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TOYOTA 86 G 6AT (2012/5) 後編 |
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前車がいなくなって自分が先頭になったときに困るのは小さい速度計の目盛間隔が狭く見づらいことに加えて、一般道で常用する40〜60km/hの場合、目盛は真下を指す為に視線移動も大きいなど、 極めて使いづらいし、何より安全上の問題もある(写真7)。まあ、この件は既にMT車の試乗記でも指摘したが、MTの場合には一度巡航速度に乗せれば後は正面の回転計を一定にすることである程度の定速巡航はできるが、ATの場合は同一速度でもトルコンスリップで回転計の針は上下するために余計に気になる。更にメーターフード の影によってメーターの盤面が暗く、試乗した5時頃は既に太陽の光が弱めであり、しかもGグレードのメーターは黒字に白文字にも関わらずコントラストがイマイチで、これまたハッキリと視認し辛いという、もう どうにもならない状況だった。いくら低価格を実現する為とは言え速度計という最も重要な部分の手を抜くというの は、メーカーとしてのポリシーを疑ってしまう。 。 |
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今回はAT車のためにコンソール上の後方にはMT車には無かったモード切替らしきスイッチ(写真8)が見えたので、SPORTを表示のあるボタンを押してみると、メーター内に小さなグリーンでSPORTという表示が点いた (写真9)。再度ノーマルに戻してから2,000rpmで巡航中にスポーツモードに切り替えてみるが、他車のようにボタンを押した直後に1速シフトダウンして回転計の針が500rpm跳ね上がるような動作は見られなかった。ただし、アクセルを少し強めに踏んだ時のキックダンはより素早く、そして敏感になるし、加速中のシフトアップ回転数も 、より高回転域にまで達するようになる。スポーツモードではシフトスケジュール以外にもアクセルペダルに対するレスポンスが明らかに良くなるなど、クルマ全体の動きが活発になるのが判る。 試乗車のキックダウンのレスポンスはノーマルモードでもそれ程苛々しない程度のレスポンスだが、スポーツモードを選ぶとトルコン式ATとしては良い部類 、いえるくらいのレスポンスはある。とはいえ、決して抜群ではいが・・・・・。 クルマにも大分慣れてきたので、細かい部分にも気が回るようになった状態で、まずは停止中のアイドリングだが、これが何故か前回のMTに比べて振動が大きいように感じた。信号待ちなどではブルブルという振動がステアリングやボディを伝わって感じられた。といっても絶対的には 大した振動でもないのだが、前回のMTが拍子抜けするくらいに静かなアイドリングだったので、それと比べると明らかに違いがある。と、ここで、脳裏に閃いたのは今回はトランスミッションがトルコン式のATであるということだった。そこで、信号待ちでATセレクターをNにしたら・・・・ 当ったりぃ〜! MT車と同等に近いレベルとなった。要するにDレンジでの待機のために、トルコンを僅かにスリップさせている状態で、駆動系自体は繋がっていたためだと判明した。 ところでトルコン式ATの場合、信号待ちなどでの停車時に毎回N若しくはPレンジに切り替えるドライバーがいるが、これは少なくともBMWでやるとミッションの寿命を縮めることになる。要するに、NからDに入れる瞬間がクラッチにとって一番負荷が大きい状態になることが原因らしい。その他にも、Dレンジに入れて多少の負荷をエンジンに掛けたほうが、エンジン内のチェーンやベルトなどに一定の力が掛かっている為に、むしろ良い状態になるためで、逆にNで無負荷だと、ベルトやチェーンにテンションが掛からないことから、常に不安定な引っ張り荷重 がかかることで結果的にエンジンを傷めることになるようだ。まあ、この件は人それぞれ考えもあるだろう から、自分の車で停車中にいちいちNにするのもオーナーの勝手だから、好きなようにすれば良いが。 |
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話が少し横道に逸れたが、今度はマニュアルモードを試してみることにする。マニュアルモードにするには、ATセレクターをDレンジから右に倒すという、最近では当たり前のいわゆるティプトロタイプで、この状態からレバーを前後することでシフトアップ/ダウンを行うものだ。そこで、走行中にDからMに入れて、さて変速操作だが、セレクトレバーは押してアップという、個人的には好まないパターンだったので、それよりはパドル操作でいこう、と思ってステアリング上の指を確認したが、あれっ?パドルスイッチが見当たらない?もしかして・・・・・・そうです、パドルが付くのはGT以上であり、試乗車のGには付かないのだった。ここで気を取り直し、経験の為と言い聞かせてセレクターを使用してマニュアルシフトを実行してみる。結果はレスポンスとしてはマアマア、というかトルコンATとしては良いほうで、レバーを動かしてから0.5秒くらいで変速が起きた。またシフトダウンでは上手く回転を合わせてショックも少ないが、派手なブリッピング等の演出はなかった。 ところで、クルマの評価というのはどうしても相対的な比較になってしまい、比較相手の性能が悪ければ良い評価になってしまうという問題がでてしまうが、そういう意味で、今回の試乗コースは安物 のミニバンやコンパクトカーで走り慣れているので、どうしても以前にヴェルファイヤーHyb.やウィッシュなど、今時の車としては不安定なクルマで走った記憶が甦ってしまう。そういう状況では86のステアリング特性は実にクイックで、しかも車両は安定しているし、はっきり言ってウィッシュと比べれば、これが同じトヨタの製品だということが信じなれないくらいに違いがある。そこでウェッシュの時に40km/hで進入して肝を冷やしたコーナーに50km/hで入ってみたが、全くの余裕でクリアした。そこで、2回目のトライでは60km/hでコーナーに侵入して、ここでチョイとブレーキを踏んでフロントに荷重を乗せてと思ったが、このままでもいけそうという感じがしたので、少し切り増ししてそのままでコーナーリングを続けてみると、結構な横Gを感じながらもしっかりとクリアした。この時にフロントは充分にグリップしているようだったし、リアもしっかりと路面を踏ん張っていた。また、出来の良いシートは横方向のサポートもしっかりしてい て、この程度の横Gなら全く問題ないことが判った。 乗り心地は状態の良い舗装路を普通に走っている分には「チョイと硬めかな」程度で、慣れてしまって特に意識をしなければ気にならないが、大きな段差等を通過したときに突然ガツンっという突き上げを一回だけ喰らうが、車両剛性が充分なのだろうか、その一回でピタッと止まる感じだった。そしてクイックな小径ステアリングをクイッと回すと殆どロールも遅れもなくクルマが方向を変える状況は実に気持ちが良い。 試乗車の車両重量は1,230kgと、今時のクルマとしては軽量だし、車両の大きさだって小さいから、これらが良い方向に作用して軽快な乗り味となっているのがハッキリと判る。 ブレーキについては、最初に乗ったBRZ Sの喰い付きが少なくてある程度の踏力を必要とするポルシェ997カレラ的なフィーリングに対して、86 G MTも殆ど同じフィーリングと思っていたが、チョイ乗りだったMTと違い今回はある程度の時間があったために色々なブレーキングを試したみた。そのな かで、幹線道路を走行中に信号が黄色に代わった時があり、この時は停止線の15m程手前で速度は50km/hだったから、普通はそのまま突っ切るのが安全な状況だったが、幸い後ろにクルマがいなかったのでチョッと強いブレーキングで強引に止まってみたが、車両の挙動は実に安定しているし、ブレーキの踏力は意外と小さ目だった。あれっ、BRZの時とちょっと違う?ということに気が付いて、その後は緩い制動でも踏力に気を配っていたら、確かにBRZ S程には効きを落としてなくて、一般の国産車程ではないがポルシェ的という程でもなかった。ということは、少なくともBRZ Sと86 Gのブレーキパッドは違う材質のモノが使われている ことになる。 実はBRZと86、そして各グレードによるキャリパーとパッドの組み合わせは既に調査済みであるが、これについては特別編で公開する予定だ。 |
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前述のように前回のMTの試乗は、いわゆるチョイ乗りに近かったために、はっきり認識できない部分があったが、今回の試乗は約40分間、比較的空いた都内の幹線道路と坂やコーrナーのある都道を走ったので、ある程度色々な走りを試すことが出来たが、結果としては、確かに面白いクルマであることに間違いはない。しかし、残念なのは上記のATの問題に加えて、前回の試乗でも指摘したがGグレードの速度メーターの見辛さも何とかしたい。そしてもうひとつ、Gグレードでもパドルスイッチは欲しい。それさえ解決されれば 、250万円という価格帯では実に買い得なクルマであることは間違いない。まあ、Gグレードが気に入らなければ上級のGTを買いなさい、ということかもしれない が。 ところで、ふとBRZはどうなんだろうと思ってカタログを調べてみたらば、まずメーターについては、何とレッドスポーツメーター(デジタルスピードメーター内臓)の装備表は全モデルに標準装備となっていた。更に、パドルスイッチについては86 Gに相当するBRZ R(254.6万円)の場合、オプションのスポーツインテリアパッケージ(31,500円)を装着すれば解決する。 となると、合計で約258万円となり、86 Gの248万円と比べて僅か7万円の追加で解決できる訳だ。 86/BRZ試乗記も今回で3回目となり、そろそろ特別編を期待する声が聞こえてくる。普通の常識で考えればFRのMTスポーツクーペ同士ということでBMW320i MTなんていうのが役立つのだろうが、3シリーズは新型のF30に切り替え中であり、タイミング的に難しそうだ。それでは、国産の
同価格帯のMTスポーツはといえば、シビックユーロタイプRはFFだし、FRのローターリースポーツであるRX-8は絶版直前と、ちょうど良い相手がいない状況だ。そこで、最近発売されたリア駆動の2+2スポーツクーペで、ATもMTも用意されてる車種といえば・・・・・ちょっと、見当たらないが・・・・・・あれっ?待てよ、そういえば新型911、すなわち991なら確かにリア駆動の2+2スポーツクーペに違いない。まあ、価格的にはチョイと違うが、外車なんてボッタクリだ!アメリカじゃあ日本の半値だし、国産車と変わらない値段で売っているんだ、と言っている君やそこのオッサンのためにも、やってみましょう、この企画。 ここから先は例によってオマケだから、言いたい放題が気き入らない人達は、読まないことをお勧めいたします。
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