BMW 525i Touring 後編
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エンジンを掛けるのに、スタートボタンを探したが、5シリーズはキーを捻って始動スイッチが入るという、極当たり前の動作だったことを思い出した。このところ新発売される新型車は国産を含めて、何故かスタートボタン方式が多くなってきた。
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お馴染み5シリーズのメーター。1も3も基本的にはみな同じ雰囲気だ。それに、中央下半分のオンボードコンピュータの表示も先代からお馴染みだ。右の回転計の下には瞬間燃費計がある。
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ステアリングのスポーク部分に仕込まれた携帯電話のハンズフリー操作ボタン。これなら違反切符を切られないで済む。やはり、法律は金持ちの味方か?
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走り出して改めて再認識するのは、5シリーズのスムースで静かで、しかも微かに聞こえるエンジン音が何とも言えない安心感と心地良さをもたらすことだ。アクティブステアリングの軽くクイックな事も、何度乗ってもその度に感心する。この辺のフィーリングはクラウンやフーガがBMWに追いついた等と言っても、全くもって到達できない部分だろう。5シリーズの基本的な走りに付いては既に何度も触れているので、そちらを参照願うとして、今回は主にワゴンとセダンの違いに付いて確認する事としよう。
まずはセダン(1575kg)より150kgも重い(1730kg)車重に対して2.5ℓで十分かという点だろう。結論を先に言えば、パワフルなクルマが好きな人にはチョッと辛いが、普通に穏やかに走る分には不足はない。感覚的には旧3シリーズ(E46)で言えば、318i(2ℓ、4気筒)より速く、320i(2.2ℓ、6気筒)よりは遅いというところだ。
イザと言う時には右足を踏み込めば、スムースな6気筒エンジンは6500rpmのレッドゾーンまで全くストレスなしに吹け上がるし、その時の音も全く耳障りでない
どころか、人によっては心地良さも感じる程だから、実際には何の問題も無い。とは言え、このクルマをスポーティーに走らせるには3.0を積むべきだと思うが、BMWの6気筒は既に新3シリーズに搭載のマグネシュウム合金製の新型エンジンが主力になったから、この5シリーズツーリングも近い将来は新エンジンに改装されるだろう。その時は若しかしたら2.5でも十分かもしれない。
次に気になるのが、リアの重いワゴンボディで十分な操縦安定性が確保できるかという点だが、これに関しては全く問題ない。通常の一般路ではセダンとの違いは殆ど判らない。途中、例のハンドリング確認の旧道で試したが、大柄なフルサイズワゴンでこれ程までのコーナーリング性能があるのは驚異としか言いようが無い。アクティブステアリングの助けも借りて、大柄なワゴンはライトウェイトスポーツカーのようにヒラヒラと思いどうりに向きを変える。
そして乗り心地については、リアに自動車高調整を装備しているためにリアはエアスプリング(いわゆるエアサスだ)を採用している。その為か乗り心地はすこぶる良いし、何よりショックを受けたときの当たりが柔らかい。ただし、BMWには珍しく多少のピッチング(上下方向の揺れ)を感じる時がある。ただし、どの車種に乗っても常にフラットな最近のBMWとしてはの但し書き付きということで、ヤタラに柔らかい最近のメルセデスEクラスよりは少ないと言っておこう。
大きなクルマが一瞬グラッと前後に揺れるのは、ある意味では高級車っぽい(メルセデスEはその典型)ともいえるから、これまた全然問題はない。
それよりも感心するのは、スタイル優先と言われるBMWのワゴンといっても、本気で重い荷物を積める様に高価なセルフレベライザーを採用したり、ラッゲージエリアを確保し、しかもBMWとしてのサスペンション性能も確保するために、こんなに手の込んだワゴン専用サスを開発したりと、とに角理想を追求していることだ。
そして、当然ながらブレーキ性能も全くの5シリーズそのものだった。
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前半分は全くの5シリーズそのものだ。お馴染みの直6は近い将来、新3シリーズ(E90)と同じマグネシュウム合金エンジンに
代わるだろう。
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セダンの525iと同一の225/50R17。ホイールのデザインも全く同じ。 |
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走る、曲がる、止まるはBMW5シリーズセダンそのままで、高級感溢れる内装の質感と、何よりも走行感覚自体が他のどのクルマでも得られないスムースで静かな、全身これ高級感に包まれる。
しかもオシャレなワゴンボディという、正に究極の万能車とさえ言える、このクルマの唯一物足りないのがエンジンのパワー(トルク)で、これさえ解決すれば完璧だ。
もっとも、530iツーリングが発売されたとして、その価格は750万円クラスになるから、今でも高価なのに、益々庶民の手には届かなくなることなる。えっ?元々庶民が無理して買うものじゃないって?そりゃそうだ!
良いものは高い!でも、良くないのに高い物もある。この辺を見極めるには、見る目を育てて、鍛錬するしかない。
注記:この試乗記は2005年
7月現在の内容です。現在この車種は新車販売が終了しています。
また、内容は以前公開した旧フォーマットの試乗記を一部改定の上再掲載したものです。
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