ニッサン エルグランド 250
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前回B_otaku の試乗記では始めて本格的なミニバンであるアルファードを取り上げた。そして結果はそれなり、という か、少なくとも積極的にステアリングを握りたいクルマではなかった。いや、出来ることなら運転することは勘弁してもらいというのが本音だった。そこで、一つ疑問が湧いた。500万円もするがアルファードはエンジン横置きのFFで、しかもリアサスはトーションビームだから、方式としてはヴィッツやカローラと同じ! それでは、他社はといえば、この分野の草分け的なニッサン エルグランドはリアはちゃあんとマルチリンクだし、駆動形式だってV6エンジン縦置きのFRという、いってみれば高級セダンと同じ。アルファードがヴィッツと同形式なら、エルグランドはフーガと同じ・・・・・と言うと、あの野郎、ニッサンから何かもらっているんじゃあないか?なんて、 言われそうなので止めておこう。あっ、ニッサンからは何ももらってないですよ。もしもくれるなら賛辞礼賛に徹しますけど・・・・・・。
今回の試乗車は250ハイウェースター ブラックレザーエディション という長ったらしいグレード名で、価格は325.5万円。外観上はアルファードに比べてより角ばっているが、ミニバンに興味がなければ、どちらもデカくてゴッツくて、嫌味なクルマというところか。

目の前に現れた試乗車のドアを開けた瞬間に、あっと驚いた。なにが驚きかといえば、この内装が想像以上に良い!豪華なレザーシートとウッド(実はフェイク)を多用した室内はアメリカンミニバンの下品さを良くコピーしている。例えばシボレーアストロの上級グレードのように、デッカくて豪華で、ケバいソファーのようなレザーシートやウォルナットを”これでもか”とばかりに使用したサイドボード組み込みのインテリアを持つようなアメリカンミニバンの雰囲気を持っている。
シートのレザー表皮も、フーガのような安っぽさではなく、ワザとしわを寄せて縫い付けられているが、BMWのような欧州的ではなく、やはりアメリカンだ。
とにかく、ドアを開けた瞬間にアルファードに勝っているぞ、と感じさせるのは、伊達にフルサイズミニバンの世界で先頭を歩いて来た訳ではなさそうだ。


リアゲートを開けると現れるラッゲージスペースは2〜3列目に充分な前後スペース を取っても、最小限必要程度は確保できる。まあ、ミニバンというのは、多人数乗車のためのクルマだから、フル乗車の状態だと、荷物を積むという面ではセダン以下となるのは、仕方ないようだ。




エルグランドのダッシュボードもまた、内装同様にアメリカンで、しかも決して品は良くないが、納得するものはある。内装ではトヨタに大きく水を開けられているニッサンだが、何故かフルサイズミニバンの分野では、むしろ勝っているのが不思議だ。 少なくとも試乗したグレードの内装では、直前に乗ったアルファードに比べて、質感・デザインともに上回っている。

ATセレクターはコンソール上ではなくセンタークラスタから生えている。これにより前席と2列目席は自由に行き来が出来るウォークスルーとなっている。インテリジェントキーとスターターボタンという最近の国産車としては定番の装備でエンジンを始動すると、アイドリングはア ルファード程には静かではない。
壁から生えたATセレクターのパターンはDレンジの横にはマニュアルポジションがあり、押してプラス/引いてマイナスという一般的なパターンとなっている。
走り出した第一印象は2.5ℓとしては思いのほかトルク感があり、これなら3.5でなくても良いかな、なんて思 ってしまう。下の表を見れば一目で判るが、エルグランドは2.5ℓでもV6で、駆動方式もエンジン縦置きのFRというオーソドックスな方式を採用し、更にはリアのサスペンションもマルチリンクと、スペックだけで比べると、アルファードの2.4ℓよりも明らかに勝っている。
 
    エルグランド エルグランド250 アルファード アルファード

350X ハイウェースター 350S 240X

寸法重量乗車定員

全長(m)

  4.835 4.835 4.865 4.850

全幅(m)

1.795 1.815 1.840 1.830

全高(m)

1.910 1.910 1.900 1.890

ホイールベース(m)

  2.950 2.950 2.950 2.950

最小回転半径(m)

5.7 5.7 5.9 5.7

車両重量(kg)

  2,020 2,030 2,000 1,850

乗車定員(

  8 8 7 8

エンジン・トランスミッション

エンジン種類

  V6 DOHC V6 DOHC V6 DOHC 直4 DOHC

総排気量(cm3)

3,498 2,495 3,456 2,362

最高出力(ps/rpm)

  240/6,000 186/6,000 280/6,200 170/6,000

最大トルク(kg・m/rpm)

36.0/3,200 23.78/3,200 35.1/4,7000 22.8/4,0800

トランスミッション

  5AT 5AT 6AT CVT

駆動方式

  FR FR FF FF

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

ストラット ストラット ストラット ストラット
  マルチリンク マルチリンク トーションビーム トーションビーム

タイヤ寸法

215/60R16 215/60R17 235/50R18 215/65R16
  215/60R16 215/60R17 235/50R18 215/65R16

価格

   
 

車両価格

  3,318,000  3,255,000 4,160,000  3,000,000

備考

    ブラックレザー
エディション
Cパッケージ  

アルファードの2.4ℓには未だ試乗していないので動力性能については比べられないが、3.5ℓと比べると、まず操舵性はエルグランドが圧倒的に勝っている。エルグランドはミニバンとしてはステアリングから路面の情報がちゃあんと伝わってくるし、レスポンスだって出来の悪い乗用車と比べても勝るとも劣らないから、走る喜びとまではいかないが、アルファード程の退屈さでは無いのは、流石に技術の日産(古〜い!)は健在だと安心もする。
 

マトモに考えれば、エルグランドはシッカリした足回りと締め上げたダンパーなど、ミニバンとしては有る程度の走りを考えてマトモなチューニングをされている。乗り心地も決して悪くないが、アルファードのようなフワフワ感はないから、人によっては 乗り心地が悪いと感じるかもしれない。ブレーキだってアルファードのフロントキャリパーはシングルピストンを採用しているのに対して、エルグランドは2ピストンという具合に、スペック上では全てにおいてエルグランドが勝っている。そして、実際のブレーキフィーリングもエルグランドの方がシッカリしている。と、いっても所詮は ”ミニバンとしては” であって、無茶は禁物だから、例えば高速道路で一発免停の対象になるような速度で、前のクルマにピッタリ付けて煽るような運転は正に怖いもの知らずというか、低脳というか・・・・。まあ、近づかないのが懸命ではある。

実はエルグランドについては、開発時期からすると最新のアルファードに対して大きなハンディがあるから精々同等だろうと、それ程の期待はしないで乗ってみたのだが、なんと走りの面ではエルグランドの圧勝だった。内装については、これはもう、個人の感性というか趣味の問題だから何ともいえないが、一般にトヨタに対して押されぎみの日産としては、意外な程に内装の出来も良かった。クラウンとフーガの比較では、お互いに夫々良い勝負をしていたが、このフルサイズミニバンでは、どうしたのだろうか?やはり老舗のエルグランドは伊達じゃあないようでもある。

と、まあ、今回は意外にもエルグランドの出来の良さが光ったのだが、それはクルマ好きの観点から見た場合であって、ミニバンに走る喜びなんか全く関係ない、何より幸せ家族が楽しく移動する為の道具だと考えれば、この勝負の結果は変わってくる。アルファードの試乗車にはオプションとはいえ、巨大なコンソールに冷蔵庫まで備わっていた。エルグランドの場合、少なくとも試乗車に冷蔵庫はなかったようだ。内装だって、エルグランドのアメリカンな雰囲気はマニア受けするが、幸せファミリーからみれば、新車からサイドサポートがヘタっていたコットンスエードのシートの方が、子供達には優しいと感じるのかもしれない。

ミニバンといえば、幸せファミリーのみならず、他にもメジャーなユーザー層がいるのを忘れていやぁしませんか?そう、元々クルマ自体の重心が高いのに車高を下げて、見るからに 安っぽい社外品の太い排気管を地面に擦りながら、爆音と共に走り回り、ファミレス駐車場では2台分のスペースへの斜め置き!いや、クルマ椅子マークのスペースだって気にしない・・・・・例のお方たちを、お忘れじゃないですか?お陰様で、中古車価格も高値を維持できるし、 アフターパーツを含む自動車業界の売り上げアップにも貢献し、結果的には真っ当な庶民の暮らし向きの安定のために経済貢献をしている有難い方たちですよ。10年物の腐ったサニーに乗り続け、今でも社会主義が正しいと信じ、自分は法律を守る立派な市民だとばかりに、本当に40km/hで巡航して、後ろに長々と家来を行列させるような偽善オヤジに比べれば、爆音ミニバン兄ちゃんの経済貢献度は遥かに高いことを、この際言っておこう。

注記:この試乗記は2008年5月現在の内容です。