スカイラインに比べれば、新5シリーズのインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングは、確かに神経を集中してその挙動を感じ取れば多少の違和感はあるが、普通に運転する限
りでは、いや本気でワインディングを攻めるような走りをしても、決して文句が出るような事は無い筈だ。まあ、考えてみれば3シリーズに比べてデカイ図体と重い車重は、
どう考えたって走りを重視するにはハンディがあり過ぎる。しかし、3シリーズよりも明らかに金が掛かった内装やオーディオなどの快適装備も魅力だが、アルミを多用したボディなど、何よりも車輌自体の構造
が明らかに上だ。そこで、523iの610万円の予算ならば、他にどんな選択があるのかを検討してみる事にする。なお、メルセデスE250と、国産Eセグメント上級車の諸元比較は既に後編で済ませてあるので、こちらでは
同じBMWの違うセグメントのクルマ、および残るライバルと比較してみよう。
|
|
|
@ |
A |
B |
C |
D |
|
|
|
BMW |
BMW |
BMW |
Audi |
Jaguar |
|
|
|
523i |
325i
Msp. Package |
135i Coupe |
A6 2.8 FSI
Quattro |
XF 3.0 Luxury |
|
車両型式 |
|
DBA-FP25 |
LBA-PH25 |
ABA-UC30 |
ABA-FCCES |
CBA-J05FA |
|
寸法・重量・乗車定員 |
|
全長(m) |
|
4.910 |
4.540 |
4.370 |
4.925 |
4.970 |
|
全幅(m) |
|
1.860 |
1.800 |
1.750 |
1.855 |
1.875 |
|
全高(m) |
|
1.475 |
1.425 |
1.395 |
1.455 |
1.460 |
|
ホイールベース(m) |
|
2.970 |
2.760 |
2.660 |
2.845 |
2.910 |
|
駆動方式 |
|
FR |
← |
← |
4WD |
FR |
|
最小回転半径(m) |
|
5.5 |
5.3 |
5.4 |
5.7 |
5.5 |
|
車両重量(kg) |
|
1,770 |
1,570 |
1,550 |
1,790 |
1,750 |
|
乗車定員(名) |
|
5 |
← |
4 |
5 |
← |
|
エンジン・トランスミッション |
|
エンジン型式 |
|
N52B25A |
N53B30A |
N55B30A |
N52B25A |
FB |
|
エンジン種類 |
|
I6 DOHC |
I4 DOHC |
I6 DOHC Turbo |
V6 DOHC |
← |
|
総排気量(cm3) |
|
2,496 |
2,996 |
2,979 |
2,772 |
2,967 |
|
最高出力(ps/rpm) |
|
204/6,300 |
218/6,100 |
306/5,800 |
220/6,800 |
243/6,800 |
|
最大トルク(kg・m/rpm) |
25.5/2,750-
3,000 |
27.5/2,400-
4,200 |
40.8/1,200-
5,000 |
28.6/5,000 |
30.6/4,100 |
|
トランスミッション |
|
8AT |
6AT |
7AT |
6AT |
6AT |
|
燃料消費率(km/L)
(10・15/JC08モード) |
11.4/11.2 |
12.6/ 11.6 |
10.2/ 9.9 |
9.7/ - |
7.3/ - |
|
パワーウェイトレシオ (kg/ps) |
8.7 |
7.2 |
5.1 |
8.1 |
7.2 |
|
サスペンション・タイヤ |
|
サスペンション方式 |
前 |
ダブルウィシュボーン |
ストラット |
← |
4リンク |
ダブルウィシュボーン |
|
|
後 |
インテグラル・アーム |
5リンク |
← |
ダブルウィシュボーン |
マルチリンク |
|
タイヤ寸法 |
前 |
225/55R17 |
225/45R17 |
215/40R18 |
245/40R18 |
235/55R17 |
|
|
後 |
225/55R17 |
255/40R17 |
245/35R18 |
2545/40R18 |
235/55R17 |
|
価 格 |
|
車両価格 |
|
610.0万円 |
586.0万円 |
573.0万円 |
645.0万円 |
650.0万円 |
|
備 考 |
|
Hi-Lineパッケージ
+39万円 |
ベースモデル:
547万円 |
6MT:559万円 |
|
|
先ずはBMWで同価格帯の異なるセグメントということで探してみたが、BMWのラインナップで610万円というのは他に例が無い事に気が付いた。そこで、523iに近い価格で比較検討できそうなモデルとして、一つには3シリーズから最近3リッター化された325iを選んでみた。
ただし、ベースモデルの547万円では523iとの価格差が大きいために、586万円のMsp.パッケージ付きとした。これならば、マンションの立体式駐車場もOKだから、物理的に5シリーズが駐車できないユーザーにも適している。
もう一台のBMWは走りに振って135iクーペを選んでみた。これなら、5シリーズのステアリングが不自然だとか、スポーポーティな走りというい面ではボディの大きな5シリーズがイマイチと
、感じるユーザーにはお勧めとなる。
しかし、こうして見ると、325iや135iに比べて、523iの買い得感というのは光っているように感じるのだが、皆さんはどうお考えだろうか? 何故なら、後編でも比較したように、幾ら装備満載の3.5リッタークラスとは言え、同じEセグメントの国産車に比べて、それほど大きな価格差は無いのだから。
次に、輸入高級ブランドのEセグメント同士としてはアウディA6 2.8FSIクワトロ(645万円)とジャガーXF3.0ラグジャリー(650万円)と比較してみる。両車共に価格は523iに比べて約40万円程高いが、排気量は2.8〜3リッターという点では528i相当だから、決して高くはないだろう。これに後編で比較したメルセデスE250(634万円)も加えてみると、結構
選択肢があることが判る。まあ、こうなるとBMWかメルセデスかアウディか、それともジャガーかという好みの問題となるので、どれが良いとは言えないところだ。それにしても、こうしてみると650万円クラスというのは、流石に満足感の多そうな、オーナードライバー用のファミリーカーとしては実に理想的なクルマが目白押しとなっているのに気が付く。
あれっ、ボルボV70が表に無いじゃないか?という質問がボルボファンから来るかもしれない。古くからの読者なら既にお気付きと思うがB_Otaku
はハッキリ言ってボルボが嫌いだ。いや、昔から嫌いだった訳ではなく、960などのFR車の時代のボルボというのは、ドアを開けた瞬間に北欧家具がクルマになったようなインテリアや、走るレンガといわれたそのスタイルなど、独特のモノは認めていた。しかし、V70となって2代目。要するに先代のV70の出来の悪さや輸入元のゴタゴタなど、フォード傘下となってからのボルボの凋落は酷いものだった。まあ、元々日本におけるボルボの販売方法は、ボッタクリといわれる輸入車の中でも飛びぬけて割高だったが、更に物が悪くなったのだから、とても勧められる代物ではない。それでも現行モデルになってからは、クルマとして見た場合には随分マトモになっては来たが。
|