Mercedes Benz C200 AMG sport 特別編
なんちゃってAMGを買うユーザーは?

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

今から10年ほど前にBMW3シリーズ(先代E46)にMスポーツパッケージが設定された時には、あんなオーバースペックのタイヤを履いて、返って操舵性や乗り心地をスポイルするんじゃあないか、と正統派マニア達は批判的だったが、 何てったってカッコが良いから一般ユーザーには受けたようで、ある時期では販売される3シリーズの殆どがMスポーツだったこともある。確かに、当時の3シリーズは標準モデルのバンパーがノッペラとしてカッコが悪いのに比べてMスポーツのカッコ良いこと!これじゃあ、誰もがMスポーツを選 んだのも当然かもしれない。そして、今でもMスポーツの人気は決して衰えていないが、E90の場合は標準モデルでも結構スポーティーになったこともあり、E46程にはMスポーツに偏った売れ行きではないようだが、それでも人気は結構あ りそうだ。

この美味しい商売を傍で指を咥えていた、かどうかは判らないが、とに角BMWが売れまくっているのを見たメルセデスは、それならばとMスポーツに対抗してAMG スポーツというパッケージオプションを始めたのは、それ程昔の事ではない。確かにBMWのMに匹敵するのはメルセデスで言えばAMGということになる。ところで、他社だって負けていないわけで、アウディはSモデル風のSラインを始めるし、レクサスはM3やAMG C63に相当するIS−Fを出した後に、ナンチャッてIS−FであるFスポーツというのを設定した。

世の中のプレミアムブランドが挙ってナンチャッてスーパースポーツモデルで旨い商売をしているのに対して、ニッサンのインフィニティはといえば・・・・・フラッグシップが無い! 何をおっしゃるBオタさん、ニッサンならGT−Rがあるじゃあないか、と言いたいニッサンファンもいるだろが、あれは単独モデルでインフィニティG(ス カイライン)にもM(フーガ)にも繋がらないから、結局蚊帳の外となってしまった。まあ、ニュルでポルシェの記録を抜いたと喜ぶのもいいが、それならニュル24hに持ち込んで、優勝するとは言わなくとも、少なくとも20Hくらいは上位で争って欲しいもだが、何故やらないのだろうか。

と、今回は最初から与太話に徹しているのは、前回の3シリーズvsレガシィが真面目すぎてお気に召さない常連さんもお出でだったようなので、今回は目一杯ご要望にお答えしようという訳でして・・・・・。

それでは今回の本題に入るが、その内容は実は裏のC200 AMGスポーツ試乗編ということにしよう。実をいえば、今回試乗したクルマは個人の所有車だが、話を面白くする為に架空の人物、すなわちオーナー像については典型的メルセデスオーナーと思われるタイプを更にデフォルメしてみた。従ってオーナーに関する部分の記述はあくまでフィクションと理解していただきたい。勿論、クルマや試乗自体に関する記述にフィクションは無いけれど、まあ話としては単なる受け狙いの読み物として楽しんでいただきたい。えっ?そんなのインチキだろ、という御仁は何か勘違いしているようだが、これは物好き専用の特別編であることをもう一度思い出し てもらいたい。

試乗車は2011年5月に大幅マイナーチェンにされたモデルだが、半年後の2011年11月(12年モデル)より価格とオプション体系の変更があった。以下に今回試乗車した車両とオプションの価格を拾ってみたが、今現在とは多少異なることに注意をしてもらいたい。
車両本体、C200B.E.(ブルーエフィシェンシー)アバンギャルド:492万円
 ・AMGスポーツパッケージ:40万円(ダイナミックハンドリングパッケージ標準装備)
 ・本皮シート:28.4万円
 ・ユーティリティパッケージ:18万円
合計:578.4万円

なお、これが2011年11月以降では
車両本体、C200B.E.アバンギャルド:509万円
 ・AMGスポーツパッケージ:標準装備
 ・ダイナミックハンドリングパッケージ:13万円
 ・本皮シート:設定なし
 ・ユーティリティパッケージ:18万円
合計:540万円

この12年モデルで本皮シートがオプション設定から外れたのはC200全てで本皮シートを含むラグジュアリーパッケージの設定が無くなったことが原因だ。標準のファブリックシートに対して、アバンギャルドはセンターがファブリックでサイドが人工皮革のコンビシート(レザーツインシート)が装着されていて、アバンギャルドユーザーもこれで充分と考えてわざわざ本皮シートなんてオプションを追加する例がないのだろう。 ただし、レザーパッケージは設定が無くとも、単独でレザーシートをオプション選択できる可能性はある。

考えてみれば、本当に操舵やスロットルのレスポンスを求めるユーザーがメルセデスを買うかという根本的な疑問もあるし、もしCクラスに惚れ込んだ走り屋がいたとしても、それならば本皮シートの28.4万円とユーティリティーパッケージの18万円の予算を他に使うだろう (ただし、11年モデルである試乗車の場合)。例えば同じ予算ならばC250アバンギャルドの567万円を選ぶことも出来る。いくらC200の動力性能で充分とはいえ、C250はC200と同一エンジンでターボの過給が違うだけといっても、実際に性能では20ps 4.1kg・mの違いがある訳で、動力性能をアップするのが得策であることは間違いない。しかし、この場合はAMGスポーツパッケージの予算がないので、派手なエクステリアはまあいらないとしても、抱き合わせでついてくるダイナミックハンドリングパッケージは出来れば欲しい。まてよ、12年モデルでは価格とオプション体系が変わっているはずだ。と、言う訳で調べてみたらば、C250アバンギャルドが572万円で、これにAMGスポーツパッケージ(20万円)をつけて合計592万円。20万円程の予算オーバーだが、合計(乗り出し)600万円を超える投資なのだから、チョイと予算を追加して、この組み合わせがベストだろう。
 

それでは、このダイナミックハンドリングパッケージのご利益について試乗した状況を説明してみよう。

パッセンジャーシートには半世紀弱という長〜い付き合い(腐れ縁とも言う)の悪友である、このクルマのオーナーが乗っている。15分ほど走って、大分クルマにも慣れたところで、後編(試乗編)でも触れたよう にマニュアル操作などをやってみた後に、そういえば前回C200に乗った時にはATセレクターの手前のC←→Sという小さいボタンがあって、これで通常はC(コンフォート)lとS(スポーツ)を切り替えていた のを思い出した。ただし、Sといってもシフトスケジュールが変わるだけで、エンジンやステアリング特性が変わるわけではなかったが、さて、今回もATセレルター手前のボタンを押そうとしてチラッと目をやったら、Mと書いてある。これってマニュアルモードなのかな、と思いながら取り合えずボタンを押してみると、メータークラスター中央のインフォメーションディスプレイがMモードらしき表示に変わった。そこで、もう一度押してみると、今度はDに戻ったとから、やっぱりこれはミッションのマニ ュアルモード切替スイッチだったようだ。

そこでパッセンジャーシートに座っているオーナーに「スポーツモードの切り替えはどこだ?」と聞くと、「そんなものはねぇんじゃないか」というので、何となく解せないが納得した。しか〜し、後ほど自宅で調べてみたらば、スポーツモードスイッチはセンタークラスター下部ににあり、これを押すとダイナミックハンドリングパッケージのスポーツモードが使用できるのだった。前述のように、今回のクルマはMC直後のクルマだから、ダイナミックハンドリングパッケージはAMGスポーツパッケージに標準で付いている筈だが、念のために撮影済みの画像データーのセンタークラスター部分を拡大してみたらば、SPORTというスイッチがあった、あった。畜生!自分で調べるべきだった、な〜んて後悔しても後の祭り。まあしょうがないか。しかし考えてみれば、世間のメルセデスオーナーの多くはこんなものではないのだろうか。ダイナミックハンドリングパッケージが欲しくてAMGスポーツパッケージを買うユーザーなんて殆どいないのだろう。それで12年モデルからはダイナミックハンドリングパッケージを別オプションとして、それ以外のAMGスポーツパッケージ装備をアバンギャルドに標準とし たのだろう。これで、見掛けさえAMG風ならば、走りなんて如何でもいいというタイプのユーザーに、余計なものを売りつけないで済むわけで、流石はメルセデス、良心的な商売をしているじゃあないか。

今回の試乗コースは6車線の一級国道も無ければ、思いっきりハンドリングを楽しめる田舎道もなかったから、たとえスポーツモードに切り替えたとしても「ステアリングが機敏に成ったかな」とか「スロットルレスポンスが良くなったようだ」くらいしか体験できなかったであろうとは思うが(と、悔し紛れに言ってみる)。

ところで、このクルマのオーナーって何者なんだ?という疑問が湧くだろう。まあ、言ってみれば、大のクルマ好きではあるがメカには疎いし、運転だって決して上手くない。同じ予算なら、Eクラスが買えるからと昔から何度も薦めているのだが、大きくて運転し辛いという理由で拒否されている。まあ、確かに全幅 1,855mmのEクラスを普段の足として都心の裏道を走ったら、本人の車幅感覚と運動神経を考えれば、1年で擦り傷だらけになることは充分に有り得る。しかしながら、そのオーナーって随分景気が良さそうだが、中小企業の経営者か?といわれれば、ノー。はっきり言って、勤め人。給与所得者だ。それなら、勤務医か?といえば、これまたノー。そして金融・証券系でもない。何を隠そう、地上波キー局のナンテラプロジューサーという奴で、少なくとも汗水垂らして製品の生産をするような商売ではない。これは、金融・証券系でも同様だが、世の中から無くなったって誰も困らないような仕事の方が報酬は高いわけだ。

ふーん、Bオタの友人にもそんな優秀な奴がいるのか?といえば、これまたノー。それでは、どうしてそんな美味しい仕事に有り付けるのかといえば、その秘密は・・・・・・・親 の コ ネ 。

ハッ、ハッ、ハッ。まあ、世の中、そんなものでしょう。今、この試乗記を読んでいる読者で、C200や320iも欲しいけれど、とても予算が無いからレガシィ、いやアクセラを検討中という読者からすれば全く腹の立つ話だろうが、これが現実というものだ。そういえば、少し前に高速道路でフェラーリやランボルギーニが10台ほど事故で大破したというニュースが賑わしたが、原因は車線変更でスピンして、後続もこれを避けようとして次々にコントロールを失い自爆したという、これはもう爆笑以外の何物でもない。誰も大した怪我をしなかったこともあり、思わず「ざまーみろ、成金め」なんて叫んだ(喜んだ)読者もいたのではないかな。

あっ、最初に注意したように、この話のオーナーはあくまで架空の人物であり、実在しないので念のため。それにしても、アイツ、今頃、これを読んで頭にきているだろうなぁ。ギャっはぁ〜、ざまあみろ。