Porsche Cayenne S E-Hybrid (2015/5) 前編 | ||
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PORSCHE の SUV である Cayenne は初代が 2002年 に発売され、現行モデルは 2010年に発売された三代目 (開発コード 958) であり、当サイトでも Porsche Cayenne Turbo 試乗記 (2011/1) として取り上げている。Cayenne は発売から1年後には PORSCHE 初のハイブリッド車である Cayenne S E-Hybrid (以下Cayenne S E) も追加された。ということはハイブリッドモデルが発売されてから既に3年が経過してしまったが、今回遅ればせながらこの Cayenne S-E に試乗した。とゆうことで、この試乗は速報性なんて全然ないから今回はある程度充分な試乗時間 (期間) を取ることで、少しは詳細に紹介しようと思っている。そう言えば、このサイトでの徹底レポートというと何故か PORSCHE と BMW なのに気が付いたが、別にエコ贔屓しているわけではないので念の為。 ところで Cayenne の売上ってどうなんだろうと思って考えてみると、そう言えば都心の一等地、例えば赤坂から青山・六本木界隈を歩いていると結構目にするし、首都圏の郊外でも偶に走っているのを見かけるから、価格や販売網を考えれば充分に頑張っている事にもなり、感覚的にはBMW X-5 と比べても遭遇率は似たようなものと感じている。これが同じくプレミアム SUV である AUDI Q7 となると都心ですら滅多に見かけない状況だと思ったら Q7 は既に販売終了だった。ただし、その後に発売された Q5 もこれまた殆ど見かけない、というよりも セダンを含めて AUDI 自体が街中で遭遇する確立が結構低いのが現状だ。そしてまた VOLVO XC60 も滅多に見かけないが、これは現在も多少手を入れて販売されいるようだ。 ⇒ VOLVO XC60 T6 SE AWD 試乗記 2009/9) |
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それでは今回の試乗車である Cayenne S E について、その内容を主な諸元を見ながらその立ち位置を理解することにする。先ずは前回の試乗記で取り上げた Macan Turbo と比べるとサイズ的には一クラス大きく価格的にもワンランク上だが、Macan については試乗したのがラインナップ中の最高性能である "Tourbo" だったこともあり、価格的にはその差 150 万円程度にまで縮まっているが、これが Cayenne Turbo ともなれば現在の価格は何と1,738万円もする。 BMW X-5 については、恐らく Cayenne の最も競合する相手ではないかと思うが、V8 4.4L ターボエンジンを搭載する最上級グレードのxDrive 50i でも 1,028万円とCayenne に比べて価格的には安い設定だが、米国ではどうなのだろうか? ということで調べてみたらば、Cayenne S E-Hybrid が $77,200 で X-5 xDrive 50i が $70,700 ということだった。BMW の場合、特にM3 などは米国で価格的に近いケイマンに比べて日本での価格はベラボウに高い所謂ボッタクリ価格を付けているが、X-5 では xDrive 50i が Cayenne S E 90% 程度という米国価格の割合と同じくらいの日本国内価格を付けていたから、これは充分に妥当な価格設定と言える。 そのxDrive 50i の性能は 0‐ 100 q/h 加速が 5.0 秒だから、Cayenne で言えば GTS の5.2秒をも上回るくらいの高性能であり、GTS は 1,389 万円もすることから考えても X-5 は世間の ”格” としてはCayenne より下、というよりもカーメーカーとしてのブランド力もPORSHE の方がランクが上という、まあこれは多くが認めることだから今更という感じではあるが。 次の Lexus RX450h については、元々RX 自体が Cayenne や X-5 に比べるとクラス的には少し下でありどちらかと言えば Macan に近いのだが、プレミアム ブランドの ハイブリッド SUV ということと、国産車であるということも考慮して比較対象としてみた。それで結果としては流石にハイブリッドの本家であるトヨタ製らしく電気モーターの出力などは Cayenne に対して圧勝だが、エンジン自体の性能ではイマイチであり、結局システム出力では逆に差を付けられている状況だ。まあ、そうは言っても価格的にはベースグレードならば概ね半値で買えるのだから、これはこれで意義がある。 次に現行 Cayenne のエンジンラインナップについて一覧に纏めてみたが、上表の S E-Tourbo 以外に5種類も用意されていて、結局価格は 859万円から 2,235 万円まで、エンジンでは V6 3.5L 300 ps から V8 4.8L ツインターボ 570ps!というワイドなバリエーションだが、一番安くても 900 万円近いのだから随分と高価な車である。しかし11年前に始めて Cayenne が発売された時のベースモデルはボクスターより安いくらいの値付であり、結局モデルチェンジの度に高級化していったということだ。 そうなると初期型のユーザーが買い換えようとした時にちょいと予算不足となり、結局 X-5の低グレードモデルに逃げられることも想定されるが、そこで登場したのが639 万円よりの Macan だとすれば全ての話が継った。実は Macan については出たばかりの旬であることも理由だろうが、それ以上に今までポルシェと縁の少なかったクラスのユーザーからの引き合いも多く、試乗車は常に予約状態ということだったのに比べれば、今回の試乗車である S E は充分な期間借り出せる事が出来たのは言い換えれば引き合いが少ないという事にもなる。まあ、ハイブリッドという特殊性がより不人気の原因かもしれないが‥‥。 何やら冒頭から今回の試乗車を否定するような事を言ってしまったが、クルマの値上がりが続く最近の現状を考えても 1,200 万円という車両価格は一般のサラリーマン、いや他業界からすれば不当に高級をもらっていると言いたくなるような金融、証券、マスコミなどに勤務する ”エリートさん” でさえ簡単に手の出せる価格ではないから、この試乗記は兎に角こんなクルマのあるんでっせー、何ていうノリでやってみよう。 スペックで見ても全幅1,940o というサイズは日本の道路事情では少し大き過ぎるのは想像できるが、それ以上に実際に実車を見た時の馬鹿でかさは相当なものだ。初代カイエンのスタイルはイマイチ間が抜けているカエル顔だったが、現行車は当然カエル顔ではあるが迫力がまるで違い、911等と相通ずるポルシェらしい迫力がある。実際に狭い裏道では対向車が手前の比較的広い場所で左に寄って退避している事が何度もあって、このクルマの迫力が伺い知れる。まあ清く正しい庶民目線から見れば、こういうクルマに乗るのは社長といっても玉入れ賭博や風俗系で背乗りとか通名も多そうだから、うっかり擦ったりしてトラブったらいくらふっ掛けられるかわからないと思うのも無理は無い。 |
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写真7 ホイールベースは 2,805 → 2,895mm で+90mmだから全長の割にホイールベースの延長は少なめであり、その分はオーバーハングが増やされたことになる。 |
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Cayenne S E のヘッドライトはバイキセノンランプが標準でオプションでLED 方式も選べるが、明るさという面ではキセノンが有利な筈で、それでは LED はといえば省資源ということになる。まあ LED というのはどちらかと言えば照明よりも表示用に向いていると思われ、例えば信号機などは LED 化により逆光でもハッキリ認識できるようになり安全性でも大いにメリットがあるから、それに加えて省電力な LED 式信号機はデメリットなんて思いつかないくらいだ。まあデメリットを感じているのは電球交換の仕事が無くなった天下り企業くらいだろう。なお、試乗車のヘッドライトは極めて優秀だったが、これについては後ほど詳しく説明する。 ところでこのクルマは単に Hybrid と表記されているが、実は日本風に表現すればプラグインハイブリッドであり、自宅やディーラーの充電設備でフル充電しておけばEVモードでの走行も可能だし、驚異的な燃費も実現できる (という事になっている)。それで、ガソリン車との識別はというと外観上ではフロントフェンダーの後方にある "e-hybrid" というロゴのエンブレムのみだった。ガソリン車に対して割高なハイブリッド車を買うのは、これを買うことで CO2 排出量を抑えて地球温暖化を防ぐという、社会貢献への意識が高い事をアピールする事が目的だったりするわけで、ここはもっと派手にボディーサイドに馬鹿でっかい字で HYBRID のデカールでも貼り付けるのが正解か? まあその前に車両重量 2.4トンのクルマでECOもないものだが、それ以前に CO2って海水が温まって出てくるんじゃないの、って。だっ、駄目ですよう、教授。それは言いっこ無しということで。石化燃料の燃焼で出た CO2 で地球が温暖化していることになっているんですから、ねっ。 |
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写真8 リアから見ると SUV には不釣り合いな太い排気管が並みのクルマとは違うという主張をしている。 |
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リアクウォーターパネルにあるフタを開けると車両左側 がプラグインハイブリッドの充電用、右側はガソリン給油口となっている。ということは、このクルマを買ってメリットを感じるには自宅に充電設備を保つ必要があるということだ。 次にリアゲートを開けてラッゲージスペースをみると、流石に馬鹿でかいボディだけあってスペースは結構広い。ところがその床上にはアタッシュケースくらいの黒いビニールカバンが置いてあり、よく見るとボディにストラップで固定されている。これは何かと思い早速開けてみたらば、ブラグインハイブリッドの充電用ケーブルやアダプターがセットとなったものだった。更に今度は床を持ち上げて見たらばそこにはリチュウムイオンバッテリーが保管されていた。なぜ直ぐにリチュウムイオンを判ったかといえばバッテリー上面には各種のコーションプレートと共に ”Li - Ion” の表示と廃棄不可、リサイクル指示のプレートも貼ってあるからだ。 ところで、この床板はボンネットカバーみたいにロッドが付いていて、これを立てれば手を放しても内部をメンテすることが容易となる。ラッゲージスペースの床板の下にスペースを作るのは最近では珍しくないが、多くは床板を取り外すか片手で支えるかという状況で、このようにロッドで固定できるのは始めてだが、使いやすさは非常に良い。 |
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室内の第一印象は、流石に一千万円超だけあって高級感は充分で、レザーを多用したブラウンの内装色は正にドイツ製の高級車というもので、これでオフロードを走るユーザーはいないだろう。シート表皮は当然レザーで、その表皮は座面とバックレストの中央には通気穴が空いている。なお標準シートでは一部に人工皮革を使っている筈で、これがフルレザーになるのはオプションのナチュラルレザーインテリアとか言うのを付ける必要があるが、PORSCHE の人工皮革はすこぶる出来がよく、ちょっと見たくらいでは中々判断がつかないくらいだ。 シートの調整は 8-Way の電動調節機能のついたコンフォートシートが装備されていたが、オプションでは18-Way のアダプティブスポーツシートなんていうのもあるから、完全に自分の体に合わせた調整により抜群のホールドでワインディングロードを駆け巡る‥‥何てことは、この馬鹿でかいSUV では有り得ないが‥‥。 運転中には殆ど視線に入らないドアのインナートリムは、中級以下のクルマの場合インパネなどと比べると明らかに質感を落としている例が多いが、流石にこのクラスになると質感、仕上げとも充分に満足できるもので、ドアノブの材質やアームレストのレザー&ステッチ仕上げ、そしてライトブラウンとダークブラウンの2トーンカラーの使い分けなど、これに不満のあるユーザーはまずいないだろう。このドアトリムの先端下部にはカーオーディオとしては結構大きめのスピーカーが見えるが、そこに付いている小さなエンブレムには ”BOSE” のロゴがあった。 なお試乗車の内装色は正式には ”サドルブラウン/ルクソールベージュ” で、外にも多数のオプションがあり、これらを選んで発注するのも PORSCHE ならではのもので、そういう事を考えれば Cayenne も立派な PORSCHE の一員と言う事だ。 |
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写真17 |
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今回は何時もより詳細な部分まで取り上げたこともあり既にこの時点で随分と長くなってしまった。といことで、今回は3部構成としたので続きは中編にて。 |