MAZDA AXELA HYBRID & 15S 後編 (15S 試乗)
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ハイブリッド車がトヨタのシステムで、スカイアクティブHVには殆どメリットが無かったが、操舵感や安定性などは大いなる優位点があったことから、数日後にガソリン車に試乗してみた。アクセラのガソリン車には1.5Lと2.0Lがあり、どちらに試乗するかを考えた時、より軽量なことから軽快感は勝るだろうことと、MT車もラインナップされていることで、よりマニア向きとかもしれない1.5Lに試乗することにした。さて、この選択は正しかったかどうかについては、以下の試乗記を読む楽しみのために、この段階では内緒にしておく。

さて、シートに座ってハイブリッド車と同じ位置で同じ形の、しかし表記は「START/STOP ENGINE」と書かれたボタンを押すと正面のメーター類に明かりが灯り、エンジンが始動する。正面のメータークラスターはハイブリッド車と共通だが、何故か中央の速度計のメモリのゼロ点位置が異なる、というか、こちらがオーソドックスな目盛りと言える。左側の小さいメーターは回転計となっているが、小さいので視認はしづらい。

ATセレクターはハイブリッドと同様にフロアーコンソール上に配置されているが、形状は最近の定番である直線式のパターンで、さらにDから横に倒すとマニュアルモードになる、いわゆるティプトロタイプで、レバー自体もマニュアル車のシフトレバーのようなノブが付いて、根本には赤いステッチの入ったレザーブーツという、(ちょっと前の)欧州車の上級モデルも真っ青というものが付いている。

走り出した第一印象は、ユックリとした流れに乗っている分にはそれ程感じないが、前車と離れてしまった場合などで、少し強めにアクセルを踏んだ時の加速はハッキリ言ってまだるっこしい。こりゃあいかん、とフルスロットルを踏むと、クルマは即座に‥‥何にもしない。あれっ?と思っていると回転数がモアーと上がり、これに続いて左側にある小さなディスプレイの回転計部分も同じように上がり始める。シフトダウンが終わった後の加速も当然トロイが、エンジン回転数が4,000rpm辺りを過ぎると、ゴーっという威勢の良いエンジン音が耳に入る。この音も当然安っぽいし、気持ちのいいものでもないが、せめてもの救いは耳障りで無いということで、不快感はそれ程感じなかった。

それでもアクセラのトランスミッションは、このクラスの標準であるCVTではなく、ちゃあんと6速のトルコン式ATを搭載していることで、トロいとはいえアクセルと強くむめばキックダウンも出来るし、前述のようにシフトレバーを横に倒せば一応マニュアルモードも出来るディプトロタイプとなっている。そこで、そのマニュアルモードを試してみると、やっぱり今時のATとしてはレスポンスが悪く、ハッキリ言って使うメリットが良く判らないという程度のモノだった。

結局動力性能としては所詮は1.5Lであり、サイズ的には先々代の3シリーズ(E46)とほぼ同じという、もはや小型大衆車の大きさではなくなってしまったアクセラは、軽量とはいえ1,270sという、これまた車両サイズなりの重量であり、このボディを111psの1.5Lノンターボエンジで引っ張るのだからパワーウェイトレシオ(PWR)は11.4s/psとなり、これも決して速くはないカローラアクシオ15の10.0s/ps(109ps、1,090s)よりも劣る数字となっている訳で、幾らスカイアクティブがどうのと言っても、このボディに1.5Lは完全にアンダーパワーだということだ

動力性能については残念ながらイマイチだったので期待はハンドリングだが、まず第一印象はあれほどクイックだったハイブリッドと同じアクセラなのかと思うほどに極々普通の操舵レスポンスで、先ずは拍子抜けという状態だった。旋回性能自体も特に悪くはないが、決して飛び抜けているわけではないし、ワンランクカテゴリーが上とはいうものの、同じマツダのスカイアクティブであるアテンザに乗った時の驚きと嬉しい誤算は、残念ながら今回のアクセラでは感じられなかった。

ここで今回試乗した1.5Lは、もしかしたら安い分だけ足回りや操舵系がハイブリッドとは違う、言ってみれば安物なのではないか?とう疑問が湧いてきた。試乗車の15Sの価格は184.8万円で20S(220.5万円)との差は35.7万円であり、20Sは動力性能では15Sを上回るのは当然としても、約36万円の価格差を考えれば、操舵系や足回りも1.5Lより強化されていてもおかしくはない。となると、2.0Lにも試乗すべきだったのだろうか? しかし、2.0Lはマニュアルミッションの設定が無いなど、どちらかといえばラグジュアリー系のような気もするし、結局マニア向けには少し遅れて発売されるターボディーゼルのモデル、とりわけMTが本命なのは間違いない。

実は先々代のアクセラには、今回と同様に1.5LモデルにMT車が設定されていて、これがマニアには結構人気だったが、先代へのモデルチェンジに際してMTは廃止されてしまった。しかし、今回復活したので、先々代のMT車オーナーは買い替え候補が出来て一安心だろう。ハッキリ言ってアクセラ 1.5LのMTを買うというのは、クルマにあまり予算を掛けられないユーザーということだ。しかし、この手のユーザーは一概に低収入という訳ではないのは、クルマに掛けられる予算は必ずしも収入と比例しないからだ。例えば3人の子供を小学校から有名大学の付属へ入れて、家は高級建売住宅でローン残高が5,000万円以上ある、なんていう生活をしていたらば、年収1,500万円でもクルマは200万円程度ということになるから、アクセラの場合は2.0Lだとベースグレードでも220万円となり予算オーバーとなり、結局は1.5Lということになる。

それに対して、近郊農家の倅で独身であり、当然子供の教育費はないし、土地はイッパイあるから建売住宅も分譲マンションも必要はなく、結局住宅ローンとは無縁であり、それどころか親と同居だから食費も掛からないし、元々米や野菜は親が自分の田畑で作っているからダダ、などの条件ならば年収200万円でも500万円のフーガが買えることになる。

まあ、上記の話はウケ狙いで多少オーバーな表現をしているが、現実にこれに近い実例は読者の皆さんの身の回りにもある筈だ。とはいっても、一般的にはクルマの価格と収入は比例しているのもまた事実で、よく言われるように所有するクルマの適正価格は年収の1/3で、500万円のクルマを買うには年収1500万円が必要であり、BMW3シリーズの本来のオーナーは大企業、それも金融・証券業などの管理職クラスといことになり、これは結構当たっている。

アクセラ 15Sは、残念ながら期待したほどでは無かったものの、車両価格が180万円代という事を考えれば決して悪い車ではない。そして、実際に結構な量のバックオーダーを抱えているそうで、今契約しても直ぐにクルマは手にないらないという状態だから、マツダとしては連続ヒットというところだ。その証拠に以前は一発40万円引きなんて恐ろしい売り方をしていたマツダが、今は殆ど値引き無しという。時代も変わったものだし、マツダのここまでの躍進は誰も想像できなかっただろう。でも、ねぇ。マツダ車で殆ど値引きなしというのも、何となく腑に落ちないものもあるが‥‥。

注記:この試乗記は2013年12月現在の内容です。