スバル フォレスター 2.0XT
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スバルのフォレスターはSUVとステーションワゴンの中間的なポジションを狙ったユニークな車種だったが、今回フルモデルチェンジと共にSUV的な要素を前面に出したことで、他社の中型SUVと真向勝負に出た事になる。この話題の新型フォレスター(SH)に早速試乗してみた。 SHのバリエーションは2ℓ自然吸気のベースグレードである2.0X(5MT:199.5万円/4AT:204.75万円)、上級装備の2.0XS(215.25/220.5万円)、そして今回試乗した2ℓターボの2.0XT(252/257.25万円)の3グレードとなっている。

今回の試乗車は 2.0XTの4ATでシートは標準のファブリックシートを装着していたので、車両価格は257.25万円となる。
ニューフォレスターのスタイルについては如何にもスバルらしさが無くなってしまったようにも思うが、逆に極普通のユーザーにとっては返って印象が良いのかもしれない。少し前の飛行機をイメージしたフロントグリルは、これこそスバルという雰囲気がムンムンしていたが、一般のユーザーにはオタクっぽさが気になったのかもしれない。

国産車のアキレス腱といえば出来の悪いシートだったが、そのなかでもスバルのシートといえば最悪の代名詞だった 。しかし、昨年の新型インプレッサ(GH)から劇的に改良されていて、 今回のフォレスターもGHと同様に国産車としては文句の無いレベルになっていた。ただし、インプレッサの場合はターボ車であるS−GTにはヘッドレスト一体のハイバックシートが装着されているが、こちらは ターボ車でも一般的なコンフォートタイプのシートとなっている。なお、オプションでレザーシートも用意されているが、このレザーは決して良い質感ではなかったが、 国産車のレザーシートで満足できるのはレクサスLSクラスだから、200万円代の中ほどであるフォレスターに要求するのは無理というものか。
リアシートについては、先代に比べて劇的にスペースが広くなっている。特に前後方向の余裕は、同価格帯の国産SUVの中でもトップクラスのスペースを持っている。これなら、4人の大人が長距離を走ることは苦も無いから、実用性という面でも中々使い物になる。

ダッシュボートの眺めは、何処かで見たようだと思ったら何のことは無い、まるっきりのインプレッサだった。ただし、センタークラスタのオーディオやエアコン吹き出し口の左右に配した木目風のパネルはイタダケない。やるならアルミでしょう。
まあ、こういう泥臭いセンスがスバルらしいともいえるのだが・・・・・。

2.0XTのエンジンは230ps/5600rpmの最高出力と32.5kgm/2800rpmの最大トルクを発生し、 これはインプレッサS-GTに対して出力で−20ps、トルクで−1.5kgmと数字的には多少劣るが、これはトルクを低速側に振ってSUVとして扱い易さを狙ったのだろう。 ボンネットを開けてみると、S−GTのようにいかにもスバル的なメカ丸出しではなく、プラスチックカバーの下のエンジンは殆ど見えないという、他社ではあたり前の光景が見られる。たしかにメカメカしいエンジンルームは一部のスバルオタと呼ばれる人々には受けるかもしれないが、一般のユーザーから見るとちょっと引くものがある。えっ、普通のメカ音痴ユーザーはボンネットなんて一生開けないから関係ない?なるほど、御もっとも。

いよいよ走り出してみると、最初に発進した瞬間なら、オッ!と感じるフィーリングというか、独特の滑らかなトルク感を感じ る。とはいっても、最初のトルク感は良いのに、それ以上踏んでも大したことは無いというインチキな味付けで誤魔化している多くの国産車と違い、こちらはそのままアクセルと踏み続けれはグングンと加速する。S−GTよりパワーを落としたメリットは確実に感じられる。

ターボ版のXTにはインプレッサSTIと同じSI−DRIVEというエンジンのレスポンスを3段階に選べる機能がある。先ずは中間の”S”で走ってみると、普通の街乗りには十分なレスポンスを発生するから、通常はこのモードで十分だろう。 次に”I”モードを選択する。このモードは燃費重視で最も大人しい制御をするのだが、インプレッサSTI同様に、Iモードの走行は明らかにレスポンスが劣り、幾らエコとは言っても、このクルマのメリットを全く感じなくなり、個人的に耐えられない特性でもある。 カタログによると、Iモードは登坂などのパワーを必要とする場合を想定して、深くストットルを踏んだ時には十分なパワーをも発生すると書いてあるが、実はこれが曲者で、極端にトロイ低回転と 、踏み込んだ時の高回転側でのパワーは、救いようの無いドッカン特性になってしまう。そして、 最もスポーティーなS#を選択すると、これこそ実に気持ちの良いレスポンスを示す。インプSTI程ではないにしても、フォレスターXTでも車両重量が1,480kgに対してパワーは230psだから、パワーウェイトレシオは6.4kg/psという、ちょっとしたスポーツカー並の値からも判るように、200万円代中ほどの国産SUVとしてはダントツの加速性能を体験できる。この時の回転の上昇感や排気音も、STIなどから見れば大人しいとはいえ、十分にスバル得意の水平対向エンジンのフィーリングが味わえる。 だから、燃費なんか気にしないで、何時もS#に入れて走りたくなったりするが、現実的にはSを主体として使用し、走りを求めたい時はS#を使い、Iは二度と使わない 、というところか。
今回のフォレスターにもMTが用意されているのは、マニアとしては実に有難いことだが、最近はマニアのオトウサンとしてはMTが欲しくても、家族の反対で止む無くATを選ぶという状況も多いだろう。そんな時には、いくらMTモードが付いているとはいっても、今時4速はいただけない。 メーカーの弁によると、4速で十分だし、だからこそ小型軽量に仕上がるのだそうだが、実際に少し速めに加速すると、ギア比がワイドなことによる繋がりのラフな特性は隠しようがない。勿論、商品性としても大いに劣るのは言うまでも無い。はっきり言うと、こういう点で弱小メーカーの弱みを暴露してしまう。まあ、今後はトヨタグループとして、アイシンあたりに縦置き水平対向エンジン用の最新鋭ATを開発してもらえるかもしれないから、それまではジッと我慢が必要か?
 

フォレスターXTのステアリングは適度に軽いが、直進時はどっしりとして中々好ましい。 そして、コーナーリングのレベルも、国産のミドルクラスSUVとしてはダントツの安定感を披露してくれた。この特性は流石に4WDの経験豊富なスバルらしく、4WD車にありがちな強めのアンダーなども無く、実に癖のないコーナーリングを見せてくれる。とはいっても、決してスポーティという訳でもないし、 スポツカー顔負けに峠を攻めたくなるという程でもない。

ニューインプ レッサに試乗したとき、取り分け1.5ℓモデルの足回りのしなやかさには大いに感心したが、このフォレスターも実にしなやかな乗り心地で、これまたミドルクラスSUVの中でもダントツは間違いない。 それにフォレスターの4WDは前後50:50の配分を基本とするフルタイム方式だから、通常は単なるFFのスタンバイ方式が多い、このクラスのSUVの中では、雪道など の走破性でも他を圧倒しているだろう。と、いっても決して本格的なオフローダーではないから、本物の極悪路などにアタックすると痛い目にあうから、注意も必要だが。
試乗したターボモデルのXTは、標準でアルミホイールと225/55R17タイヤを装着している。そしてブレーキは、NAのベースモデルも含めて フォレスター全てが4輪ともディスクという、これまた国産ミドルクラスSUVとては大いに張り込んでいる。しかも、フロントには2ポット(ピストン)キャリパーを搭載しているから、この点ではBMW X−3にも勝っている。まあ、ピストンが多ければ良いという物でもないが、有利には違いない。そして、実際のブレーキフィーリングも 剛性感があり、踏力も軽めで良く効くから、実際の使用に当たっては何の問題も無い。

今回試乗したXTはターボモデルのために、価格は約260万円と決して安くはない。それでも、国産ミドルクラスSUVとしては抜群の乗り味は間違いない。こうなると約220万円のXSが気にかかる。 これなら、最近人気の日産デュアリス20G FOURの243.1万円やエクストレイル2.0X 4WDの237.3万円よりも、買い得感はある。

はっ?デュアリスやエクストレイルの乗り味は、フォレスターと比べたらどうか、ですか。あ、いえ、その、まあ、何ですよ(大汗)。

と、ココまでは絶賛に近い内容になってしまったが、ここで注意が必要なのは、「200万円代の国産ミドルクラスSUVとしては」という事で、価格が倍以上もするBMW X−3と比べれば、ハッキリ言って勝負にはならないから、500万円の予算があるユーザーには、迷う事無くX−3を勧めるのも事実だ。これについてはフォレスターvsX−3の徹底比較版なんていう企画も考慮中なので、良いアイディアが纏まれば、そのうちに発表できるかもしれない。

注記:この試乗記は2008年1月現在の内容です。