BMW X1 sDrive18i & xDrive 25i (2010/5) 後編 ⇒前編へ戻る

      

まずは上級グレードである25iに乗ってみる。

コンソール上のATセレクターレバーは、奥からP→R→N→DでDから左でSおよびMモードという1シリーズや3シリーズと同様のものだ。 ところで、最新の5や7シリーズは電子スイッチ式のセレクターの為に、引いても手を離せば中央位置に戻るタイプが使用されているが、最新のX1には採用されていないところをみると、あの方式は上級のシリーズ(5以上)のみに搭載するという事のようだ。
走り始めた第一印象は、遅くはないが速くもなく、言ってみれば325iツーリング程度の感覚だ。いくら車名が25iでも3ℓエンジンを積んでいるのだから、有り余るトルク感を堪能できると思ったのだが、どうも違ったようだ。確かに25iという名称は「2.5ℓ並の性能だよ」と言っているのだった。 それさえ文句を言わなければX1 25iは典型的なBMW6気筒のスムースな加速を味わえる。4気筒ユーザーには申し訳ないが、直6のエンジンこそBMWだという 6気筒BMWマニアの気持ちも否定はできない。

動力性能はマアマアで、ハンドリングはとえば実はあまり印象が良くない。操舵力が重めなのは良いとしても、中心付近で不正確なだけでなく何やらフィーリングが良くないというか、単に不感帯があるのではなく、直進がはっきりしないで、センターリングが不正確というようにBMWの良さが感じられない。 そして全体に重々しいが重厚と言える程に良くは無い。このフィーリングの悪さは4WDであることも関係しているのかとも思ったが、2ヶ月ほど前に乗った530i xDrive(4WD)はもっと自然 で良好なフィーリングだったし、以前乗ったことがあるX3もX5も、これよりは良かった記憶があるが・・・・・。
操舵性が(贔屓目に言えば)重厚な割には乗り心地は硬くて、しかも跳ねるような感じがする。路面の凹凸は常にボディに伝わるし、何よりしなやかさが全く感じられない。 試乗車は走行距離がわずか100kmのマッ更な新車状態だった事も考慮を必要とするが、ディーラーの試乗車なんていうは大体において走行距離が少ない場合が多いから条件は皆同じで、試乗車だけが特別に条件が悪かったとも 思えない。この硬さはBMWというよりもVW的だった。 まあ、BMWの場合は1万キロ以上走らないと本来のしなやかさが出てこないので、走行距離が伸びると共に改善されるとは思うが・・・・・。

どうもイマイチだった25iの次に18iにも乗ってみた。こちらは4気筒の自然吸気2ℓで最新の320iと同一型式のエンジンだが、パワーは6ps下回る150psだ。 320iは09年のモデルから同じN46B20Bでも156psとなり、このたった6psの差が乗ってみると大違いで、今までパワー不足の感があった320iが、それほどでも無く感じるくらい改善された。 ただし、それでも320iツーリングの場合はワゴンボディによる110(1430→1540)kgの重量増が効いているのか、人によっては我慢がならない程のパワー不足を感じてしまう。 そこで、今回の新型X1 18iは車両重量が1560kgだから、320iツーリングよりも更に20kg重いことになり、動力性能的には期待は出来なさそうだ。成る程、だから2ℓエンジンを搭載しているのに”18i”なんていう1.8ℓ相当の車名を付けたのか、と納得する。

そういう訳で、期待をしていないどころか、遅さ具合を試してみようという気持ちで18iに乗り込むと、当然ながら25iと全く同じ室内で、もしも違うとすれば18iか25iの違いではなく、ハイラインパッケージによるレザーシートか標準のファブリックシートかの違いで、標準の25iよりもハイラインの18iの方が豪華に見えることになる。

25iと全く同様の手順でエンジンを始動し、早速走り出してみる。ここも駐車場を出ると行き成り4車線の国道という状況だが、本線に入って加速をすると、意外に結構活発に加速をする。そのまま、流れに乗って走っている限りでは決してパワー不足も感じないし、踏めば結構活発にエンジンが吹け上がる。 悲観的な加速性能を想像していた割には、意外にも加速は悪くないのは、こまめにシフトダウンされる6ATの制御ロジックの出来が良いことも原因だった。例えば、前に40km/h(おいおい、ここは 法定速度、60km/h制限だぞ)程で走るクルマがいた場合、 車線変更をして加速すると、少し踏めばすんなりと4速1,700rpmから3速2,200rpmにシフトダウンされ、ここから踏み込めば決して 強力ではないもののエンジンは4気筒とは思えない程スムースに3,000〜4,000rpmくらいまで軽く吹け上がる。
 


写真21
メーター類は18iと25iで基本的に同じ。

 


写真22
1や3シリーズと同一のATセレクター。写真右上に見えるのはオーディオ入力端子。

 

写真23
適度に高い着座位置と僅かに見えるボンネットは、初心者でも運転し易い。

今度は県道に入ってみる。ここは8m程の道路だが、関東圏でも多少田舎であることから制限速度は珍しく50km/hで、重宝している道だ。先ずは遅い流れについてチンタラ走っていると、全体の速度が落ちて30km/hくらいになった。 この時ATは4速まで落ち回転数は1,300rpmくらいだ。そこから2/3程スロットルを踏むとATは迅速に2速にシフトダウンを行い回転計の針は2,600rpmを指す。そこから、気持ち良く回転数が上がっていって50km/、4,500rpm位まで何のストレスも無く吹け上がる。
しかし、ここで多少の疑問が湧いてきた。一般的なBMWの場合、例えば320iで3速4500rpmまで回すと、確か60km/h位になるはずなのだが、X1 18iは50km/hしか出ない。ハテ。そこでミッションのギア比を調べてみたらば、6速ATは320iと全く同一だったが、ファイナルが320iの3.909に対して4.444であり、速度的には88%しか上がらないことが判明した。 1.8iが想像とは異なり、意外にも軽快に加速するのはファイナルレシオの違いによるローギアードな設計と、レスポンスの良いAT、そして4気筒としては異例にスムースで4,000rpm程度までは全くストレスなく吹け上がるエンジンの総合的な出来の良さが原因だった。
今度はフル加速を試してみよう。国道に戻ってマニュアルモードを使い2速40km/h(3,400rpm)からフルスロットルを踏むと4.000rpm以後は流石にイマイチの加速で、回転計の針の上昇はまあそれなりだった。 言ってみれば2/3スロットルに対してフルに踏んでも大して加速が増さないばかりか、エンジン音は煩いし、良い事は無かったから、このクルマは実用性 を重視したチューニングのようだ。 まあ、絶対的な加速を重視するユーザーには、あと120万円也を追加して25iを買ってもらおう。

どうもイマイチだった25iの操舵性に対して、18iはといえば、これは3シリーズに近い感覚で、中心付近の甘さも25iより遥かに少なく、これなら違和感は感じないというレベルになっていた。 フロントが軽いことと、RWDであることが素直な原因だろう。操舵力自体は決して軽くは無いが適度の重さで、路面からのインフォメーションも3シリーズとは言わないまでも、これまた25iよりはマシだった。
今回は本気で振り回すような運転はしなかったが、一般(市)道のチョッときつ目のコーナーでも弱いアンダーで素直に曲がっていく感覚も3シリーズツー リングとそれ程変わらなかった。以前、初代X5に始めて試乗したときには背の高いSUVにも関わらずコーナーでパッセンジャーが遠心力を感じたり、シートの横方向のサポートが気になる程の旋回性能を持っているのに驚いたものだった。X5よりも全高の割合が低くて、よりステーションワゴンに近いプロポーションのX1が、SUVとしてはトップクラスの安定し たコーナーリングを可能とするのは、当たり前といえば 、それまでだが・・・・・。

操舵性に癖があり、おまけに乗り心地が悪いという、もう踏んだり蹴ったりの25iに対して、18iの乗り心地はといえば、これまた25iよりも明らかに良くて、やはり3シリーズに近いフィーリングだった。どちらも走行距離は500km以下のマッサラに新品だったから、25iだけが初期のダンパーの硬さが原因とは 思えない ので、これはやっぱり25iの出来が悪いとしか良いようが無い。 それとも初期生産ゆえのバラつきか?

BMWのブレーキといえば極めて軽い踏力で喰い付くように効くのが特徴だが、X1に関してはチョッと違う。慣れ親しんだブレーキよりも多少踏力が重くなっている。 勿論良く効くし、このくらいの踏力の方が個人的には好ましく思っている。そして、この傾向は25iの方がより顕著で18iは3シリーズより僅かに重いくらいだ。

写真 24-1
18iの直4、2ℓ N46B20Bエンジンは150ps/6,800rpmの最高出力と 20.4kg・m/3,600rpmの最大トルクを発生する。

 

写真 24-2
25iの直6、3ℓ N52B30Aエンジンは218ps/6,100rpmの最高出力と 28.6kg・m/2,500〜3,500rpmの最大トルクを発生する。


写真25
25iに標準のVスポーク・スタイリング318ホイールは7.5J×17。タイヤは225/50R17。

 


写真26
18iの標準はスタースポーク・スタイリング317ホイールでサイズは25iと全く同一。

 


写真27
オプションのVスポーク・スタイリング322ホイールはフロント8J×18に225/45R18タイヤ。リア9J×18に255/40R18タイヤ

 


写真28
写真の25i は325i以上(6気筒)と同じフロントがアルミボディのキャリパーを装着する。18iは鋳物ボディ。

 

何やら最初の目論見とは全く違った結果になってしまった。そして、363万円という価格は320iツーリング スタイルエッセンスの424万円と比べて買い得感が高い。 ところで、この価格の関係は日本のみなのだろうか、という疑問もありドイツでの価格を調べてみたらば、
X1 18iが €27,200で25iは  €37,850、そして320iは €30,900 という関係となっており、これは殆ど日本国内の価格関係と同じだ。すなわち、ドイツでもX1 18iは320iよりも安い価格に設定されていた。ところで、これらの価格は付加価値税(19%)を含んでいるから車両本体は、例えばX1 18iの場合だと€22,857であり、日本国内価格の346万円(消費税別)からレートを計算すると¥151/€となる。このところのユーロ安を考えれば、もっと安く売れそうなものだが、まあこの件に関しては今回は触れないことにしておこう。

何れにしても、X1の価格は戦略的に低く抑えているようだ。そんな理由からか、発売直後の5月末現在の土日のディーラーでは、試乗車の順番待ちが発生していて、カタログも品切れ状態だとか。駐車場にはBMWディーラーとしては珍しく年代物の(SUVと呼ばれる前の)国産オフロードカー(オフを走った形跡は無い)が並んでいた。当時、パジェロの上級車は 350万円(モデルによっては400万円)超えだったから、今ならX1(1.8iに革シート付けて)が射程内になるのだろう。

このX1、もしかすると結構なヒット作、いわゆる”大化け”となるかもしれない。

さあて、ここから先は例によってオマケだから、言いたい放題が 気き入らない人達は、読まないことをお勧めいたします。今回のテーマは総額400万円で見栄を張れるブランド車選び。

特別企画「400万円で買えるブランド車選び」に進む

Topページに戻る