トヨタ ヴァンガード240S Gパッケージ
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ヴァンガードは事実上RAV4のロング版であり、そのことから巷では安易にでっち上げた新型車との批判が多く、世間様の風当たりは相当に強いようだ。現在トヨペット系ディーラーで売られているハリアーは来年と噂されているFMCを期にレクサスに移籍してRXとなるようだから、その 後釜の使命もあるのだろう。 実は偶々ディーラーで隣に同じ色(黒)のハリアーと並んでいたヴァンガードは、ハリアーよりも大柄だった。そこで、日米のトヨタSUVを比べてみた。
 
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      ヴァンガード240 ハリアー240 RAV4 ハイランダー

寸法重量乗車定員

全長(m)

  4.570 4.735 4.600 4.689

全幅(m)

  1.815 1.845 1.816 1.845

全高(m)

1.695 1.680 1.684 1.725

ホイールベース(m)

  2.660 2.715 2.660 2.715

車両重量(kg)

  1,620 1,600 1,497 1,532

乗車定員(

  7 5 7 5

エンジン・トランスミッション

エンジン種類

  直4 DOHC 直4 DOHC 直4 DOHC 直4 DOHC

排気量(L)

  2.4 2.4 2.4 2.4

最高出力(ps/rpm)

  170/6,000 160/5,600 166/6,000 155/5,700

最大トルク(N・m/rpm)

224/4,000 221/3,400 224/4,000 220/4,000

トランスミッション

  CVT 4AT 4AT 4AT

タイヤ

タイヤ寸法

225/65R17 215/65R17 215/70R16 225/70R16

225/65R17 215/65R17 215/70R16 225/70R16

価格

 

車両価格(\)

  2,688,000 2,667,000    
 

北米価格($)

      20,950-24,605 24,880-26,280

なるほど、ヴァンガードは米国向けRAV4のボディ形状違いに間違いない。実車を比べた時にハリアーより大きく見えたが、長さと幅はハリアーの方が僅かに大きいから、ヴァンガードが大きく見えるのは全高が15mm高いことと、ボディのデザインによるようだ。



試乗車はGパッケージ装着車のために、シートは座面が細かい通気孔のついたアルカンターラで、サイドはレザーで色はブラウンだった。ダッシュボードの上部はブラックで硬質樹脂、乗員の手に触れるグローブボックスなどは、ちゃあんと弾性樹脂を使っている。考え方によっては、衝撃吸収の必要なところと不要なところを選り分けて素材を選んでいるとも言えるが、やはりセコイ。発売直後に見た展示車は内装が標準仕様 だった為に、例の古くなると薄汚れるし、梅雨時にはジメ〜ッとするなどトヨタ丸出しの化繊モケットだったので、「やっぱり駄目だこりゃ」と思ったが、今回のアルカンターラとレザー コンビのシート表皮は結構良い質感なので、これなら不満はでないだろう。 Gパッケージの価格差は25.2万円と安くはないが、ドアを開けた瞬間の満足感からしてまるで違うから、これは絶対に欲しい が、価格が1割アップしてしまうのも、これまた困ったものだ。

ヴァンガードがハリアーと異なる大きな特徴としては、3列目のシートを持つ7人乗りが設定されていることだ。このシートは当然ながら狭い ので、 せいぜい子供用くらいにしか使えない。それでは、世間で批判されているように無意味かと言えば、これは家族構成によっては極めて重宝する。何がメリットかは既に新型BMW X5試乗記で説明しているので、ここでは省略する。なお、2列 シートの5人乗りも設定されているから、サードシートが無意味と思うユーザーはそちらを買えばよく、何故に3列シートを批判する輩がいるのかは理解に苦しむところだ。


このサードシートは不要の時は実に上手く床下に畳まれる。普段は畳んで使って、イザというときにだけ、起こして使うというのが本来だろう。この3列シートモデルの価格は2列シートに比べて 約5万円高いだけだから、”保険”として付けておいても損はなさそうだ。





上の写真を見て判るように、ダッシュボードはそのまんまRAV4だった。これが世間から批判の的になる理由なのは間違いないだろう。 RAV4でお馴染みのアルミへアラインにブロンズアルマイトを施したように見えるプラスチックの内装材は、ヴァンガードにもマークXジオにも使われている。確かに最初にこれを見たときには嫌味の一つも言いたくなるが、試乗を終わった 頃には気にならなくなったから、オーナーとして毎日見ていれば慣れるだろうし、最初から気にならない人もいることを考えれば、買いもしない野次馬が余計なことを言う筋合いでは無さそうだ。実際にトヨタが想定するターゲットユーザーは後者のほう、すなわちこれに高級感を感じるユーザーなのだろうから。



ヴァンガードは今回試乗した2.4L(170ps、224N・m、265〜294万円)の他に、3.5L(280ps、344N・m、306〜335万円)がラインナップされている。と言うことは、ブレイドと待ったく同じ構成で、そればかりかヴァンガードの後を追って発売されたマークXジオ(この名前 にも批判続出のようだが)も同じで、トヨタの300万円級は(本物の)マークXを除いては、全てこのエンジンラインナップで揃える気だろう。確かに、この方法は性能を落とさずにコストアップが出来るから正解だし、トヨタのようにべラボウな大量生産をする大規模メーカーほどメリットが多い。このトヨタの考えを叩き込まれたポルシェは、それ程の量を生産しないにも関わらず、ケイマンとボクスターのエンジンを共通化するなど、しっかりと師匠の技を習得してしまったようだ。

前述のように試乗車はアルカンターラ表皮のシートが奢られた240S Gパッケージの7人乗り(294万円)にHDDナビが約30万円とすれば、車両総額は325万円に達するから、 世間一般の感覚では十分に高級車だ。早速シートに座ってみると、アルカンターラの表皮は滑りにくくて、座面の硬さも適度だから、以前のトヨタ 車のシートに比べれば大いなる進歩でもある。欲を言えば、もう少し体全体を平均に支えて欲しいが、まあ、それでも決して悪くは無い。 では、ベースグレードのモケットシートはといえば、見かけも気に食わないが、実用上も滑り易いし落ち着かない。冒頭で25万円を奮発してもGパッケージを勧めた理由が判ってもらえるだろうか。

前置きはこのくらいにして、早速走り出してみよう。2.4Lは変速機にCVTを採用しているが、セレクターのパターンは最近流行のティプトロスタイルで、これもブレイドを始めとする最近のトヨタ車に共通だ。まあ、エンジンどころかプラットフォームを含む基本仕様が同一なのだから当たり前ではあるが。
セレクターをDに入れて走り出した瞬間に、何時ものトヨタ車、いや他社も含めて最近の電制スロットルに共通な一見十分なトルク感を感じる。それから、踏み込むと、最初のトルク感は何処えらやというくらいに、所詮はショボいエンジンを誤魔化したのがバレバレとなる・・・・・と、思ったら、そうでもない。ハリアー2.4Lに比べて、明らかに軽快な加速をする 。幹線道路で50km/h程度からのフル加速をしても、ハリアー2.4だとちょっとイライラするくらいに緩慢に加速するところを、ヴァンガードは我慢できる程度には速度を上げていく。その違いはBMWでいえば116iと120iくらい違うと言えば、このサイトの常連さんには判ってもらえるだろうか。 更に好印象なのは、エンジン音が中々軽快で、V6のように静かではないが、音質が上手くチューニングされていることで、この点でもハリアーより勝っていた。

操舵力は軽すぎず・重すぎずというところで、一般のドライバーには全く違和感はないだろう。レスポンスも決して悪くはないし良くもないという、最近のトヨタの得意技だが、走るに連れて「これは、悪くないぞ」という気持ちになってくる。SUVとしては結構ハンドリングが良いと思っていたハリアーよりも軽快だし、ちょっとしたコーナーを回ってみたらば、 この手のSUVとしては実に安定していて、アンダーも 少なかった。少し前に乗ったハリアーはFFだったが、ヴァンガードは全車4WD。とはいっても、フルタイムではなくスタンバイ4WDだから、通常は単なるFFだが、それでも背の高いSUVとしては安定している。価格帯が違うので比較自体に無理はあるが、例えば最近発売されたニッサンのエクストレイル(最上級の25X 4WDで253万円)に比べれば、ヴァンガードは流石に ランクが違うと納得させるだけのものはあった。 逆に大柄なSUVとはいってもプレミアムクラスのX5やカイエンなどという価格が3倍以上のクルマとは根本的に世界が違うから、ヴァンガードが思いの他良いのというのは、あくまで 「同クラスの中では」という注釈つきである点に注意してもらいたい。

コーナーリングも結構イケルとなれば、乗り心地はガチガチではないかと思うだろうが、これも結構良い。普通に一般道を走っている分には十分にしなやかだし、大きな突き上げも感じなかった。世間の噂では、荒れた路面での突き上げが酷くて、とても乗っていられないなんて言われてもいるが、本当だろうか。今回は特に荒れた道を走らなかったが、それ程に酷ければ一般道でも舗装の継ぎ目などでガツンっと来るはずなのだか。まあ、この件に関しては、そのうちジックリ試したいとは思っている。

ブレーキも普通のドライバーが普通に走るには全く問題はない。決して剛性感満点とはいわないが、決して悪いフィーリングではない。数年前のトヨタ車のブレーキといったら、ストロークは長いし、効きは悪く、チョッと踏むぶんには、まあまあかと思うと、少し減速度 を増しただけで、恐怖を味わうほどの効きの悪さを感じたものだが、当時からすれば最近発売された新型車で、ブレーキが効かないクルマというのは、まずお目にかかれない。

ヴァンガードのタイヤは2.4Lの240Sが225/65R17、 3.5Lの350Sが235/55R18タイヤが標準装着される。 ホイールは全グレードでアルミホイールが標準となっている。今や、このクラスのクルマではスチールホイールにホイールキャップというのを殆ど見なくなってしまった。



発売直後から世間で評判の悪いヴァンガードも、乗ってみればそんなに悪い車ではないどころか、結構良い部類に入るではないか。ただし、布シートの標準グレードの質感では我慢が出来ないとなると、2.4Lでも294万円となり、ナビやその他のオプションをつけた総額は350万円を超えてしまう。それぁ、車両本体に300万円も出せば、内装にも、走りにも、満足感があって当然といえば当然だ。その意味では、決して絶賛は出来ないが、それでは他社の300万円級SUVでヴァンガードより明らかに上手なクルマがあるかと聞かれれば、さあて、思い当たらない。クルマの運動性能として考えれば、背の高いSUVにメリットがある筈もなく、価格も割高なことを考えれば、特に必要が無ければ、一家に一台のファミリーカーには決して勧めない。それでも、親子3代で1台のクルマに乗る事もあり、しかも子供が小学生までならば、7人乗りを我が家の万能車とする選択肢は十分に考えられる。
ところが、夫婦と子供二人以下ならば、セダンだって、ステーションワゴンだって、それにハッチバックと言う選択もある。300万円出せば、アウディA3やBMW1シリーズのベースグレードが買えるし、イヤーモデルの変わり目なら、売れ残りを叩いて2Lや1.8ターボモデルが買えるかもしれない。と、書くと、やっぱりB_Otaku は外車マンセイだという批判も出そうだから、国産車にも触れておくと、300万円ともなれば同じトヨタのマークXや、もう一声でクラウンのベースグレードであるロイヤルエクストラに手が届きそうだ。日産ならばV36スカイラインの250GTが買えるし、スバルならば、これまた定番のレガシィが、しかも2LターボのGTや6気筒モデルの3.0も視界に入る。そうなると、 クルマ好きにとってはヴァンガードの買い得感は決して高くないのも、また事実だった。
えっ?クルマ好きなんて相手にしていたら、世界一の座は確保できない?成るほど、マニアが絶賛する国産メーカーは遂にトヨタの傘下に入ってしまったようで・・・・・・。

注記:この試乗記は2007年10月現在の内容です。