マツダ CX−7
※検索エンジン経由でノーフレームの場合はここをクリックしてください。



最近は出すクルマ全ての出来が良く、そのフィーリングは”そのまんま欧州車”と言われるマツダから発売されているSUVのCX-7。なにやら、往年の名車であるRX-7にあやかったような車名が胡散臭いが、このくるま、実は米国で販売されるべく開発され た。その後2006年末に日本でも発売されたもので、1870mmもある全幅からしても、日本国内では大きすぎるが、この手のフルサイズSUVが好きなユーザーには検討の余地がある。 なお、この手の国産SUVでは定番のハリアーとともに全幅1880のニッサン ムラーノがある。

CX-7の外観はフェンダーを強調したラインなどRX-8に共通したデザインで、特に後姿は中々グラマラスだ。この味の濃さは万人が好むとは言い難く、人によっては嫌うに違いない。大きさ、スタイルと、何れにしても米国向けであることは間違いない。

試乗車は2WDで、レザーシートが装着されるクルージングパッケージというグレードのため、価格は340万円と他の国産ライバルに比べてかなりの高価格となっている。そのレザーシートに座ってみると、座面は適度に硬く欧州車的な部分もあるが、レザーの質感自体は決して良くないし、多少滑り易いので、長時間のドライブには如何なものか。元々高級車とは縁遠いマツダだから、出来の良いレザーシートを期待はしていないが、それなら布のシートで十分のような気もする。写真でも判るが、SUVなので床の位置は高いが、シート自体はサルーン並みに低いので、ドライビングポジションは足を投げ出す乗用車的なものとなる。

ダッシュボードの質感はBMW X-3のような細かくでボツボツしたシボで、 指で押してみると確かに材質は弾性樹脂のようだが、その樹脂の厚みが薄いらしく、バッドの役には立ちそうにはない。それでも、デミオのようにチープな硬質樹脂ではない。 インテリアのトリムや金具類は艶消しのクローム仕上げで、これは最近のポルシェやスポーティグレードのBMWなど、欧州車でお馴染みの物だ。レザーシートにクロームとトリムといえばポルシェカイエンを想像する。そうはいっても、その質感や高級感は価格差を考えれば比べるのに無理があるのだが、確かに雰囲気は似てはいる。ただし、高級感はウッドパネルが最高と思うユーザーには躊躇無くハリアーを勧める。

CX-7の価格がライバルより高い理由の一つには、全車に標準でHDDナビが搭載されていることが主な原因となる。例えばハリアーの2.4ℓ 2WDはLパッケージで280万円だが、これに純正のHDDナビを付けると316万円となり、CX-7のベースグレード306万円は決定高くはないことになる。 しかも、CX-7はターボエンジンだから、性能的には3.5ℓクラス・・・・の筈だし。
CX-7の外観を見て気が付くのは、背の高いSUVに付いている左先端のサイドアンダーミラー、例のキノコのような見苦しい奴がついていないことだ。実はナビを標準装着したことで、左の 死角はディスプレイで確認できるのでミラーは不要となっている。な〜る程、折角の滑らかなボディラインに、あのキノコをおっ立てたSUVはサイドモニターがありませんと言っていることになるのか?

CX-7の 4気筒2.3ℓエンジンは、同クラスのライバルであるハリアー240やムラーノ2.5に比べてターボチャジャーを搭載している点が異なる。このため231ps/5000prm、 35.7kgm/2500rpmという3.5ℓクラスの性能を得ている。
ミッションは、これもライバルが4ATなのに対して3.5ℓ級並の6ATを装着している。そのセレクターレバーをDに入れて早速走り出した印象は、低回転域でも不満のないトルクを発生していることだ。

市街地の流れを 1500rpm以下で走っている状況から速度を上げたい場合には、普通に加速するには十分なトルクとともに速度が上がっていく。しかし、ここで勢い良く加速したい場合は、目一杯アクセルを踏んでも即座にシフトダウンが起こらない。折角6ATを搭載しているのだから、BMWのように少し強めのアクセル操作で即座にシフトダウンして、十分なレスポンスの得られる2000rpm以上をキープするような賢い制御ロジックにしてもらいたいものだ。
この多少トロイ制御のATでも、シフトダウンが完了して、回転数が3000rpmを超えた辺りからの加速感は流石にターボで、ライバルのハリアー240とは比較にならない加速を見せてくれる から、”動力性能いのち”のユーザーから見れば、買い得感は高い。とは言っても、所詮は1640kgの大柄のSUVだから、本物のスポーツカーと同等を期待すると失望することになる。

CX-7の操舵性は適度にクイックで、確かにスポーティな味付けとなっている。ただし、サスのセッティングは硬めで、常に路面の細かい振動が伝わってくる程だ。途中のブラインドコーナーを、世の中の常識より速めに回ってみると、確かにSUVとしては能力は高いのだが、 スポーツカー並という各種の雑誌等の評論を信じていると、タイヤのグリップは少しヤバイ挙動の前兆を知らせるし、高い重心はクルマを傾けようとする 。しかも、中途半端に硬いサスは素直なロールをもたらさないから、余計にドライバーに恐怖を感じさせる傾向がある。と、いっても、普通に走る場合には問題ないし、こういう特性をスポーティーと感じる人も多いだろう。実はCX-7のコーナーリングはイマイチ安定性に欠けると感じた原因は、ハリアーのあまりにも安定した挙動が脳裏に焼きついているから、かもしれない。腕の良いドライバーが頑張ればCX-7の方がコーナーリングの限界は上だろうが、極普通のユーザーがコーナーのRを読み違えて、少し速めに進入してしまったような状況では、ハリアーの方が安全に抜け出せるだろう。
 

ブレーキについては、普通に使う分には十分に合格点を与えられる。重心が高く、重量も重いフルサイズのSUVは、以前はブレーキ性能に不安があったが、最近はどの車種も不満がないレベルに達している。

アテンザに始まり、アクセラ、RX-8、ロードスター、デミオと出すクルマ全ての出来が良いという、破竹の勢いのマツダの新型車攻勢は、SUVのCX-7も、もしかしたらBMWのX-5に近い性能と乗り味を持っているのではないか、と期待 したのだが、残念ながら、結果は価格なりの内容だった。いや、それどころか、一般的なユーザーから見れば、ハリアーに比べて割高で、しかも「マツダ」のブランドという、ちょっと勧めづらい内容というのが正直なところだった。 確かにスポーティには違いないが、どこか不安定な、この感覚には何やら覚えがある。と、思ってよく考えてみたら、何とレクサスISだった。あのクルマは一部では欧州のライバルを凌ぐスポーツ感と言われているが、スポーティを不安定と履き違っているようで、本当のスポーティというのは安定感を前提にしたものと思うのだが。そういう面で は、CX-7も同様に感じてしまった。

ということで、次回は同じく米国向け国産フルサイズSUVの国内転用版の御三家の最後として、ニッサン ムラーノ2.5を取り上げることにしよう。

注記:この試乗記は2007年8月現在の内容です。