TOYOTA VOXY Hybrid
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2016年前期 (4~9月) 登録台数ではノア3兄弟 (ノア/ヴォクシー/エスクァイア) を合計すると 92,598 台となり、これは2位のアクアの 89,409台を上回り142,562台のプリウスに次いで実際には第2となり、ミドルクラスのミニバンなんて全然食指がそそらないなぁ、なんて言っている場合ではなく、これはクルマ好きからすれば避けて通れないアイテムなのだ!

という訳でこのサイトの主要読者層の皆様にはチョイと我慢してもらって、始めてみましょうヴォクシー ハイブリッド簡易試乗記。それで写真については既に10月5日からの日記においてもっと大きなサイズの写真を掲載しているから、ここでは重複を避けて試乗結果のみを纏める事にする (何か、手抜き臭くねえかぁ、とか言わないように!) 。なお今回の試乗は一般公道ではなくお台場にある例のトヨタのテーマパーク MEGAWEB の専用コースでのチョイ乗りだから、まあ本当に基本的な確認しか出来ないが、出来が良いか悪いかくらいは判断できる。あっ、別にヴォクシーの取扱ディーラーがボンクラセールスとDQN ユーザーばっかりで、近づきたくない、という訳ではないので念のため。

そして今回の試乗車はヴォクシー ハイブリッドV という中間グレードで価格は310.7万円。えーっ? こんなのが300万円以上もするのかぁ? なんて言っている読者の姿が目に浮かぶが、いえいえそれどころかナビを付けたりするから乗り出し価格は軽く350万円、場合によっては400万円に迫る場合もあるという、デフレ経済どこ吹く風というのが最近の自動車業界だ。

余計な話はコレくらいにして早速クルマに乗り込んでシートに座ってベルトを締めて、さてエンジンスタート、ではなくハイブリッドだからパワースイッチはといえばダッシュボード右端にあった。ブレーキを踏んでパワースイッチを押すと正面のメーター類に灯りが灯り、如何にもトヨタのハイブリッドらしくケバい鮮やかなブルーを基調とした自光式メーターの表示が現れる。

AT セレクターはプリウスと同じ電子式で、要するにゲートに添ってレバーを動かしているが実際には単なる電気スイッチだ。ということは BMW と同じ? いやまあ、そういう言い方もあるというか、間違いではないが、残念ながら見た目の質感もフィーリングも大いに異なる、という事は黙っておこう。そしてパーキングブレーキはと言えば、これは安物ミドルクラスミニバンらしく足踏み式のプッシュ/プッシュタイプとなる。そこでプリウスはどうだったかと思って確認してみたらば、やっぱり同じ足踏み式だった。ハイテクの先端を行っているトヨタのハイブリッドならばパーキングブレーキもせめて電気式と行きたいところだが‥‥。

ヴォクシーハイブリッドのパワートレインは直4 1.8L 99ps/5,200rpm 142N-m/4,200rpm の2ZR-FXE エンジンと 82ps 207N-m の 5JMモーターをトヨタ得意の3軸プラタリーギアによる CVT という現行プリウスと全く同じものを使用している。システム出力は136ps で車両重量はプリウスの1,310s よりも300kg も重い1,610kg だからパワーウェイトレシオはプリウスが 9.6 kg/ps という実用車としては充分な値であるのに対してヴォクシーでは 11.8 kg/ps と少し見劣りがする。

というような能書きはこのくらいにして早速走り出す事にする。と、いっても MEGAWEB の試乗だから前のクルマから順番に出発してやがて自分の番が来ると誘導員の兄ちゃんが合図をするので、パーキンブレーキを踏んでリリースしてブレーキペダルを離すと極わずかなクリープがあるから、ここで静かにアクセルを踏むと例によって殆ど無音でスーッと走り出す。直線路に合流してからはフルスロットルを踏むと、この時の加速は思ったよりは強力だ。新型プリウス (XVW50) になる前のトヨタのハイブリッドといえば、燃費が良いのは判るがもうちょっと加速が良ければなあ、という感じだったが、これが新型では特に不満の無いくらいに改善されていた。それではプリウスの場合新旧でどれだけパワーアップされたかといえば、ガソリンエンジンは使い回しで変わらず、モーターの出力は逆に82 ⇒ 72ps と少なくなっているし、トルクも208 → 163N-m とこれまた小さくなっている。それなのに新型の方がトルクフルなのは制御ロジックの研究によって、よりドライバーの体感を改善する方法を習得したのだろうか? それとも旧型はハッタリのトヨタ馬力で、今回からは本当の性能だから事実上は大いにパワーアップしているとか、言う事は無いとは思うが。 なお新型プリウスについては
 ⇒ Toyota Prius (前記型) 簡易試乗記 にて。

次に操舵性だがチョイ乗りでの印象とは言え可もなく不可もなく、この手のファミリーミニバンとしては順当なところで、少なくとも5年で壊れるクルマを作れと命令していたトップの時代のトヨタ車のように、ぐにゃぐにゃ・ヨレヨレという事はない。実は先代のノアに試乗した時も予想に反して結構マトモなのに驚いたくらいで、言いかえればノア3兄弟はトヨタとしては本気で開発している車種なのだろう。
 ⇒ Toyota (先代) Noah 2.0 (2010年12月) 簡易試乗記

このコースは途中にスラロームのような部分があり、速度こそ出せないものの一般道でこれをやったら大顰蹙 (ひんしゅく) モノだからこれは実に良い企画で、ここで試したところでは背の高いミニバンとしては決して悪くないのとスキルの決して高くないドライバーでも破綻に至らないようなチューニングで、これはこのクルマのユーザー層をよく考えている。とは言え、重心の高い事に変わりはないから無理は禁物で、無茶をすればGWには必ずニュースに出てくるヒックリ返ったミニバン‥‥なんて事は言わないが。それでヴォクシーだが、言ってしまえば面白さは全く無いが、それをこのクルマに求めていけない。またこのコースは特に後半が狭くてコーナーも多いが、といってもコーナーリングどころが縁石に乗り上げないようにコース取りするのでやっと、というマルで昔懐かしい教習所のS字みたいなコースだが、全長4,695 x 全幅1,695o といういわゆる5ナンバーサイズのボディは、全幅の狭さに高い視点も加わって実に取り回しが良く、このコースとしては最も走りやすいクルマの一つだった。

ブレーキの効きも軽い踏力で良く効くが、考えてみたらばこのクルマはハイブリッドだったのでトヨタ得意のブレーキバイワイヤだから、ドライバーが踏んでいるのはダミーロードの付いた制御用シリンダーであり、実際にはその圧力信号から制御ユニットが最適のブレーキ圧をホイールシリンダーに送る訳で、適度な踏力は当たり前だった。ところで、ホイールの中にあるブレーキユニットはと言えば極普通の片押しタイプのディスクブレーキだが、少し前ならこのクラスのミニバンなんてリアはドラムブレーキが当たり前だったわけで、試乗車のように4輪ディスクは充分に立派だが、実はこれはハイブリッド車のみでガソリン2.0Lの場合はリアにはドラムブレーキが装着される。

今回はホンのチョい乗りではあったが、ヴォクシーの無難なファリーカーとしての可もなく不可もなく、何やら無印良品的な特性は確認できた。まあこれも想定通りの結果だった訳だが、少なくともクルマ好きには大いなる我慢が必要かとも思う。とはいえ家庭の事情でこの手のクルマを買う必要がある状況は多いだろうし、趣味で自分専用のクルマを別に持つとなると、これまた経済が許さないケースも多々あるだろう。ということで、ここはライバルである日産セレナとの比較をやってみる事にする。というよりも正直言って今回の試乗は日産の新型セレナに合わせて、その対抗馬としてチェックが必要だったためで、実ははセレナとの比較が本命であった。

ということで近日中にセレナ vs ボクシーをアップする予定なので‥‥乞うご期待!

注記:この試乗記は2016年9月現在の内容です。