NISSAN DAYS Highway STAR 後編
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クルマに乗り込んでシートに座ってみると、座り心地というかシートの硬さ具合などは普通車並の出来だから、軽自動車としては中々座り心地が良い。これも普通車メーカーの日産の感覚であり、どうせ軽なんて1時間以上も走ることはないのだから、シートもソレナリで充分だ、と考えていると思いたくなるような軽専門メーカーとは、ひと味、いや二味違う。それでも、最近の軽専門メーカーのシートだって以前よりは結構良くなってはいるが‥‥。

エンジンの始動はインテリジェントキーとプッシュボタンによる方式で、今や日本のクルマでは軽を含めても、余程の廉価グレードでもなければ金属キーによる始動なんて無くなってしまった。
えっ? 300万円のアバルト500は金属キーだ、って? 何をおっしゃるウサギさん。アバルトの場合は500万円の695 EDIZIONE MASERATIだって金属キーですぞ!

アイドリングは3気筒だから無振動とはいえないが、想像よりも不快な振動は少ないし、他社に比べても良いほうだろう。CVTのセレクターはセンタークラスターから生えているいわゆるインパネシフトで、これをDに入れれば、後はいじることもなさそうだ。パーキングブレーキは足元にあるペダル式で、踏む毎にオン/オフを繰り返すプッシュ/プッシュタイプであり、これを高級車で使用するのはどうも腑に落ちないのだが、軽に使うとなれば話は別で“軽らしくない高級装備”ということになる。駐車場内の移動の為の発進直後に感じるのは結構スムースで微速でのコントロールも容易だから第一印象は中々良い。公道に出て加速してみると、やはり自然吸気の軽自動車なりの物だが、これは想像とおりだ。その後一般道に入って巡航してみると、50km/h程度の巡航では回転計の針は2,000rpm位を指していて、ちょっとでもアクセルと踏み込むと即座に、というとオーバーだが割りと短いタイミングで回転計の針がスーッと3,000rpm位まで上がるのは、副変速機がLo側に入ったのだろう。日産得意の副変速機付きCVTだが、今回のDayzは隙あらば副変速機を使ってやるぞ、というような積極的な制御であり、日産もようやくこの変速機を使いこなしてきたようだ。

最近の普通車は燃費向上を狙って巡航中のエンジン回転数を1,200rpm位まで下げる傾向があるが、DAYZのように2,000rpmで巡航する状況をみれば、そこは所詮軽自動車であり、660ccの自然吸気では仕方の無いことだ。そんな事を考えれば、このボディもターボモデルが本来の姿なのだろう。それでも、一度速度にのってしまえばエンジン音も特に大きいということもなく、他社のライバルと比べても少なくとも負けることは無い。ただし、大いに勝っているかといえば、それ程でもないが。

今度は再度国道に出て信号待ちからのフルスタートを試してみると、ガーッというノイズとともにユックリと速度計の針が上がっていく。と同時に回転計の針もスーっと上がっていき5,000rpmを超えてもまだ上昇するつもりらしく、結局レッドゾーンに近い6,000rpmまで上がっていった。ただし、その速度の上昇はヤッパリ遅い。

ここでエンジンのスペックをおさらいしておくと、DAYZのエンジンは3B20 直3 DOHC 49ps/5,500rpm 6.0kgf-m/5,000rpmで、型式からすればミツビシi(アイ)に搭載されたもので、要するにミツビシ製を使用している。それにしても自然吸気の軽とはいえ49psはちょいと少なくないか、なんて言いたくなる。

ところで、最近流行りのアイドリングストップ機能については当然ながらDAYZにも付いている。エンジンを始動して少しの間はメーター内のアイドリングストップマークが点滅していたのでエンジンが冷えているので作動しないということかと理解して走行していると5分程でその点滅も消えたので、次の信号で止まるを楽しみにしていたのだが、エンジンは止まらず。インパネ右端にある解除スイッチ(写真右下)をチェックしたが、OFFにしている様子もない。その後色々チェレンジしたがアイドリングストップは動作しなかった。後で調べたら、何と室内温度が一定以上になると作動しなくなるのだった。エアコンを入れると作動しないのは判るが、エアコンを切っても室内温度が下がらない限りアイドリングストップは作動しないのは理解に苦しむところだ。とか何とか言っても、個人的にはコンナ機能を使う気は全くないが‥‥。

動力性能についてはノンターボの軽自動車だから元々期待するのが無理なのだが、それでは走行安定性やコーナーリング性能はといえば、まあ、これも幅が狭くて背が高いという軽のハイトワゴンだから、期待するほうが無茶なのだが、それでもどの程度で収まっているかは大いなる興味がある。ということで、先ずは地方道(市道)を40~50km/h程度で流れに乗って走ってみると、安定感は中々良く乗り心地も固めではあるが決して悪くはないし、またロードノイズも静かな部類に入る。試乗車はハイウェースターGということで、装着されていたタイヤも165/55R15というサイズだったから、それ以外のグレードの155/64R14に比べれは乗り心地では不利なのだが、それでも55扁平というのは最近の普通車と比べれば極々大人しい部類だ。

操舵フィーリングも中心付近での不感帯も適度で、操舵力も軽すぎることも無く、レスポンスだって程々だから実用車として特にいうことな無い。やがて何時も試乗で使っているブラインドコーナーに差し掛かったが、硬めの足と重心の高いボディは最初のコーナーの突入で何となく不安な感じがして結構押さえてみたが、旋回中もやはり不安なフィーリングはあって、どうしても安全志向の走りになってしまう。既にこのクルマに試乗したユーザーが、ライバル他社に比べて安定感では大いに勝っていると言っているそうだが、このコーナリング時の硬い足による踏ん張りの効かないフィーリングは、無理をすれば転倒するんではないか、という不安を感じてしまうのはどうしたものだろうか? 

そう言えば、以前にも軽自動車に試乗した際、コーナーでちょっと速度を上げてみたらば危ない挙動が出てヒヤッとしたことが2回ほどあったが、その時のクルマはi(アイ)とOTTI RXという日産ブランドだが内容はミツビシからekワゴンをOEMで調達したクルマだった。んっ?どっちもミツビシ?? 今回のDAYZもぶっちゃけ新型eKワゴンだよねぇ‥‥。

軽自動車の多くはアルミホイールなんて装着していない場合が多いので、ホイールの中のブレーキは見えない訳だが、今回の試乗車は高級モデルだけあってスポークの細いスポーティーなホイールを装着していたことから、中にあるブレーキが見えるわけだが、これはハッキリ言ってショボい! フロントのキャリパーは主として軽自動車に使用される、外側のフレームが無くて直接シリンダーハウジングにパッドを取り付けるタイプだし、ディスクローターも放熱フィンが無い只の丸い板、とでも言いたくなるソリッドディスクだし、リアのドラムブレーキなんて直径の小さいのに驚くほどで、こんなんで本当にクルマが止まるのか?なんて言いたくなるくらいだ。それでも、車両重量が軽いから別に問題は無いのだろうが、精神的にはあまり見ないほうが良さそうだ。そのブレーキのフィーリングはといえば、初期の遊びからブレーキが効き出す辺りではシャキっとしない感じがあり、これはパッドとローターの精度が悪い場合によくあるフィーリングだが、ブレーキパッドというのは使えば減るから、そのうちに精度が悪いなりの当たりが付いて、結構フィーリングが良くなったりする。それに効き始めれば実用には充分な性能だから、軽自動車としてはこんな物だろう。因みに試乗車の走行距離は10km(!)だったから、ブレーキの当たりなんて全然付いていなかったはずだ。

さて、今回のDAYZ Highway STARの結論は、日産初の軽自動車とはいえ軽の経験の有るミツビシとの合弁事業であり、共同開発でもあるから、基本的にはミツビシ eKワゴンと思えば、それなりのレベルには達していて当然だ。ただし、一部で言われているように他の軽自動車に比べて格段に安定した走りをする‥‥なんていうことは無かったし、動力性能に至っては自然吸気の軽なりのものだった。それでも日産得意の副変速機付きCVTを上手く使うことで、少ないパワーを精一杯絞り出しているのは救いだが、動力性能云々をいうならば、少し遅れて発売されるターボモデルを選ぶべきだろう。勿論、そうなれば更に価格はアップするだろうから、車両価格では今月(6月)末に発表されて、今年の年末からデリバリーが始まるマーチの1.5L MT(NISMO)モデルに近い価格となってしまう。

という訳で、DAYZを近場の足として検討するならば、高価なハイウェースターよりも標準モデルで充分だし、それならば110万円程度だから選択の余地はありそうだ。

注記:この試乗記は2013年6月現在の内容です。