして直4 2.0L ターボに電気モーターを加えたプラグインハイブリッドの 40e というように GLE に比べてバリエーションはより豊富となっている。価格的にはベースモデルで860万円と GLE とほぼ同様となっていて、E セグメント SUV は900万円弱は必要ということだ。GLC と X3 は何れも600万円前後がベースグレードの価格だから、その差は何と250万円以上というか限りなく300万円ということで、要するに 1.5倍もするという事だ。

両車の比較に進む前にもう一つ付け加えておくことがある。それは最近の SUV ブームにより高級 SUV では何とクーペタイプも発売されていることで、最初は BMW が X5 のクーペバージョンとして X6 を発売し、その後にはひとつ下の X3 をベースとした X4 まで販売しはじめたことだ。
　 ⇒ BMW X4 xDrive 28i 試乗記

これに対してメルセデスだって負けていない。早速GLE にクーペバージョンを追加している。

更にはＤセグメントの GLC にも極最近クーペを追加発売してようだが、今現在では日本では未だ販売されていない。

今回も前置が長くなってしまったが、いよいよ本題の両車の比較へと進むことにするが、この先はその２に続く。