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SUZUKI SPECIA T 後編
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運転席は着座位置が高めだから、乗り込むには極普通にシートに座れば良いのはハイト系の利点で、シートに座って見ると当然ながら膝から下が自然に下に曲がるような座り方で、ソファではなくチェアに座るという感じになる。シートの座面は適度に硬くて安定しているが、バックレストは個人的には背中全体をサポートしないで一部だけで支えるような傾向があったから、やっぱり所詮は国産の安物シートだ。とはいえ、このクルマは1時間以上の移動というよりも、近場の買い物専用車として使われるだろうから特に問題は無いだろう。
インパネから生えた、いわゆるインパネシフトのCVTセレ 遅い流れの巡航では全くパワー(トルク)不足を感じなかった試乗車だが、さてフル加速ではどうだろうか、ということで、30�q/hからフルスロットルを踏んでみると2速補助速機付きのCVTは少しのタイムラグの後に低いギアに入れ替わったようで、回転計の針は4,000rpm位 スペーシアには当然ながらアイドリングストップ装置が付いているので、今回も飽きずに意地悪テストをやってみる。信号待ちで停車中前車が発信して少し間が開いてから極力素早くブレーキからアクセルに踏み代え2/3スロットル位踏み込むと、この時点ではエンジンが始動していないので、一瞬遅れでエンジンが掛かった時点では既にスロットルペダルは半分以上踏み込まてている。この場合、エンジンは掛かった瞬間にブオ~ンと吹け上がり、一瞬後にクルマは飛び出すように発進した。最近は試乗の際に度々このようなテストをしているが、新型車の場合は概ねスロットルを制御してエンジン始動直後に行きなる吹け上がらないように電子制御プログラムが改良されている場合は多く、スペーシアTのようにそのまま飛び出すのはヴィッツの低グレード車以来だった。 このような事を書くと実際にそんな運転はしない、と言われそうだが、これが右折待ちで対向車の切れ目が無く、目の前の信号が黄色になっても対向車は突撃してくるし、それどころか赤になっても未だ止まる気配がない場合もあり、右折可能の状態になった時は既に目の前は赤信号。勿論交差点のど真ん中だから、法律上も速やかに交差点の外に出る、すなわち右折する必要がある、なんていう場合は無意識のうちにも最速でアクセルに踏み代えて、焦る心でエンジン始動前のタイミングでスロットルペダルを踏み込むことは充分にあるだろう。それでも、自分が先頭なら単に飛び出すだけだが、交差する道路が片側2車線のために、 スペーシアTのステアリングは軽自動車としては結構素直で、操舵力も軽過すぎることもなく、近来著しく進歩したスズキの軽ということを考えても、操舵性の素直さでは流石に最新モデルだけのことはあるし、軽としては随分と高級なモデルであることも考え合わせれば、通常走行での操舵感は充分に合格点を与えられるレベルでも驚くことはない。今回は特にワインディング路を走るなどということはやってないが、一般道の途中にあるブラインドコーナーでは、これまた軽としては決して悪くはなかった。とはいえ、スペーシアのような背の高い軽では幅よりも高さが遥かに高い形状を見ただけで、コーナーに勢い良く突っ込む勇気は無くなるなるし、このクルマでコーナーを攻めるなんていうことは、普通のユーザーならばやらないだろう。 見かけの割には安定したコーナーリングだったが代償は勿論ある訳で、走行中に常に感じる乗り心地の硬さは人によっては不快に感じるだろう。最近の国産車は欧州車志向が強くなって一般にサスは硬めだが不快ではない例が多いが、試乗車の場合は一昔前の、いわゆるケツの青い硬さだった。現行ワゴンRなどは軽としては驚くほどに乗り心地が重厚なことに感心してきたが、今回のスペーシアは単なる硬さ以外にもピョンピョンと跳ねたり、ボディの振動も安っぽくて、何やら剛性感も低く感じる。そこで思い出すのが前編で指摘した極端な軽量化による懸念だったが、どうもそれとも無縁では無さそうだ。 しかし、これだけサスが硬いと、無理なコーナーリングではロールで踏ん張る前に内側車輪が浮いたり、最悪は転倒したりの危険は大丈夫なのだろうか? そういえば最近は動画投稿サイトでドライブレコーダーの記録した事故の瞬間が数多く投稿されているが、高速道路で右の追い越し車線を抜いていった軽のハイトワゴン車が行き成りコントロールを失って路肩に突っ込んだり、道の真中で転倒したり、はたまた対抗車線に飛んでいったり、側を通行していたクルマからみれば何が何だかわからないうちに、一瞬で巻き込まれたりする状況を見ると、ゾッとする物がある。因みに縦横比の状況をBMW640iグランクーペと比較すると、これが同じクルマかと言いたくなる。
この2~3年で試乗したスズキの軽では、ワゴンRにしてもパレットSW(ルークスハイウェースター)にしても、これが軽?って驚くほど(軽としては)しなやかな乗り心地と安定性を両立していた覚えがあるから、今回のスペーシアにも結構期待はしていたのだが、どうも結果は思わしくなかったのは何故だろうか。偶々試乗車が個体として出来が悪かったのか、それともシリーズ中ではパワフルなターボモデルのために、以前で言えばワークスに準じた扱いで、他のコンフォートグレードとは足回りのチューニングを区別しているのか? など、の疑問も湧いてくる。そういえば、以前発売されていた最後のワークスであったKeiワークスは、やはりハイト系のスポーツタイプということで硬い足による限界を超えた時のコーナーリングの難しさと、限界自体の低さは各所で指摘されていたのを思い出した。まあ、それを言ったらば、天下のポロGTIだってコーナーリングマシンとしてみれば限界の低さなど、やっぱり幅が狭く相対的に高さが高い、最近のユーティリティスペース命のクルマは、スポーツグレードといっても大した事はないのだが。 最後にブレーキについてだが、最近の国産車のブレーキはここ十年で大いに進歩して、効きが悪いとか、ペダルのフィーリングがグニャグニャとかいうような特性はまず見なくなった。それでスペーシアのブレーキはといえば、嬉しい事に(?)ペダルを踏むとグイーっと奥まで入っていく。勿論ポルシェのようにストロークと踏力と減速度の関係がリニアで、ドライバーからみると踏めば踏むほどストロールに比例して減速度が上がって、まるで後ろから見えない手で掴まれるような減速度と表現されるように、ある程度のストロークがメリットになっている特性もあるが、スペーシアは単にブレーキ系やブレーキ液の配管系の剛性が低いとか、パッドのキャリパーの取り付け、もしくは部品自体の精度が悪く歪んでいるのを無理に押し付けるなど、典型的な駄目ブレーキの特徴をシッカリ持ちあわせているから、久しぶりに嬉しくなってしまった。
今回の試乗車はターボエンジン搭載の上級グレードであるだから、車両価格はオーディオレスで141.8万円であり、社外品の安いナビをつけても150万円となるから良くて当然であり、マーチでも上級グレードの12G(147.1万円)が買えてしまう。 ここ数年来、モデルチェンジの度に大きく進歩して、昔のイメージを払拭する程だったスズキだが、今回は感心するどころか旧型に対して寧ろ退歩しているようにさえ感じてしまった。これが、ターボモデルのみなら良いのだが、果たしてどうなのだろうか? 本来ならばNAのモデルに試乗してみて確認すれば良いのだろうが、ハッキリ言って、それ程までする時間も気持ちの無いので、まあ機会があったらということにしておこう。 注記:この試乗記は2013年3月現在の内容です。 |
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