B_Otaku のクルマ日記


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2022/4/6 (Wed)  初代シーマとライバルたち<2>

前回は初代シーマとその国産ライバルについて取り上げたが、今回は続編としてライバルとなる輸入車について纏めてみる。

シーマの価格はハイパワーの上級モデルであるタイプⅡが 412.5 ~ 471.5 万円であり、それに近いのは車両セグメントとしてはシーマよりも下となる W201 190E(395‐495万円)となる。そして、190E の上位としては当時はミドルクラスと呼ばれた後のEクラス(W124)であり、価格帯はボトムグレードの 230E(2.3L 135ps)でもシーマのトップモデルよりも80万円高い 547万円だった。

W201 と W124 は、欧州では何れも 1985年に発売され、日本では1986年から順次発売されていった。両モデルは言ってみれば兄弟関係であり、一見すると区別がつかないくらいに似ていた。

アウターサイズは W124が全長 4,740 x 全幅 1,740 x 全高 1,445 ㎜ ホイールベース 2,800㎜ 、W201 は全長 4,450 x 全幅 1,690 x 全高 1,375 ㎜ ホイールベース 2,665㎜ で、注目すべきは W201 は小型車(5ナンバー)サイズであった事だ。

ところで当時この両モデルを見分ける方法として最も解りやすいのがリアの比較だった。

見ての通りで、 W124 はテールランプが三角形で、トランクリッドの開口部分を大きく取っていた。対する W201 は横長だったから、成程これは一目で判った。因みに W124 のスタイルはその後日本でもマークⅡがパクって顰蹙をかっていた。

次にインテリアだが、実は W124 の先代モデルである W123(1976~)に初めて乗った時は、国産車との違いに大いなるショックを受けたのを覚えているが、それから十数年経過した時点での国産車も大分進化した、というかメルセデスをパクっていたようだから、以前ほどの大きな差は無くなってはいた。

インテリアについても両モデルは極めて共通点が多い。勿論、共有している部分は殆ど無いのだが、センタークラスターの上部にエアコンのアウトレットを配して、その下にはダイヤル式のエアコン操作パネル、その下にはオーディオのユニットという構成は全く同じだ。なお共通という面ではメータークラスターは共通に見える。

ところで 190 の写真を見れば右ハンドルだが、実は当時のメルセデスは原則として左ハンドルだった。従って 190 に右ハンドルを設定したのは本気で日本市場を狙ったという事だろう。

エンジンは両モデルともバリエーションがあり、高出力となればそれなりの価格となる。特に W201 の場合ベースとなる 190E のエンジンは直4 SOHC 115㎰ で、スペックだけ見るとシーマの 255㎰ は比べるべくも無く、メルセデスの良さを理解できない一般ユーザーからすれば「殆ど詐欺だ」という事になる。

そして 190E のスペックに近いセドリック V20E なら、ハードトップのグランツ-リスモでも主力グレードで 232万円だからほぼ半値だ!

ところで、セドリックの売れ筋モデルは、前述のグランツーリスモもセドリック シーマも、ピラーレスの4ドアハードトップだった。という事はリアドアのヒンジが付いているセンターフレームはプラットフォーム側は固定されているが、ルーフとは繋がていない片持ち構造であり、剛性を確保するという面では大いに不利となる。実際当時のセドリックはリアドアをバ~ンと閉めるとドア全体がブルっと触れるのがハッキリと認識出来た。

そんな状況だからクルマの挙動が良い訳も無く、只でさえ剛性の足りなかった当時の日本車の中でも最悪の部類だった。なお、セドリックにはセダンタイプもあり、こちらの方が剛性では有利であり、価格的にも買い得だったのだが、ユーザーの多くが法人用であり、個人ユーザーは殆ど居なかったという記憶がある。

シーマに比べれば、前回話に出てきたトヨタ セルシオは、当時の国産車として剛性感もダントツであり、シーマとは全く次元の違うクルマだったが、日本のマスコミはシーマ現象とか言って褒めたたえたものの、セルシオについては余り触れていなかった。セルシオが大騒ぎされたのは日本でレクサス販売網が構築された 2005年以降だった。

以上の内容をスペック一覧表としてまとめておく。

なお、当時の国産車とメルセデスの余りにも大きな違いについては、Eクラスに関しては
Mercedes Benz E300 AVANTGARDE 試乗記 (2009/9)

また 190クラス (W201) ~ Cクラスに関しては
Mercedes Benz C200 Avantgarde 試乗記 (2011/8)

次回はメルセデス・ベンツと共に高級輸入車の代名詞である BMW を取り上げる。

 






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2022/4/3 (Sun)  初代シーマとライバルたち<1>

日産シーマが今年夏までに販売中止になるという。シーマと言えばバブル期に発売されて「シーマ現象」などと騒がれたものだ。その辺の社会の事情はブログに譲るとして、こちらではクルマそのものについて纏めてみる。

初代シーマは 1989年8月に発売され、日産の高級セダンであるセドリック/グロリアの上級モデルとして、セドリック/グロリア シーマと呼ばれた。なお御存知と思うがセドリックは日産系、グロリアはプリンス系ディーラー向けとして、事実上の双子車であり、これ以降は代表して「セドリック」と表記する。

セドリック シーマの型式は FPY31 、セドリックの基本モデルは Y31 であり、まさしく単なる上級モデルであり、型式が同じという事で想像できるだろうが、プラットフォームも共有していた。

その為にホイールベースは同一であり、ボディーは新設されたとはいえ、イメージは殆ど同じだ。全幅はセドリックの3ナンバー仕様(V30)よりも 50㎜ 広い。

インテリアはといえば、ダッシュボードを見れば一目瞭然で全くの共通部品となっている。

エンジンはこれまたセドリックの V30 と同じ V6 DOHC Turobo 2,960㏄ だが、型式は VG30DET で、性能は 255ps/6,000rpm 343N-m/3,200rpm 。これは V30 の VG30ET の 195ps/5,200rpm 294N-m/3,200rpm に対してハイチューンとなっているが、これまた基本は同じだ。

価格は当時、255㎰ のタイプⅡが 412.5 ~ 471.5万円。 そして 195㎰ のタイプⅠが 379.5 ~ 416.5 万円 だったが、折角買うのだからと 255㎰ を求めるユーザーが多かったようだ。

さて、このセドリック シーマのライバルはと言えば、1989年8月という同時期に発売されたクラウンの 4.0L V型8気筒搭載モデルかと思えば、いやいや違うのだった。シーマが発売されてマスコミが大騒ぎしているその2ヶ月後、トヨタはセルシオを発売した。このセルシオはトヨタが米国で新たに立ち上げた高級車ブランド「レクサス」のフラグシップモデルとして 1989年1月からから発売した LS の日本向けとしてトヨタブランドの「セルシオ」として発売したものだった。

いやまあ、ハッキリ言って日本向けガラパゴス高級車のセドリックをベースとしたシーマでは、世界市場でメルセデス・ベンツSクラスをターゲットにしたセルシオとはクルマとして比較するのに無理がある。しかもセルシオの価格はベースとなるA仕様なら 455万円と、シーマとほぼ同価格帯だ。

という事で、これらのスペックを一覧表にしておく。

次回はメルセデス・ベンツを始めとする輸入車の同価格帯を取り上げる予定だ。

 


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