TOYOTA TANK G (自然吸気)
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ターボモデルのタンク G-T 簡易試乗記の最後で予告したように、比較の為に自然吸気 (NA) モデルにも試乗してみた。 今回の試乗車は前回のターボと違い NA でグレードは表題ではGと書いてあるが、実はGでも高級仕様のカスタム G で更に安全装備の充実している ”S” ということで、正式名称はタンク カスタムG ”S” 4WD という長いもので価格は 200.9 万円というから、何と前回のターボモデルであるタンク G-T 2WD (180.4万円) よりも20万円高い。それなのにエンジンはNA なのは装備の良さと4WD であることが原因であり、同じグレードのターボモデルであるカスタム G-T ならば 196.5万円となる。ややっ、未だ NA の方が高いのは何でだ? ということになるが、ターボモデルには 4WD の設定が無いためで、何やら話がややこしくなってきたが、要するに今回試乗したモデルはタンクとしては最も高価なクルマということになる。 クルマに乗り込んでみるとその雰囲気は前回のターボモデルと全く同じで、エンジンの始動やDレンジの選択、そしてパーキングブレーキの解除などの出発前の ”儀式” もターボモデルと全く同だが、カスタムということから正面に見えるメーターは外周のリングがシルバーだとか目盛りの色が違うとか少し高級そうには見えるという違いは感じるが、これも大した相違ではない。
出発 OK の合図と共に、ホンの40分程前に試乗したターボと全く同じコースで出発する。最初の直線でターボと同様に 1/3 スロットルで加速するが、何と全然速度が上がらない情況で、ターボでは余裕で40q/hに達した同じコースで全く速度が上がらないうちに U ターン場所に来てしまった。ここで大きく180° のターンをして、今度は即座にフルスロットルを踏むと、エンジンは安っぽい音を盛大に発しながら、しかし速度はゆっくりとしか上がってこない。短いとはいえこのコースで一番長い直線でも40q/h に達するのはやっと、という情況だ。 2車線以上あってそのくせ頻繁な車線変更が必要となる都心の主要道路では、一瞬のチャンスに加速して前に入ったほうが寧ろ安全な情況など結構あるが、この加速性能ではまず不可能であり、もたもたとしていて速度が上がらないうちに隣の車線を走るクルマの巡航速度は上がってしまい、そんな事をしているうちに左に停車しているトラックのすぐ後方まで来てしまって、結局右の車線の流れが切れるまで停車状態で待っている事になる。しかもやっと切れ目が来たと思ったら、今まで前のトロイクルマに苛々していた後続車が急加速で右に入ってしまい、それに続いて更に後続車も‥‥いや、まいったねぇ、という事になるのは間違いない。 あれっ、この状況って何処かで体験したような覚えがある、と思ったらば旧型パッソの 1.0Lモデルで実際にそんな状況になったのを思い出した。 上記の試乗記を見ると当時のどうしようも無い1.0L モデルのエンジンは3気筒 1.0L の1KR-FE 69ps 92N-m だったが、これは今回の‥‥んっ? もしかして、タンクの NA エンジンは 1KR-FE 69ps 92N-m って? あれっ、数年前でもどうしようもなく出来の悪い1.0Lエンジンをそのまま、スペックもそのままで使い回しているのだった! それでその旧型パッソ 1.0 + Hana の車両重量は 910s で、対する今回のタンクは 1,070s だから、何と12%も重いではないか。そりゃ性能悪いわけだよなぁ。そして価格はパッソのベースモデル 1.0X V package が当時何と100万円で、対するタンク X は 146.3万円 もするわけで、まあ数年間の物価上昇やミニバン的なボディによる価格上昇はあるにしても、約5割も高いってぇのは、どんなモンでしょうかねぇ。
このように動力性能には大いに問題があったが、それでは操舵性はどうだろうか。最初に結論を言ってしまえば、実はこれが思ったほどには悪くない。ステアリングの操舵力は結構軽いのは当然だが、中心付近の不感帯も気になるほどには多くないし、何よりトヨタのボトムモデルにありがちな普通に走っても不安定さを感じるような事も無かった。ひとことで言えば少し前に乗ったターボモデルと大きく変わりは無い感じで、例のスラロームでもロールし過ぎや危険な挙動の片鱗なども全く感じられなかった。そこでこれまた前述の旧型パッソ 1.0 を思い出してみたらば、そうだ、やっぱり絶望的な動力性能の割には安定性や旋回性は極普通だった。 前回のターボモデルは、まあ動力性能と旋回性がそこそこの出来であり、ポスト軽自動車としては期待は出来るものの問題はベースグレードで 180万円というその価格であり、それなら NA モデルならば146万円と大分買いやすくなると思ったらば、動力性能が悪すぎて使い物にならず、という有様だった。更に付け加えれば今回試乗したモデルはカスタムG ”S” 4WD という200万円もするもので、幾ら装備が良いとか雪道に強い4WDとか言っても、この動力性能で200万円なんて一体誰が買うんだ、と言いたくなるが、まあ買うのはユーザーの勝手だから敢えて何も言わないが‥‥って、ボロクソ言っているじゃないか。 注記:この試乗記は2016年11月現在の内容です。
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