CROWN 2.5ATHLETE vs FUGA 250GT (2008/4/29)
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日本を代表する高級サルーンであるクラウンとフーガ。1台毎に見ると全く共通点を感じないが、こうして並べて見ると、何やら共通した物を感じるのは気のせいだろうか。 |
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国産の高級サルーンといって、すぐさま脳裏に浮かぶクルマといったら、さて。センチュリーやプレジデントは高級車には違いないが、これらはオーナードライバーが買うことはないし、実際の用途といえば大企業のトップや政治家(それも大臣や与党の幹部クラス)など、日本を動かしているトップ層がショーファードリブンで後席に乗るためのクルマだから、先ずは除外
しよう。
次に、レクサスLS(チョット前ならセルシオ)やシーマも大多数がショーファードリブンだし、何よりバブル期に出てきた新しいクラスだから、伝統という面ではイマイチ。そこで、戦後の混乱期からやっと立ち直った1950年代後半から1960年代に
かけて初代が発売されたという伝統を持つブランドといえばクラウンとセドリック(&グロリア)となる。ただし、セドリック/グロリアは現行モデルからはフーガと名前と変えてしまったので、今回の国産フォーマルカー対決はクラウンvsフーガとなる。タイミング的にもクラウンは今年の2月にFMCされ、フーガも昨年の12月にMCを実行したばかりで、時期的にも良いということから、今回の企画となった。
これらのモデルにもバリエーションがあるのは当然だが、今回はベーシックな2.5Lモデルで、しかもクラウンはメジャーなロイヤルに対して幾分スポーティーに振ったアスリートを選択し
てみた。フーガについては、MCを機にコンフォートモデルのXVが廃止されて、スポーティーモデルのGTのみとなった。したがって、今回の対決はクラウン2.5アスリート(ナビパッケージ、432万円)とフーガ250GT(ナビ標準装備、396万円)を比較してみる。元来、クラウンとフーガは殆ど同価格だった筈なのに、今では36万円もの差がついている?と思って調べてみたら2.5アスリートでもナビがないベースモデル(374万円)
もあった。クラウンの場合はナビパッケージの有る無しで随分と価格差があると思ったらナビパッケージはナビ以外にもオーディオのレベルも違うし、アクティブステアリング統合制御も追加されるなど、単にナビを付けただけではないようで、割安にあげたいのならベースグレードに
ディーラーオプションでナビを後付けすればよいだろう。
では、早速比較をしてみよう。夫々別にみると、クラウンとフーガは全く違うように感じるが、トップの写真を見てみれば、何となく雰囲気が似ていたりする。どちらも立派なラジエターグリルを持っているという面では
高級サルーンの本家メルセデス風でもあるし、釣り眼のヘッドライトという面ではBMW風だったりする。街で見かけるフーガは、背高ノッポに見えるがデーター上でもクラウンより40mm全高が高い。
印象としてはオーソドックスでキープコンセプトなクラウンと先進的なフーガというところだが、先代と見分けが付かない程に変化が少ないクラウンも、よくよく見てみれば、控えめではあるがメルセデスSのようなフェンダーのタイヤ
ハウスに沿った張り出しだとか、微妙に変わったテールランプデザインなどが現代の流行を追っていたりもする。クラウンは国内専用車(一部はアジア圏でも売られるが)であるのに対して、フーガは何を隠そう、
北米でレクサスのライバルであるインフィニティの売れ筋モデルであるMだから、日本人に受けるデザインを、なんていう気は更々無く、良く言えば国際感覚のクルマでもある。ただし、米国ではM35(V6、3.5L)とM45(V8、4.5L)のみで、今回取り上げる2.5はインフィニティには設定が無い。
このクラスのクルマは”ゴルフ特急便”として使われることも多いから、ゴルフバッグ4個の積載能力は必須なのだそうだ。成る程、取引先の大企業の下っ端をクラウンやフーガの後席の乗せてのゴルフ接待は、日頃は役員が乗っているのと同じクルマの後席に乗れるのだから、招待される側としては
悪い気はしない。
これで、今後の取引で便宜を図ってくれる事間違いなしだから、めでたし目出度し。という訳で、両車のトランクスペースを比べれば、どちらも意外に幅はないが、奥行きは十分だから、当然ゴルフバック4個はクリアするだろう。そういえば、レクサスディーラーには本物のゴルフバックが4つ置いてあって、何に使うのかを尋ねたら、実際にトランクに入れて見せるのだとか。
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CROWN 2.5ATHLETE

写真1-1
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FUGA 250GT

写真1-2 |
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写真2-1 |
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真2-2 |
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両車の比較をする前に、輸入車を含めたEセグメントについて考えてみよう。
先ずはメルセデスEクラス。今でこそ、国産車に比べてどうしたこうした、という話が出るが、20年前だったら比較なんて恐れ多くて、という程の差があったものだ。今ではチョッと落ち目ではあるが、それでもEセグメントの世界王者には変わらない。そしてBMW5シリーズ。メルセデスのライバルということになっているが、本当にそう認識されるようになったのは極最近のこと。
1代前のE39は実売価格でもステータスでも、Eクラスより格下というのは世間一般の常識だった。それが現行E60の出来の良さと、現行メルセスデスEクラス(W211)の致命的なブレーキ不具合(MCでシステム自体を変更した)で、気が付いたら100年以上もかけて作り上げたメルセデスの不滅の地位を、追い上げられるまでになっていた。
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CROWN |
FUGA |
Mercedes Benz |
BMW |
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2.5ATHLETE |
250GT |
E250 |
525i |
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寸法・重量・乗車定員 |
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全長(m) |
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4.870 |
4.930 |
4.850 |
4.855 |
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全幅(m) |
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1.795 |
1.805 |
1.820 |
1.845 |
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全高(m) |
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1.470 |
1.510 |
1.485 |
1.470 |
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ホイールベース(m) |
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2.850 |
2.900 |
2.855 |
2.890 |
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最小回転半径(m) |
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5.2 |
5.6 |
5.3 |
5.7 |
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車両重量(kg) |
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1,600 |
1,670 |
1,660 |
1,620 |
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乗車定員(名) |
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5 |
5 |
5 |
5 |
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エンジン・トランスミッション |
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エンジン種類 |
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V6 DOHC |
V6 DOHC |
V6 DOHC |
直6 DOHC |
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総排気量(cm3) |
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2,499 |
2,495 |
2,496 |
2,496 |
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最高出力(ps/rpm) |
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215/6,400 |
223/6,800 |
204/6,100 |
218/6,500 |
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最大トルク(kg・m/rpm) |
26.5/3,800 |
26.8/4,800 |
25.0/5,500 |
25.5/4,250 |
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トランスミッション |
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6AT |
5AT |
7AT |
6AT |
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駆動方式 |
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FR |
FR |
FR |
FR |
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サスペンション・タイヤ |
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サスペンション方式 |
前 |
ダブルウィシュボーン |
ダブルウィシュボーン |
4リンク |
ストラット |
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後 |
マルチリンク |
マルチリンク |
マルチリンク |
インテグラルアーム |
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タイヤ寸法 |
前 |
225/45R18 |
245/45R18 |
205/60R16 |
225/50R17 |
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後 |
225/45R18 |
245/45R18 |
205/60R16 |
225/50R17 |
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価格 |
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車両価格 |
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3,740,000 |
3,960,000 |
6,400,000 |
6,370,000
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備考 |
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ナビはオプション |
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細かい比較は読者各位に任せるとして、寸法的には輸入車組が少し幅広だが、今や大きくは変わらない。重量はほぼ横並びだし、エンジンパワー、トルクも数値上では似たようなものだ。昔のクラウン、セド・グロといえば、狭いトレッドとショボいタイヤというのが定番だったが、今ではホイールは国産2車の方が大きい(18インチ)
くらいだ。これは以前なら考えれなかった事だが、そういう点では国産車も進化したものだ。
ただし価格としては相変わらず大きな開きがあるから、実際にクラウンやフーガの2.5LとE250や525iを比較検討して購入することは無いだろう。
そこで、今回は心置きなく国産2車同士のみを比較し、欧州車のことは極力考えないことにする。ところで今回、なぜクラウンにアスリートを選んだかといえば、このサイトの読者の傾向を考えて、多少でも欧州車的であろうアスリートとした訳だ。
それでは例によってワンパターンの始まり、運転席のドアを開けたところから。
どちらも国産高級車の代表だから、それなりの豪華さだが、昔から言われているように、チョット見の豪華さではクラウンの上手さが光る。ただし、クラウンはアスリートということで試乗車の内装色は標準のダークブラウン(注文生産でグレーも選べるが)で、誰もが想像するクラウン的なものとはちょっと違う。フーガもニッサンとしては頑張っているのだろうし、この辺は好みの問題でもあるが、一般にインテリアの仕上げが良いトヨタ車のなかでも極めつけのクラウンと比較するのは、
フーガにとっては少し辛いものもある。
シートの形状は両車とも座面と背もたれのサイドは多少張り出しのあるスポーティな形状になっている。しかも、その形状も似ている(写真3)。シート表皮はクラウンが欧州車のように荒い織目のファブリックで、サイドが無地で座面と背面には同色でも織り方で模様を創っているような、メルセデスでもお馴染みのタイプを使用している(写真
5−1)。フーガのシートはサイドがニッサン得意の、決して質感の良くない人工レザーで、座面と背面は凹凸に織った布なのだが、これが何やら評判最悪だった先代レガシィの表皮に似ているのも気になる(写真5−2)。見かけだけでなく実際の座り心地もクラウンの方に分があるようだ。トヨタは以前から車種によって(マークU IR-Vなど)は欧州車的なシート表皮を使用していたが、このクラウンもアスリートということで、
毛足のある安物モケットなどの典型的な国産高級車的なシートは採用しなかったのだろう。
ドアの内張りというのも日頃、目に入る機会が多い部分だから、その質感は結構気になる。写真では判り辛い面もあるが、こういうものは個人のセンスと感性で好みも分かれるので、特にコメントはしない。ただし、個人的にはアスリートの方が高級感があるように感じる(写真6)。
リアスペースについては、当然ながらどちらも十分なスペースがある(写真4)。2.5Lとはいえ、大企業等では役員車としてショーファードリブンでの使用も当然考えられてるし、中小企業の社長車の場合は、前出のように取引先の担当者を乗せての接待にも使うから、この程度のスペースと居住性は絶対に必要となる。だから、社長さんにとっては、価格はクラウンやフーガの2.5と同等でも、例えばBMW320iなどを買うのはもっての外
というわけだ。 |
CROWN 2.5ATHLETE

写真3-1
※1 |
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FUGA 250GT

写真3-2
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写真4-1
※1:写真はレザーシート仕様 |
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写真4-2 |
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写真5-1
荒めに織ったファブリックのサイドと織り方で模様を就けた座面という欧州車的なクラウンアスリートのシート表皮。 |
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写真5-2
サイドの合成皮革は安っぽいし、座面も滑り易く座り心地もイマイチのフーガーのシート表皮。 |
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写真6-1
良く見れば大した素材は使っていないのだが、見た目のバランスの良いアスリートのドアパネル。 |
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写真6-2
頑張って、手をかけている割には、高級感の足りないフ^がのドアパネル。 |
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写真7-1
木製(風)やアルミなどが多いダッシュボード下端のトリムに、クラウンはソフトパッドを使い、ステッチ(糸の縫い目)も見える。 |
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写真7-2
黒い漆塗り風に仕上げたピアノ調のトリム。写真中央部に見える、4つの白くて四角いものは単なるアクセントで、無いほうが良いような気がする。 |
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ダッシュボードの眺めはといえば、この2車は大いに違う雰囲気を持っている。先ずナビのディスプレイの位置が、クラウンはダッシュボード上面より少し下で、上にエアコンの噴出し口がある(写真
8-1)。対してフーガはダッシュボード上面一杯にディスプレイを配置している(写真8-2)。運転中の視認性では当然フーガの方が良いが、ディスプレイ自体の大きさはクラウンの方が大きい。この配置やディスプレイの寸法などは強いて言えば、クラウンがメルセデス風で、フーガはBMW的といえる。フーガは更にディスプレイの下にダイヤルやらスイッチを所狭しと配置した水平(多少の角度はあるが)なパネルが配置されていて、ある面では斬新なデザインと配置ではある。これに対してクラウンはオーソドックスでボタン類が少ない。
どちらもスポーティーグレードということもあり、内装が黒っぽいのと共に、ウッドパネルもクラウンはグレーポプラ風、フーガはピアノ調と呼ばれる黒い漆塗り
のようなパネルが付いている。なお、フーガの場合はオーソドックスなブラウンの木目(本物)も選択できるし、内装自体もアイボリー系の設定がある。フーガは今回のMCから全てのグレードでGTのみとなり、コンフォート系のXVが無くなってしまった為に、内装は黒を基調としたスポーツ系とアイボリーを基調としたXVに代わるものを用意している。
クラウンの”木目風”パネルは確かに本物も真っ青のできだが、もうそろそろ本木目を使用しても良いのではないか。もしかして、トヨタの調達先には安くて高品質のウッドパネル屋がいないのだろうか?
クラウンの大径の速度計を真正面に配置したメータ配置は、速度のみを注意していれば、回転数なんて如何でも良いという思想で、実に実用的な発想だ。これに対してフーガは、同径の速度計と回転計を左右対称に配置していて、スポーティに未練があるようだ(写真11)。
この点でもクラウンはメルセデス的だし、フーガはBMW的といえる。
コンソール上のATセレクターも、両車では全く異なるデザインで、今ではチョット古いデザインとなりつつあるジグザクゲートのクラウン(写真10-1)に対して、フーガはといえば、レバーの根元にMTのシフトレバーのようなレザーのブーツを被せて、セレクター自体は直線に配置する、現代の欧州車の主流ともいえる方式を採用している。結論から言えば、流石に国産の上級車だから、どちらを選んでもチャチで嫌になるようなことはない。
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CROWN 2.5ATHLETE

写真8-1
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FUGA 250GT

写真8-2 |

写真9-1 |
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写真9-2 |
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写真10-1
チョッと時代遅れ気味のジグザクゲート式ATセレクターのクラウン。 |
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写真10-1
根元にレザーブーツを持ち、各ポジションを直線に配列したフーガのATセレクターは現在の欧州車に標準的なものと同じ。 |
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写真11-1
クラウンのメーターはセンターに大径の速度計を配したメルセデス的なデザインだ。 |
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写真11-2
フーガのメーターは回転計と速度計が同サイズで並ぶ、言ってみればBMW的なデザインとなる。 |
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そろそろ、実際に走ってみることにしよう。
先ずは、クラウンから。例によってエンジンが掛かっているのかを確認するのに、回転計が絶対に必要となる程に静かなアイドリングを確かめながら、フートブレーキに足を乗せジグザグゲートのセレクターレバーをDに入れる。そして、ステアリングコラムの左となり辺りのダッシュボード上にある、リリースレバーを引くと、パーキングブレーキはストンと外れる。流石はクラウン!パーキングブレーキの解除レバーを持っているのもメルセデス並だ。
走り出すと、2.5Lとしては十分なトルク感で、しかもそれ以上踏んでも充分に加速してゆく。確かに3.5Lの強烈な加速感は無いが、実用上はこれで十分だろう。定常走行中からのキックダウンによるシフトダウンも結構レスポンス良く反応するし、6速ATの制御は中々良い出来だ。トヨタはアイシンAWという今やATでは世界的な技術を持つ部品メーカーを傘下に持っている強みを如何なく発揮しているようだ。
それではフーガはというと、アイドリングも充分に静かだが、その静かさはクラウンのように、エンジンが回っているのが判らないという訳ではないが、これは好みの問題だと思う。ブレーキを踏みながら、ATのセレクターをDに入れて、さてパーキングブレーキの解除はといえば、今更文句を言うのにも飽きてしまった、プッシュ/プッシュ方式のパーキングブレーキ兼解除ペダルを押してリリースする。クラウンのメルセデス的なのに対して、BMW的に勝負するのなら、ここはセンターコンソール後部にハンドレバーを付けるのが本来だろうに。
と、ブツブツ文句を言いながらも走り出して見ると、MC前に比べて格段にスムースなエンジンに気が付く。今回のMCを機にスカイラインV36と同じ新型エンジンが搭載されているのだが、旧VQエンジンのラフでガサツなフィーリングから一変していて、この改良は大正解だ。運転していて感じる動力性能というか、トルク感は同じ2.5Lのクラウンと大きくは変わらず、大人しい運転をするドライバーなら、全く不足の無い動力性能だ。ATについてはクラウンの6ATに対して5ATと、スペック上では見劣りがする。まあ、セルシオの8ATはやりすぎにしても、今の時代の高級車に5ATは無いだろう。
と、いっても実際の走行で大きな問題はないが、キックダウンして一段ギアを落としたときなどの回転数の上昇は、やはり大きい。それでも、これだけに乗っていて慣れてしまえば気が付かない程度のレベルでもある。ニッサンは独創的なトロイダルCVTという賭けに失敗したツケに、未だに苦しんでいるようだ。 |
CROWN 2.5ATHLETE

写真12-1
V6 2499cc 215ps/6400rpm、26.5kg・m/3800rpm
を発生するクラウンのエンジン。 |
FUGA 250GT

写真12-2
V6 2495cc 223ps/6800rpm、26.8kg・m/4800rpm
を発生するフーガのエンジン。 |
クラウンといえばフワフワ、ヨレヨレ。乗り心地は良いが不安定な旧来の日本的高級車の代表のように思われていた。事実、2世代前までのクラウン、取り分けロイヤルシリーズはといえば、危険ともいえる程の酷さだったのだが、ゼロクラウンと自ら名乗った先代では、一気に現代の標準的なレベルまでアップし、安定性も現代の水準に達した。数年前までの、このクラスの国産車といえば狭い車幅ににも増して、更に狭いトレッドと小さくて狭いタイヤというのが定番だったが、クラウンがゼロクラウンに、セドリック/グロリアがフーガになるのを機に、どちらも欧州車並のワイドトレッドと大径タイヤの採用により、安定性が向上した。更には扁平タイヤによる大径ホイール採用のメリットとして、ブレーキローターの大径化が実施され、ブレーキ性能が大幅にアップし、それこそ欧州車並のフィーリングと制動力を確保できたのは大いなる進化だった。さて、今回のFMCは言ってみれば2代目ゼロクラウンという訳で、先代が突然のコンセプト変更を行ったのに対して更にアップしたのか、それとも後退したのか?これはクラウンなんて全く眼中に無いと言うクルマ好きにとっても、興味のある事実では無いだろうか。
伝統のセドリック/グロリアという名前を捨てたフーガは、先代のBMW5シリーズ(E39)を手本にしたというだけあって、従来の国産車には無い欧州テイストで、E39に迫ったというのも強ちハッタリとも言えない程に出来が良かった。そこで、今回のMCでは、一体どのように変化したかといえば、残念ながら少し柔らか目のセッティングに変更されていた。クラウンも同様だが、やはりこの手のクルマのユーザーにとって、欧州車的な硬めのセッティングは
「乗り心地が悪い!」「高級車らしくない!」という評価になったようだ。MC前のフーガは国産車としては、いや本家のドイツ車と比べても素直な旋回性能で、特に低速できついコーナーでのニュートラルな旋回性は驚くべきレベルの高さだったが、今回のコンフォート化でも嬉しい事に明らかな性能低下は感じなかった。ただし、柔らかいセッティングにより、派手に振り回した場合などのボディのロールはチョッと増えたような気がするが、多くのフーガユーザーはそんな下品な運転はしないから、むしろこのセッティングが正解なのかもしれない。
フーガのコーナリングが良いのは判ったが、クラウンはどうかといえば、数年前にゼロクラウン発売時に乗ったアスリートはフーガがBMW5シリーズならば、こちらはメルセデスEクラスを想像する操舵性で、安定志向ではあるが、決して緩慢なわけでもなく、歴代のクラウンと比べれは、これまた大いなる進歩だった。
ところが、今回のFMCではアスリートといえどもコンフォート嗜好となり、どちらかと言えば先代のロイヤルに近いセッティングになってしまった。とはいっても、先々代の不安定さに戻ってしまった訳ではないから、ご安心を。一度獲得した広いトレッドと大径ホイールのお陰で、こちらも結構レベルの高い旋回性能を持っている。
ここまで、乗り味がどうしたのと述べてきたが、実はそんな事よりも、クラウンもフーガも乗り味として夫々独特なものを持っている点を伝えなければならない。なかでもクラウンというクルマは、走行中の静けさや柔らかい乗り味が一体となって独特のフィーリングを醸し出している。そして、ゼロクラウンに変身時には、今までスカスカで最悪といわれていたダンパーも大幅に見直したようだから、そのメリットは今回サスを柔らかくしても、充分に感じられる。これらにより欧州車と比べ
るという行為が意味をなさない程に、クラウン独自の世界という物を持っているので、このフィーリングは好きか嫌いかと訪ねられたら、これはこれで良いのかもしれない、何て思ったりもする。特に毎日激務をこなしている中小企業の社長さんが、疲れた体で
自らハンドルを握って家路に帰るには、実に良いのかもしれない。この辺の状況は、有給休暇を年に15日以上取得が義務なんていう大企業でヌクヌクと暮らしているサラリーマンには判らないかもしれないなぁ。えっ?公務員よりはず〜とマシだって?それゃそうだ。民間企業でタクシー代を年に何百万も使ったら間違いなく自己退職か、僻地の零細な関連会社に出向となるし、
それどころか9ヶ月間も仕事しないで一日中ウェブのエロサイト見ていたのがバレても、クビにならないようだし・・・・。まあ、これを言い出したらキリが無いので止めておこう。
話を元に戻して、フーガの場合は、何しろ先代BMWを目標にして開発したと公言されているくらいだから、クラウンよりもはるかにドライバーテイストなクルマとなってはいる。それでも、これまた国産車の独特な乗り味が完全に消えている訳ではないから、現行5シリーズのクイック過ぎるアクティブステアリングや、ランフラットタイヤによる宿命的な硬い突き上げなどは無いし、さらにはMCでスポーツ風味を薄めているから、クラウンほどではないにしても、楽チン運転には変わりはない。
そして最後にブレーキ性能はといえば、すでに述べたように、ワイドトレッド、大径ホイール、扁平タイヤによるメリットとして、大径のローターが流行となったメリットとして、どちらも以前に比べれば、大幅にフィーリングも向上している。ただし、ゼロクラウンの場合は最初の一踏みが、如何にも剛性感がないフィーリングで、この点ではフーガが勝っている。と思って、アルミホイールから除くフロントキャリパーを見比べてみれば、どちらも鋳物のピンスライドタイプながら、
クラウンのシングルピストン(写真14-1)に対して、フーガは2ピストン(写真14-2)を採用している。まあ、ピストンの数が多ければ良いというものでもないが、アスリートとはいっても2.5Lモデルの場合は単なる見かけだけのスポーティサルーンと割り切っているのかもしれない。その証拠に、3.5アスリートはフロントにレクサスGSと共通の
アルミ対向4ピストンキャリパーを使用している。 |
CROWN 2.5ATHLETE

写真13-1
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FUGA 250GT

写真13-2 |
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写真14-1
クラウンのフロントキャリパーはシングルピストン。 |
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写真15-1
フーガのフロントキャリパーは2ピストンを奢っている。 |
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今回クラウンがよりコンフォート嗜好で、乗り味を柔らかくした背景には、レクサスとの住み分けもあるだろう。アスリートの上級モデルはレクサスIS350やGS350と同じエンジンを搭載した3.5アスリートがあるが、これを目一杯スポーティにしたらば、GS350の存在意義が無くなってしまうというジレンマがある。逆にレクサスがあるから、スポーツセダン的なものを求めるオーナードライバーに対してはレクサス車で対応が出来るという強みもある。これに対して、ニッサンの場合は本来は北米向けのインフィニティMを、
国内ではフーガとしてクラウンのライバルという役目を負わせなければならない辛さがある。ただし、2.5Lに関してはインフィニティには設定がないから、ある程度は国内向け対応をしているかもしれない。
あらゆる面でメルセデス的なクラウンと、BMW的なフーガという傾向からすれば、クラウンとフーガのユーザーはかち合わない筈なのだが、実際には商売上のつながりでトヨタ派とニッサン派に分かれているという場合が多いのではないだろうか。
だからホンダ系の仕事を貰っている会社の社長さんはレジェントを買う羽目になったりする。これが三菱だったら・・・デボネアは既に無いから、晴れてクラウンが買えるかもしれない。よかったねぇ。そういえば、バブル華やかな頃にマツダ関係の仕事を貰っている事から、センティアを買う羽目になった社長さん。とりあえず付き合いで買って1年位してほとぼりが冷めたら売れば良いやと思って、下取り価格を聞いてびっくり仰天。乗り出し400万円で買ったクルマが、何と丸1年で100万円代になってしまった!とか。結局、乗り潰したらしいが、お陰でクラウンに乗りたいのに5年間のお預けを喰ってしまった。
世の中省資源だの何だのといっているが、コンパクトカーなんて貧乏人・負け組の乗り物だ!それに欧州車なんかに乗って喜んでいるのは成金に決まっている。その証拠に、自慢の高性能欧州車に乗り換える前は、アリストやツアラーVの過給圧上げたのが最高と喜んでいたじゃねえか。日本人男子なら、いつかはクラウン、フーガに決まっている。
終戦記念日には靖国神社に参拝して、正月には紋付羽織袴の正装で皇居の一般参賀に参列する。・・・・なんていう、国粋主義な人はそれ程多くはないだろうが
(勿論 B_Otaku
の意見じゃないですからねっ)、普通のオジサンでクラウン、フーガが一番と思っているユーザー層は確実に存在する。それも、欧州車ユーザーが思っている以上に!
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