BMW 745i (2003/04/21)
 

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試乗車一覧




ついに7シリーズに試乗した。車種は745i(V8、4.4ℓ)で7シリーズの中では中くらいのグレード。下には735(V8、3.6ℓ)があり上には760(V12,6ℓ)がある。

まず、基本操作を教わる。そうしないと試乗中に何らかの理由でエンジンを停止したり再始動する必要があった際に、どうにもならないので・・・・。エンジンの始動と停止は、ステアリングコラム左の「start/stop」と書かれたボタンで行う。

シートを合わせるのも、コンソール側面の小さなダイヤルを、回すとバックレスとの角度が変わり、押したり引いたりすれば、前後左右に動く。言われてみれば納得は出来るが、このダイヤルがシートの調整スイッチとはどこにも書いていないので、何も知らずに乗ったら、シートすら合わせられない。もっとも、その前にエンジンが掛からない!

次にパーキングブレーキはコラム右側の小さなボタンがあり、ブレーキペダルを踏んで、これを押すごとに、作動と解除を繰り返し、ダッシュボード内の警告灯が点いたり消えたりする。さらに、ミッションの操作は、ステアリングコラムから右に生えた小さなレバーを手前に引いて下に下ろすと、表示灯はDになった。そのレバーの頭部スイッチを押すとPとなる。

とにかく、最小限の操作を教わって、いよいよ走り始める。デーラーから16号に入るのに、まずウインカーを出す。いくらなんでもウインカーは普通と同じだろうと思い、ステアリングコラム左に生える、それらしきレバーを左に(下に)押す。が、しかし、普通なら下に保持されるのに、これはただ下側に押したという感じで、手を離すとニュートラル位置に戻った。なに!ところが、メーターでそれらしきインジケータが緑で点滅しているので、恐らくウインカーは出ているのだろう。だだし、普通ならカチカチ言っている音は全くせず。たぶん、何らかの設定で音も出るのだろうが。

ブレーキペダルから足を離すと、BMWとしては(メルセデスも含めて)クリープが多めなのを感じる。冷えていてアイドリングが高かったのか?いよいよ、右足で静かにスロットルを踏みこむと、車は殆ど無音で、滑らかに走り始めた。エンジンの音は殆ど聞こえない。走行中の音はタイヤのノイズが多少聞こえるが、これはむしろタイヤの音で路面の情報を伝えているという感じがする。2車線の国道を走って居る途中、信号で停止したら、隣に黄色いカレラRSが止まった。青になったら、隣のポルシェがバタバタゴーと言う音で、結構な加速を始めたので、こちらも右足を一杯に踏んでみたら、重量2トンのセダンはバックレストに強烈なGを感じさせながら、ポルシェにそれ程置いて行かれずに、加速する。ポルシェと違うのは、こんな状況で も微かに聞こえるBMW独特のエンジン音以外は、空調のファンの音(流れに乗って走行している時、一番大きな音は空調の噴出し音だった)が聞こえる程度で、それ以外はやたら静か。なのに、GTカー顔負けの加速。キックダウンも非常に早く、しかも、スムースにつながる。この点、3シリーズが国産車に比べれば、次元が違うレスポンスと滑らかさでシフトダウンするが、745はさらに、クイックで、滑らかだ。

ハンドリングについては、5シリーズよりむしろ3シリーズに近い。2トンの大型サルーンは、軽くてクイックなステアリングで、ヒラヒラと巨体を自由自在に操れる。コーナリングは当然、完全なニュートラルで、これなら、腕さえ良ければ峠で小僧をカモれるだろう。(この車で、そんな運転するのは雑誌のレポーターくらいだろうが)

さらに、驚いたのは、速度を落として交差点を左折したときで、元々軽めのステアリングは更に軽く、まるで昔のアメ車や、初期の国産高級車のパワステのようになったことだ。速度を落としただけではこうならないので、単純な速度感応式ではないのだろう。そのうち、国産車がパクルだろうが。国道から、6m程度の県道に入ると、なにやら、左のタイヤはいつもより路肩気味なのに、 右は結構センターラインに近いのに気づく。操舵やブレーキフィーリングが3シリーズなみに軽快なので忘れていたが、全幅1.9m、全長5mの車を運転していたのだ。物理的な大きさ、特に1.9mの幅は、やはりデカ過ぎる。黒に近いダークブルーの塗装と、この大きさを、更に大きく見せるような、ナマズのような外観は、後ろに追従するどの車もが、遥か彼方から付いてくる。信号で、停車しても、ケツピッタリ付ける奴なんていない。信号が青に変わると、折角の性能を満喫したいがために、フルスロットルを踏み、車は恐ろしい勢いで加速していく。この様子を見ている 後続ミニバンのおとうさんは、車内の女房・子どもに「ほら見てみろ、ああいう車に乗る奴は、まともじゃないんだから、係わり合いになってはいけないよ」と言っているのが、手に取るように判る。確かに、マトモナ市民は乗らないかもしれない。

話を元に戻そう。乗り心地は完全なフラットで、アスファルトの補修で荒れた路面を、かすかな音と振動で、サスが路面に完璧に追従しているのが判る。エンジンにしても、サスにしても、殆ど無音だけれど、イザと言うときには、微かな振動と音を残すことで、ドライバーは状況が的確に判断できる。この点が、まるっきり無音のセルシオとの違いだ。

ブレーキがまた凄いというか、1.4トンの3シリーズと同じフィーリング、同じ効きを2トンの車で実現している。これは、以前乗った530がやはり同じフィーリングだったので、BMWは大きさ、重さに関係無く、同じ性能、フィーリングをブレーキに与えているのだろう。3シリーズと5シリーズ、そして7シリーズでキャリパーがそれぞれ異なるが、これは最終的に車のブレーキとして評価したときに同じ特性になるようにしているのか?

今回試乗した745は、V8・333psで価格999万円という中間グレード。それで、コレほどまでに凄いと言うことは、V12・445psで1580万円の760は、どんなに凄いのか?いやまてよ、同じ価格でV12・500psツインターボのメルセデスS600は?

やはり半年程前に乗って、エラク感動した530も、745に比べればやはり基本設計が古いのが判る。と、言うことは、年末に発売される、new5シリーズは、さらに軽快になるのか?これは、期待できそうだ。

日本の自動車関連業界はどうするべきか?やっぱり、マイナーな世界は放っておいて、安グルマの世界で、インチキな手抜きして、なんとか食って行くこと考えるかな。