ニッサン ムラーノ 250XL
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日本製米国向けSUVとして、ハリアー(レクサスRX)、マツダCX-7に続いて、今回はムラーノを取り上げる。ハリアーが日本国内専用の2.4ℓ版に試乗したことから、今回はライバルとなる、2.5XL(28 5万円)を取り上げることにする。

ムラーノの寸法はハリアーとほぼ同一なのだが、何故か大きく見える。特にフロントグリルのデザインは好みが分かれるところだろう。ハリアーが4000台/月程度の国内販売台数があるのに比べて、ムラーノは精々1000台/月程度と振るわない。実は米国でもレクサスRX(ハリアー)とトヨタハイランダー(クルーガー)に対して、インフィニティFXとムラーノは大きく水をあけられている。

試乗車のインテリアはブラックを基調にして半つや消しのクロームシルバーという最近の流行で、前回試乗したCX-7とも共通している
。だが、室内の質感といえば今更言うまでもないが、ライバルのハリアーにはとても敵わない。これはムラーノに限ったことではないし、トヨタの内装の質感は一般 車では今や世界一で、トヨタ以上の物を求めるならば、それこそポルシェやBMWなどの、いわゆるプレミアムブランドしかない。

試乗車のシートは布製の表皮で、スエード調ではあるが、結構毛足が長く、日本車によくあるモケットのような質感でもあり、最近 国産車でも流行っている欧州車風ではない。座り心地は非常に柔らかく、これまた国産車でも主流になりつつある欧州車的な硬い座面とは異なる。今回の試乗は短時間だったので判らないが、長距離のドライブでも疲れ知らずとはならないだろう。主な売り先の米国向け仕様はどんなシートなのかと興味が湧く。

走り出した第1印象はライバルのハリアー240よりも機敏な動力性能を感じることだ。ムラーノ2.5のエンジンは4気筒 2.5ℓで163psの最高出力と25.0kg・mの最大トルクを発生する。これはハリアー250と最大出力で同等だが、最大トルクではムラーノが2.5kg・m勝っている。排気量が100cc多いことも多少は影響しているのだろうか。

操舵性に関してもハリアーの安定志向に比べて、こちらはスポーティ志向。と、いってもCX-7のようにスポーツに振りすぎて人によっては不安定さを感じる程ではない。乗り心地もドッシリとしていて路面の凹凸も良く吸収するが、試乗車はタイヤに原因があるのだろうか、タイヤノイズが意外と目立った。ブレーキについてもライバルのハリアーやCX-7と比べて、特に優れもしないが、劣るわけでもなく、どれも皆良い勝負だった。

今回は、正にチョイ乗りだったから、このクルマのホンの上べしか判らなかったので、ジックリ乗ればそれなりの良さもあるのかもしれないし、チョイ乗りでも、決して悪い印象は無いのだけれど、何かが足りないのも、また事実だ。 実際の売れ行きもハリアーがモデル末期にも関わらずに月に4000台(07年3月)ペースで売れているのに対して、ムラーノはハリアーの1/4程度の1000台がやっとのようだ。実は、今回の試乗車については、あちこち探し回った末にやっとの事で見つけたもので、今やムラーノの試乗車は極めて稀な存在だった。元々販売網がトヨタに比べて弱いのに加えて、ディーラー自身の売る気のなさ。もう日本で売ることは諦めているようにすら感じられる。それでは、米国では如何かといえば、2005年の米国販売台数は、ムラーノが7.4万台、高級版のインフィニティFXが2.7万台で、対するトヨタはレクサスRX(ハリアー)が10.9万台で、トヨタブランドの普及版であるハイランダー(クルーガー)が13.7万台と、これまた大きく水を開けられている。なんと日米で全く同じ状況だ ったようだ。同じニッサンでも善戦しているインフィニティG(スカイライン)は、国内向けのV36に乗ってみても、微妙なフィーリングを気に気にしなければ、BMW3シリーズの買い得ライバルとして成立するが、ムラーノをBMW X−5と比べるのは大いに無理がある。

今回で国産フルサイズSUV3車種全ての試乗を行ったし、世界的にみて頂点にあるプレミアムSUVであるカイエン(試乗したのは高性能版のS)とX-5にも試乗したが、残念ながら国産車とは次元が違う満足感を見せつけられてしまった。まあ、価格を考えれば当然でもあるが。 その中でも、あえて1車種を選ぶとれば、個人的にはハリアーだ。いや、この場で改めて言うまでも無く、販売実績が実証しているように、多くのユーザーが同様の判定を下しているだろう。

注記:この試乗記は2008年10月現在の内容です。