BMW(F31) 320d Touring 特別編
  [BMW 3 Series Touring vs MAZDA ATENZA Wagon 前編]

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

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新型アテンザについては、昨年末にワゴンXD(ディーゼル)とワゴン20Sを簡易試乗記で取り上げたが、BMWファンの読者にとっては、アテンザがどの程度まで3シリーズに迫ったのかということには、大いなる興味があるだろうと思い、日記(12月9日~)において写真で両車を比較してみたが、その日記で予告したように今回は特別編としてまとめてみた。

初代マツダアテンザが発売されたのは2002年5月だから今から10年以上前となるが、そのアテンザの前身はカペラであり、カペラの最終モデルは97年発売だったから、初代アテンザの発売まで5年間のモデルサイクルがあったことになる。実はこの時期、マツダは経営不振によりフォードの傘下となり、新型カペラの開発も一時棚上げになった時期があったが、結局再開されて初代アテンザとして陽の目を見たことになる。そして、このアテンザが思いの外出来が良く、マツダのフォードグループ内での評価も大いに上がり、その後のアクセラではフォードグループの他社にも主要コンポーネントを供給するという、フォードの小型車戦略の中核をなすまでになった。

その最終型カペラが発売されていた1997~2002年頃のBMW3シリーズはといえば、あの不滅の名作であるE46の時代であり、当時カペラとE46を比較するなんていうことは冗談でも思いつかなかった。それから10年以上の月日が経ち、今回のようにある程度真面目に3シリーズとアテンザの比較が出来るというのは、日本車、取り分けマツダのクルマが如何に進歩したかということだ。

 

ところで、B_Otakuはドイツ車偏重と思っている読者も居るだろう。そういえば以前にこんなメールが来たことがあった。


件名 つまらないドイツ車オタクの記事を読んでしまった後悔してます
送信者 ○木○明 <********@amber.plala.or.jp>
宛先 web-master@b-otaku.com
日時 2010年05月12日 23:28:25
結局ドイツ車一辺倒のオタクの記事だったんですね。
くだらない記事を読んだ時間を返して欲しいくらいのドイツ車礼賛には辟易しました。

バカを言っちゃあいけない。何よりB_Otakuは日本人であるし、それにも増して日本の自動車業界のお陰で***だったのだから、ドイツ車偏重の訳がない。こういうメールを出す奴に限って情弱だったりするので、試しにHNと名前をググって見たらば案の定、twiterに本名と同じHNで登録してあった(核爆)
ところで、読んだ時間を返して欲しい時は金→金銭の要求恐喝メール犯罪ということに、気が付かないのだろうか。

と、今回は最初から特別編らしい内容をサービスしたが、情弱な奴に限って怖いもの知らずでこういう事をするもので、上の例はあまりにも馬鹿すぎて腹をたてるのを忘れて同情してしまったくらいだ。

それでは本題に戻って、先ずは例によって両車のスペックを比較するが、今回はバリエーションが多いので、先ずはエンジンを除いた両車の基本スペックを比べてみる。

既に日記や試乗記で説明したように3シリーズはセダンとツーリングの外形寸法は全長まで含めてほとんど同じとなっている。なお、ツーリングのほうが全高が20mm高いのはルーフレールが原因だろう。これに対してアテンザの場合は、セダンの方がワゴンよりも全長とホイールベースが長く、セダンはDセグメントというよりも、米国向けの中型FF車、要するにカムリとかアコードのカテゴリーとなっている。

今度は車両重量を比較すると、3シリーズはセダンとワゴンの重量差が70sあるのに比べてアテンザは僅かに20kg(XD)しかない。BMWのワゴンはセダンと変わらないような剛性感を達成しているが、それが重量増加となり、以前からワゴンとセダンは100sくらい違うのは当たり前、という状況だった。このためにワゴンの動力性能がセダンより相対的に劣り、特に320iツーリングは明らかにパワー(トルク)不足という状況だった。今回はワゴンだとトルク不足が危ぶまれる320iはワゴンに設定が無いことから、この問題は無くなったことになる。

それでは、いよいよエクステリアの比較をしてみよう。こうして並べてみるとFMCから1年程度の3シリーズがアテンザと比べると何やら古臭く見えてしまうのには驚いた。曲線と多用したアテンザに対して3シリーズは角張っていて、これはリア斜めから見た下の写真が解り易いだろう。

真正面からの比較では3シリーズもそれ程古臭くは見えないが、それでもアテンザのアグレッシブなフロントは世界のBMWも真っ青というところだ。

側面から見るとアテンザのルーフラインがBピラー以降で大きく下降するラインを描いていて、その結果としてサイドウィンドウが後方に行くに従って大きく狭められているのに比べて、本来ワゴンの実用性よりもスタイルを重視していた3シリーズが、むしろ大人しく実用的なラインに見えてしまうくらいだ。

リアスタイルはやはりアテンザの曲線を多用した近代的なデザインが目を引く。それにしても、天下のBMWの主力車種が古臭く見えるというのも信じがたい状況だ。まあ、人によってはBMWのスタイルを好むのかもしれないが?

ワゴンとしての実用性の大きな指標となるリアラッゲージスペースは床面だけ比べればFFでしかも全長の長いアテンザが有利だが、アテンザは3シリーズ以上にDピラーを大きく寝かせているので、事実上の体積は大して変わらなさそうだ。

 

次はいよいよ室内を比べてみる。

後席の広さではFFであり、しかも3シリーズに比べて全長が175mm、ホイールベースが60mm長いアテンザが当然ながら足元の余裕で優れている。写真上は320dのデザインラインがモダンであるため、明るいアイボリー系の内装となっていて、ブラックのアテンザと比べると雰囲気まるで異るが、丁度良い写真が無かったということで勘弁してもらおう。なお、320dがベースグレードではないため、アテンザも敢えて上級モデルのL Packegeを比較対象として選んでみた。

その内装をもう少し詳しく見ていくと、先ずは一番目に付くシートについては、レザーシートの場合は3シリーズが例によって厚くてシボがハッキリと見える如何にも丈夫そうなダコタレザーと呼ばれるBMW定番であるのに対して、アテンザは見るからに出来が悪そうな、駄目なレザーシートのお手本のような代物となっている。なお、日記ではアテンザのレザーシートのサイドが妙に硬く、直ぐにシワから破れが出そうだと記したが、その後の調べてはこのサイドは人工皮革であるらしいことが判明した。まあ、人口皮革が悪いとは言わないし、ポルシェだってサイドは人工皮革が標準だが、アテンザに比べて明らかに出来が良いのは材質の選定の問題だろう。そして、アテンザは上級グレードのL Packegeを選ぶと、このどうしようもないレザーシートが標準で付いてくる。しかも、ガソリンエンジンモデルの場合は排気量の大きい25SにはベースグレードがなくL Packegeのみだから、25Sをお買い上げのお客様には漏れ無くこの糞シートが付いてくるということになる。もう、これだけで25Sが選択外になってしまうのは実に惜しいのだが。なお、このシートの座り心地はツルツルとよく滑ってサポートが悪いという、以前日本にも輸入されていた(そして、全く売れなかった)ヒュンダイ グレンジャーを彷彿させるような、出来の悪いレザーシートの典型だった。なお、320の場合はレザーシートはオプションとなる。

3シリーズのシート表皮は原則としてファブリックが標準だが、デザインラインがModernの場合はレザー/ファブリックのコンビが標準となる。なお、ファブリックとは言ってもLuxuaryの場合には中央部には複雑な模様の素材が使われている。この辺の詳細は328i試乗記を参照願いたい。そしてアテンザのファブリックだが、これはベースグレードに標準のために実に質素というか飾りが無いが、材質自体はBMWに近い欧州調のものが使われている。要するにアテンザはベースグレードが正解ということだ。

シート調整については現行3シリーズは全てにメモリー付きの電動シートが装備されている。これに対してアテンザは上級のL Packageのみがメモリー付きの電動で、他のグレードは手動となる。メモリー付きシートの良さは、家族で使うなど複数のドライバーが乗る場合に、折角ベストポジションを見つけても家族が乗った時に移動されてしまうことが無いから、使ってみれば結構便利なことだ。

ドアのインナートリムは平面的な3シリーズに対して、アテンザは対称的に肘の当たる部分を大きくえぐっているなど対称的だ。質感については、まあ、個人の好みとしておこう。

そしてインパネを比べてみると‥‥

中央最上部にディスプレイ、その下にエアコンのアウトレットがあり、この部分は水平なインテリアトリムが幅一杯に走っているなど基本的なレイアウトは同じで、ディスプレイの視認性を考えた最近のトレンドに従っている。ところで、このレイアウトは何故かCセグメント以下になると採用されないで、最上部にはエアアウトレットが居座っている。例えば、ポロやノートがそうであり、Cセグメントのシルフィも同様だった。

エアコンはどちらもオートエアコンが標準で装備されているが、操作パネルのレイアウトや形状には全く共通点が無い。まあ、これも好みの問題としておこう。そして3シリーズはエアコンの上部にオーディオの操作パネルがある。3シリーズはコンソール上のダイヤルを使ってディスプレイ上の情報に従い各種の操作をするのだが、CDの挿入口やFMの選曲、そして音量調整など日常運転中に最も使用する部分はセンタークラスター上に配置されている。これに対して、アテンザは本来がオーディオレスのために、最上部のスペースに(たぶん)2DINサイズのブランクで、ここにディーラーオプションとしてオーディオ一体のナビ、もしくは単にFM付きCDプレーヤーなどを跡付けすることになる。したがって、CDを挿入する時はディスプレイをニュ~っと水平に開けてその中に出没するDC挿入口に差し込む事になる。

BMWのディスプレイはお馴染みの横長タイプで、ユーザーによってはナビの地図が見辛いとの意見もあるが、画面を2つに分割して広域と詳細を左右に表示すれば決して見辛いとは思わないが、まあこれも人それぞれか。

今度はルーフ先端のオーバーヘッドコンソールに目をやると、大きさ、形状、質感とも大きく異る事が判る。まあ、敢えてどちらが良いとは言わないが、各自で判断してもらおう。

  

ここまで見てきたところでは、エクステリアでは意外にもアテンザに歩があるという状況だが、そのアテンザワゴンのスタイルは、取り分けサイド(フロントも)ビューがボルボ V60に似ているという事実もあったりするのだが‥‥。

ということで、この続きは後編にて。

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