レガシィ B4 2.5GT Sパッケージ
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NAの2.5iツーリングワゴンに続いてターボのセダンB4 2.5GTにも試乗した。セダンとワゴンはBピラー以前は基本的に共通となっている。国内ではワゴン需要の減少から多くのモデルが生産中止となっているが、レガシィの場合は未だにワゴンが主流でB4と呼ばれるセダンは寧ろ少数派となっている。

今回の試乗車はSパッケージというスポーティーグレードで価格は320.25万円と決し て安くはない。しかも、試乗車にはオプションのナビが装着されていたので約355万円となる。
リアーシートの前後寸法は充分でフロントに180cm級のドライバーが乗ってもリアパッセンジャーはフロントバックレストと膝の間に充分な隙間が確保できる。
まあ、北米輸出がメインのクルマだから当然でもあるが。



シートは形状的にはワゴン2.5i Lパッケージと同一だが、表皮はサイドに人工皮革が使用されてステッチもハッキリと見えるデザインとなっている。ダッシュボードはワゴンと同一だが、トリム(パネル)はLパッケージでは散々だったフェイクウッドに対して 、Sパッケージではカーボン調が使われている。



新型レガシィの大きな特徴としてパーキングブレーキが電気スイッチ式となっことが挙げられる。上の右側写真中央付近の黒白の横長ボタンを押すとオン、引くとオフとなる。更にはDレンジでブレーを離してアクセルと踏むと自動で解除される。

SOHC&NAの2.5iはミッションにCVTが搭載されていたが、 DOHCターボのGTは5速ATとなる。走り出した瞬間に2.5iとはトルクの違いを感じるが、この時はSi−DRIVEを”I”にしていたため、スロットルを踏んでも反応が鈍い から速攻で”S”にする。この段階でレガシィGTらしい動力性能となるが、それでもレスポンスはマアマア程度だった。そこでS#に入れると、”これこそ”というレスポンスを見せてくれるから、走り屋を自認するオーナーならば終始S#に入れっぱなしも有りかもしれない。そんなことをしたら燃費が悪くてどうしようも無いと思うかもしれないが、実は下手に”I”に入れて、レスポンスの悪さからつい踏み込み過ぎて、タイムラグの為に遅れてガバっと吹き上がったり、という運転だと寧ろSよりも燃費が悪化することもあるようだ。

その2.5ℓターボは最大出力は285ps/6,000rpm、最大トルクは35.7kg・m/5,600rpmという結構なハイパワーとなる。
それでは、従来の2ℓターボに比べて如何なのかといえば、確かにトルクの大きさは感じるが、圧倒的な加速の違いは体感できないし、従来の2ℓ車のように何とも気持ち良いフィーリング も感じられないのはどうしたものだろうか。

先々代のBHなどは乗った瞬間に本当に4気筒?と思う程に滑らからエンジンと、ターボラグはあるのだが、その一瞬の遅れが寧ろ特徴的で気にならないという、国産車では唯一個性的なクルマだった。これ が先代BPでは多少普通っぽくはなったが、それでも独特の世界を持っていたのだが、今回の新型は性能的には先代を上回ってはいるのだろうが、何かが足りない気がする。

乗り心地はといえば、2.5iがLパッケージで柔らかい足回りを持っていたのに対して、こちらはGTであることとSパッケージによる更に硬めのサスによって乗り心地は硬 いが、勿論不快ではない。今回の試乗コースにはワインディングロード と言えそうな場所 は無かった。2.5iでも充分に安定したコーナーリング特性だったから、Sパッケージ装着のGTは当然ながらハイレベルの旋回特性とは思う。これはその内ジックリと乗ってみたいものだ。
ブレーキは2.5iと大きく変わることはないが、容量的には充分だし、効き味も問題ない。ただし、高速道路でチョッとヤバイ速度で巡航するようなユーザーだとどうなんだろうか?
 

新型レガシィB4のライバルといえばトヨタなら同じく4気筒で排気量も近いカムリと比べようと思ったが、カムリの価格帯は4WDのベースモデルで.261万円と価格的にみればクラスが違う ことと、カムリは北米向けのでかいドンガラとフワフワの足、そしてケバくて安っぽいシートと内装など、B4のライバルとはなりそうもない。そこで引っ張り出したのがマークX、それも価格的に釣り合うように300Gとの比較をしてみた。そしてスカイラインはB4と同じ2.5ℓとはいってもV6エンジンとワンランク上となっている。
最後には、例によって同じDセグメントのドイツの定番プレミアムブランドということで、2.5iではBMW3シリーズとの比較だったが、今回はメルセデスのCクラスで、排気量は2.5ℓクラスということからC250を引っ張り出してみた。 実はこの表を作成中に気が付いたのだが、Cクラスってスペック的には3シリーズと限りなく近かった。
 
    SUBARU
LEGACY B4
TOYOTA
MarkX
NISSAN
SKYLINE
Mercedes Benz

2.5GT S
Package
300G 250GT Type V C250 Elegance

寸法重量乗車定員

全長(m)

  4.730 4.730 4.755 4.585

全幅(m)

1.780 1.775 1.770 1.770

全高(m)

1.505 1.435 1.450 1.445

ホイールベース(m)

  2.750 2.850 2.850 2.760

最小回転半径(m)

5.5 5.2 5.4 5.1

車両重量(kg)

  1,510 1,520 1,570 1,550

乗車定員(

  5 5 5 5

エンジン・トランスミッション

エンジン種類

  水4 DOHC Turbo V6 DOHC V6 DOHC 直6 DOHC

総排気量(cm3)

2,457 2,994 2,495 2,496

最高出力(ps/rpm)

  285/6,000 256/6,000 225/6,800 204/6,100

最大トルク(kg・m/rpm)

35.7/5,600 32.0/3,600 26.8/4,800 25.0/5,500

トランスミッション

  5AT 6AT 5AT 7AT

駆動方式

  4WD RWD RWD RWD
 

燃料消費率(km/L)
(10/15モード走行)

  12.0 11.8 11.2 9.3

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

ストラット ダブルウィッシュボーン ダブルウィッシュボーン 3リンク
  ダブルウィッシュボーン マルチリンク ダマルチリンク マルチリンク

タイヤ寸法

  225/45R18 215/60R16 225/55R17 205/55R16

ブレーキ

前/後 V-Disc/V-Disc V-Disc/Disc V-Disc/V-Disc V-Disc/Disc

価格

   
 

車両価格

  3,203,000 3,203,000 3,150,000 5,840,000
 

備考

こうして比べると他の国産2車がV6で、しかもマークXに至っては3ℓであるのに対して、レガシィは2.5ℓターボとは言っても直4だし、コンセプトは大きく異なる。また駆動方式もレガシィのみが4WDで他は今時珍しいFRという具合に、直接のライバルでは無さそうだ。
レガシィといえば欧州車オーナーが維持費や信頼性、その他各種の事情で国産車に買い換える(出戻りする)場合の定番とも言えたのだが、それは取りも直さず他の国産車には無い独特のフィーリングがあるからだった 。今回の新型は残念ながら独特のフィーリングという面では後退してしまったように感じる。
スバルが普通に良いクルマを作っても、マニアはソッポを向くし普通の人はわざわざオタクっぽいセールスが居るスバルディーラーなんて行かないし・・・・。まあ、目先は完全に北米を向いているのは間違いないし、そういう点ではスカイラインもアコードも、このクラスの国産車はみ〜んな同じ。まあ、このクラスのセダン需要が国内では風前の灯火ということもあるのだが。ハイブリッドが売れに売れている昨今、より大きくなったレガシィは、クルマとしてはより良くなったのだが、何か時代とずれていないか なぁ?

注記:この試乗記は2009年6月現在の内容です。